2017年02月01日「スノーデン」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 この映画見たくてねえ、出雲でもやってるから、タイミングが合えば見てこようと思ってたんですけど、ダメでした。で、羽田から映画館に直行。。。

 なかなかでやんしたよ。期待通り。最後の最後、切り替わって本物のスノーデンが登場。たぶんそういう作りをするのでは、と思ってましたんで、やっぱなあ。。。うんうん、そうこなくっちゃね。

 さて、スノーデンについて、かなり誤解している人がいると思います。つうか、彼の行動がなければ、いまなお、世界中の人々の、私の、あなたのプライバシーが、アメリカの一機関に蹂躙され続けていたでしょうね。

 最初は当局をかばっていたオバマにしたって、スノーデンの告発から火がついて、裁判所も「法律違反」と認定、結局はメディアに攻撃されて、「中止」を命じざるをえなかったわけでね。オバマがやらせたに決まってるじゃないですか。


『プラトーン』『JFK』『ニクソン』『ブッシュ』に続くオリバー・ストーン監督作品。


 NSA=アメリカ国家安全情報局は、世界中の人々の電話、メール、フェイスブック、ネットの利用履歴など、GoogleやFacebook、Yahooなどの大手ネットも利用して、ありとあらゆるプライバシー=個人情報を収集していました。

 この政府による人権蹂躙を暴露したのが29歳のSE、エドワード・スノーデンでした。

 怖いっすね。国家が盗撮してるわけですから。いま、日本の政府、病院、原発等々、ライフラインもすべてCIAに牛耳られています。奥さんの背中のほくろをあなたが知らなくてもCIAは知っているわけです。

 オバマとNSAにしてみれば、「テロリストの情報収集は国家安全上必要不可欠のものである」という大義名分がありますよ。けど、許可も得ずに勝手にプライバシーを侵害する国家を告発することが、自分が正しいか、それとも国家が正しいか、正確な情報を人々に知ってもらって判断をあおごう、という行為に出たわけです。

 一職員ですから、組織を裏切り、上司と仲間を裏切ることにもなりますが、個人的な感情に左右されず、人々に真実を訴えて、判断をあおぐ。これは正解だと思います。
 香港で『英ザ・ガーディアン』という大衆紙がスノーデンの告発記事を掲載すると、アメリカ政府はスパイ防止法違反、窃盗等々の罪で香港に逮捕状と犯人引き渡しを要請しますが、香港政府はスノーデンをモスクワに逃がします。

 エクアドル等18カ国に亡命申請しますが、2014年7月、ロシアで期限付き居住権を得てアメリカの恋人リンゼイと暮らすことになります。

 ドイツやブラジルでは個人情報がどこまで盗まれているか、独自取材が始まったそうですが、日本ではまったくありませんでした。メディアの脳天気さがよくわかります。

 アメリカは日本政府を盗聴していました。同盟国ですら信じずに盗聴するのがアメリカらしいところです。
 ウィキリークスによれば、NSAは安倍政権下でも官庁から官僚の自宅、商社などの電話を盗聴していたとすっぱ抜いています。テロとは関係ありません。金融、貿易、エネルギーなど、ビジネスがらみです。
 NSAと協力関係にあるイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダとも情報は共有されていました。
 日本の監視拠点は米海軍横須賀基地、米空軍三沢基地、横田基地と米大使館、海兵隊キャンプ・ハンセン、空軍嘉手納基地で1000人が諜報に当たっているとのこと。

 オバマは国家安全情報局の違法情報収集について停止を命じましたが、たぶん、いまだに続けているはずですよ。


 さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「日本の武器で滅びる中華人民共和国 前編」(兵頭二十八著・907円・講談社)です。