2005年02月14日「アマゾンの秘密」「どや! 大阪のおばちゃん学」「デブはダイエット飲料だと3倍の量を飲む

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「アマゾンの秘密」
 松本晃一著 ダイヤモンド社 1575円

 アマゾン書店。
 わたしも活用してます。年間500万円は買ってんじゃないかなぁ。だから、わが家の財務省にはいつも叱られてばかり。

 このビジネスが日本に上陸してから、まだ5年も経ってないのよね。けど、すっかりメジャーになってしまいましたね。
 インターネット・ビジネスでは世界最大だもの。

 アマゾンの前はずっと紀伊国屋書店のブックウエブだったのね。けど、郵送料などの関係もあるし、なにより、検索機能かな。
 ここにメリットを感じて、8割方はアマゾンです。 

 アマゾンの特徴はなんといっても、自前で作った自慢のウエブ。とくに、書評でしょうな。
 読者が★印でこの本を勧めるかどうか、意見を表明する点でしょう。

 見ると、完全に編集者がサクラになって、過度の激賞文を送ってたりしますけど、これはすぐにわかるね。
 だって、その推薦者をクリックすると同じ出版社の本ばかり推薦してるもの。なーんだ、サクラか。道理で、ずいぶん、詳しく説明してるわけだよね。
 どっちらけ。
 こういうことが起こるのもしかたありません。

 けど、これは氷山の一角。やはり、一般の人が一等、二等を決めるというのは、それはそれでいいんじゃないかな。
 どうしようもない下品な本でも売れるし、いい内容の本でも売れないことはままあります。
 それらをすべてひっくるめて、それでも意見を表明するチャンスがあり、また、それを参考にして選択できるということは、情報民主主義の現代にはジャスト・フィットだね。

 さて、本書では、再販売価格制度という特殊事情を抱えた日本にやってきたアマゾン。この黒船が潜水艦のように深く潜行して、この日本でビジネスを仕掛け、そして見事、栄冠を勝ち取るまでを現場にいた関係者がまとめてます。
 けど、どうもドラマチックに読めず、淡々とレポートをしてもらうような気分になるのは、おそらく、文章のせいでしょうな。
 まっ、これが好きだという人もいるでしょうから、文句はいいませんけどね。
 150円高。
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2 「どや! 大阪のおばちゃん学」
 前垣和義著 草思社 1470円


実はわたしも同じ企画を温めてました。だれに書かそうかなとしばし考え、そのまま、10年。
 この本、著者が学生たちを動員してまとめさせたレポートを中心にまとめたものです。
 この作り方、正解です。

 わたしが取材された大阪読売新聞の記事も掲載されてたり、なんか他人の本とは思えまへんなぁ。

 「おばちゃん」とひと言で言いますけど、これ、年齢はあまり関係ありませんよ。
 高校生、いや、小学生でももうすっかり「おばちゃん」になってるのいますからねぇ。
 まして、30歳も過ぎたら、うようよいるでしょうな(もちろん40代、50代でも「乙女」もいますけどね)。

 たとえば、「このビール、まずいわ。タダにして」という人。まずいから取り替えてならわかります。まずいからタダにしろって、普通は言えません。
 けど、「言うだけならタダ」「それでまけてもらったら得!」・・・こういう人がおばちゃんなの。
 おばちゃんの物差は得か損かという二者択一。で、いつも得を選ぼうとする。早い話ががめついのよ。
 著者は大阪のおばちゃんはがめつさの中にも可愛さがある。そこは「えげつない」というおばちゃんとは一線をかくしたいと言ってますが、まっ、おばちゃんはえげつないでしょ。
 「兄ちゃん、ええ男やなぁ。まけてぇな」と調子がい。口から出任せもおばちゃんの証拠。言うだけならタダ。損はしない。ねっ、おばちゃんの法則に当てはまるでしょ。

 おばちゃんについて、本書では100項目のチェックリストを用意してます。
 「まけて、はコミュニケーションと位置づけている」
 「百貨店やブランドショップでもまけて、という」
 「知らない人と気軽にしゃべれる」
 「バッグに飴を入れている」
 「人のものを見て、ナンボしたんと聞く」
 「自分のものを見せて、ナンボすると思う、と聞く」
 「タダ、特価という言葉に敏感である」
 「アンケートに対して謝礼がないと、なんかくれへんと要求する」
 「ジャージ姿で買い物に出かけても平気である」
 「自分より後に注文した人の料理が先に来た場合、文句を言う」
 
 早い話が、ジコチューなわけ。
 いますよね、おばちゃん。20代、30代でもいまっせ。おばちゃん!
 早い話が、おばちゃんには羞恥心がないってことですな。女の命は羞恥心だと思うけど、これじゃ、メシ食べられませんものね。
 地球が崩壊しても、おばちゃんは生き残りますな。
 ところで、おばちゃんはおばちゃんでも、ヘッドコピーに「大阪」がつく。これ、史上最強ということでっせ。
 もう地球上のチャンピオンでんな。
 250円高。
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3 「デブはダイエット飲料だと3倍の量を飲む」
 長井秀和著 インフォバーン 1260円

 これ、「サイゾー」に連載したものをまとめたヤツ。毎日、ああだ、こうだとくっちゃべってるヤツね。
 たとえば、
 九月四日
 松田聖子ちゃん。ベッカムにはいかないすか? いってくださいよ。チャンスですから。

 九月十六日
 テレビのアナウンサー同士の会話は、たしかにテンポがいいんだが、いかんせん、どこを楽しんでいいんだか、何を聞かせたいんだか、わからない。そのポイントが完全にズレているんです。

 八月五日
 ダンディ坂野が画面から外にはけようとしてるんだ。カメラは固定しておけ。追うな。そろそろわかってやれ。

 八月十五日
 「夜露死苦」「喧嘩上等」など、暴走族は漢字に強いってイメージがあるかもしれないが、たしかに音読みはそこそこイケる。でも、訓読みはさっぱりなんだ。使わないから。

 八月二十三日
 茨城や千葉のカーナビは、フィリピン・パブの捨て看板が国道沿いの目印として表示されます。しょうがないです。

 六月七日
 「私、踊る!」「私、配る!」ってCMには、あと一人、「私、取り立てる! 私、追い込む!!」って奴がいたのに、カットしやがったんだ。

 五月二十二日
 オカマは敵意を抱いた相手に対して、「こいつ、絶対殺したい、死ね、本当に死ね」と露骨に殺意を示す。ただ、テレビでそれを言うのは表現がきつすぎるので、おすピーは「踏んづけてやる」なんだ。

 間違いない!
 150円高。
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