2016年10月27日北翔海莉さん引退公演(宝塚星組トップスター)は最高ですよ!

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 いよいよ東京でも始まってます。北翔海莉さんのラスト公演ですね。

 「10年に1度」と言われる柚希礼音さん(08年ブロードウェイミュージカル「スカーレット・ピンパーネル」、10年フレンチミュージカル「ロミオとジュリエット」など)の後を襲って専科から抜擢されたのが北翔さん。みごとにその重責を果たされたと思います。
 次期トップスターは生え抜きの紅ゆずるさん。大阪の酒屋さんの娘さん。

 いずれトップスターにはなると思ってましたが、あまりにもカリスマ性のあった礼音さんの直後では潰れていたでしょうね。さすがに考えてますなあ、宝塚は。間になんでも努力で解決しちゃうタフな北翔さんをキャスティングしたわけでね。使命を十分以上に果たされたと思います。


あなたはえらい!

 ラストの出し物は桐野利秋でしょ。「人斬り半次郎」ですよ。映画では緒方拳さんが演じたのが記憶に残ってます。

 幕末動乱期に薩摩藩の郷士として生まれ、その後、維新の立役者の1人となった人物で、地元では、いまなお、西郷さんと桐野利秋の人気がバツグンです。

 西郷さんを担いで西南戦争に突入するわけですけどね。

 この戦争が最後の内乱となります。そして狡猾な英仏の野望を打ち砕いて日本統一=本当の維新へと導いたわけでね。維新前の旧体制と旧秩序をすべて雲散霧消させるための戦争だったのかもしれません。

 徳川幕府最大の功労者が慶喜だったように、維新の最大の功労者は大西郷であり桐野だったのかもしれません。

 滅びの美学、破滅の論理。こういうテーマがラスト公演にふさわしいかどうかわかりませんが、清く、正しく、美しく、という宝塚精神には合致してるわけで。北翔さんの凛々しさを引き出すには格好のテーマ、人物像だったのかもしれませんね。

 20日までの公演。さすがに貸し切りが多いそうでチケはなかなかとれないでしょうけどね。薩摩弁丸出しのヅカも趣がありまんなあ。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「通貨の日本史 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで」(高木久史著・中央公論新社・907円)です。