2016年10月29日禅のイベントが次々開催!

カテゴリー中島孝志の「日本伝統文化研究会」」

 このところ、禅のイベントがあちこちでありまして。つうか、京都では半年前に開催されてたんすけどね。

 まずは丸の内の出光美術館。いつもは空いてるのに驚きました。混み混み。私が乗った時には私1人だけだったのに、帰りにエレベーターを見たら超満員。

 う〜ん。そういうことか。どういうことかわからんけどね。


「大仙がい展」ですね。待ってました。

 東の白隠、西の仙がい。3度も紫衣を賜る栄華を断って墨衣を貫いた天の邪鬼。ま、そんな人間でなければ禅僧なんぞつとまりませんよね。一休がそうでしたし、一休が憧れた宗峰妙超(大燈国師)もまたしかり。。。

 
 仙がい義梵(せんがいぎぼん)は江戸時代の人。美濃国武儀郡生まれですから、いまの関市に小作農の子として生まれたわけです。天変地異と政情不安の寛政から文化文政の爛熟期そして天保の初年まで生き抜いた人です。

 臨済宗古月派。日本最古の禅寺=博多聖福寺の住職として活躍しましたが、元祖「ヘタウマ」の書画家でもあったと思います。

 で、出光美術館の初代館長出光佐三は高校時代、博多で遭遇して「一目惚れ」。以来、コレクションは1000点。その代表的なモノが今回披露されてます。佐三は宗像の生まれで、代々、宗像大社の信仰厚い家柄ですよね。

 11歳で地元の清泰寺で得度しますと、19歳のとき、憧れていた白隠の寺をスルーして横浜の東輝庵に一目散に駆けつけます。月船禅慧の下で修行を重ね、32歳、師の遷化を契機に諸国行脚の旅に出ます。

 で、博多に下って、40歳で扶桑最初禅窟聖福寺(ふそうさいしょぜんくつしょうふくじ)の住持になるわけ。この寺は去年、訪れました。さすがに日本初の禅寺だけのことはあります。風雪流れ旅そのまんまの寺。渋いこと渋いこと。


博多の聖福寺仏殿。ここで生涯「博多の仙がいさん」として生き抜いたんだなあ。

山門です。



いちばんポピュラーな書はこれでしょう。

 シンプルな図形を組み合わせただけのもの。「賛」がないんで解釈が難解。つまり、どうとでもとれるわけ。「○△□」とそのまま呼ばれる書なんだけど、墨の濃さとか流れからすると「□」「△」「○」の順に描かれているように理解されてますね。

 図録によれば、「○が禅宗、△が真言宗、□が天台宗」「仏教、儒教、神道の三教一致を示している」「密教でいう 地、火、識の象徴である」そして「△は修行途中、○が修行を完成させた状態、ならば□は修行以前の状態」・・・いろいろです。出光佐三本人は「宇宙=universe」としてますね。
 「紫衣勧奨へのことわりを妙心寺の大通和尚にしたためた手紙では、自身を未熟者で△の身であり、修行が成就して○となる一歩手前である」と述べられているそうです。「□」についてはノーコメント。ならば、修行以前の状態と読むべきでしょう。


 さてさて、東京国立博物館では「臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展『禅 心をかたちに』」が熱烈開催中です。
 見応えがありますよ。つうか、ありすぎ。とても1日では見終わりません。飽きないのよねえ。
 本山から末寺から、よくまあこんだけ名宝を集めたもんすねえ。禅の歴史、美術、文化を通覧できますよ。肖像と墨蹟、仏像仏画、工芸、障壁画などなど。外国人も懸命に鑑賞してましたよ。あまりにも展示物が多いんで、前半は臨済禅と黄檗禅、後半は曹洞禅とするのでしょう。
 前期展示=10月18日(火)--11月6日(日)、後期展示=11月8日(火)--11月27日(日)です。


見所は・・・原原でお話しましょう。菩提達磨の後継者に関する絵が発見されました。それでしょうなあ。雪舟筆もいいけどね。


禅宗の系譜。。。原原でとくと説明します。直近は新潟原原だなあ。

 どちらも図録が充実してます。いつも思うんだけど、見るだけでええんかなあ。どうして図録を買わんのかわからん。貴重なデータですし、ネットでもチェックできませんからね。アマゾンでも売らないし。すでに2冊読破しましたが、よーここまでまとめたな、というレベルです。
 
 参考までにいままで最高レベルの図録はバチカン神秘図書館オープン時に配布された(買わされた)図録です。
 昭和天皇がローマ法王に贈られたサインも掲載されてますからね。

 さて、原原ではただでさえテーマがたくさんありますし、同じテーマでも講義内容がいつも違いますし、で、まれに「商道の哲理について語ろう」というテーマを取り上げることがあります。たいていは商道は商道でも「超最新マーケティング」のほうを優先的に紹介解説することにしてますが、前者の場合、どういうわけか、「禅」について知ったかぶりでたっぷりお話しております。
 というのも、映像で紹介する経営者が仏教とくに禅の心をベースに「人間経営」を実践しているからです。

 「六祖壇経」で知られる大鑑慧能禅師を六祖に指名した弘忍は、二祖に慧可を選んだ達磨とまったく同じ価値観が貫かれていることに気づきます。そして、この価値観は「本物の経営」「本物の商売」「本物のファンづくり」を展開している経営者には共通していることに合点がいきます。ま、詳しくは原原でとくとお話したいと思います。

 わかる人にはわかる。わからん人には永遠にわからない。ご縁があるかどうか。縁無き衆生は度し難し、というもんね。