2018年04月03日向田邦子さんの素敵な素敵なドラマ「幸福」を知ってますか?
カテゴリー中島孝志のテレビっ子バンザイ!」
この季節、狂ったように夜中やってるのが書棚とDVDラックの整理整頓。もう大変なのよ。
以前、バカらしくなって本と本棚を廃棄したことがあります。本は一部の趣味つうかライフワークつうか、その類の本だけ残して、古書店に取りにきてもらいました。
ざっと3万冊。本棚は高価でしたけどこれも処分。ま、ダンシャリつうヤツですよ。後悔? してないねえ。高価な宗教書は大学の先生が引き取ってくれたしね。一冊ン万円もすんだよ。まだ安い方。
かなり注意して処分してますけど、またまた増えてきちゃいました。売るのも面倒。書き込みしてるから消してください、とか言われたりして。んなことしたくないから古書店に来てるわけだね。
処分しなくちゃ。DVDは5000個。邪魔だけどこれは引き取り手があるので。。。
いつもの悪い癖なんだけど、整理整頓しながら気づいたら本を読んでる。DVDとかビデオも見ちゃう。気づいたら朝。ま、この繰り返し。
向田邦子さん脚本のドラマ「幸福」のDVDが出てきました。これ、傑作っす。大好きなんすよ。
と思ったら、いまから14年前のホームページ時代に書いてるのね。以下、当時の文章を引用してみますね。
昭和56年8月22日、飛行機事故で亡くなった脚本家の向田邦子さん。「寺内貫太郎一家」とか「だいこんの花」とかね。NHKだと「あ・うん」がそうか。
彼女の作品、DVDはすべて持ってます。で、いちばん好きなのはこれ。
「幸福」。2番目は「冬の運動会」。ヒロインが長谷京じゃなくて、いしだあゆみさんの方ね。
若いね、いまから25年前の作品だもの。つうことは40年前つうこと。
どこが好きかと言われてもねえ、なんというか、向田ドラマってのは、日常の小さなできごとの1つ1つをすくい取って描いているでしょ。それとさ、「食いしん坊バンザイ!」の私にとって、食事シーンが頻繁に出るのもいいのね。
基本的に外国映画(アジアは別)でヒロイン、ヒーローが飯食ってるシーンなんてほとんど出てきません。ハリー・キャラハンがホットドッグとかハンバーガー食べてるとこくらい。
向田さんはご自身、料理がとてもうまいし、食いしん坊だから、食事シーンにはものすごくこだわってるみたい。脚本には食事シーンに登場する料理のレシピまでつけちゃうんだから。
よく見てるとわかるけど、食事シーンを撮る時、かなりいい加減な人が多いね。すぐわかるのは、量がものすごく少ないこと。たとえば、「淋しいのはおまえだけじゃない(脚本は市川森一さん)」で、西田敏行さんが大衆演劇の座員たちと車座で朝、飯食ってるの。
茶碗にはご飯なんて入ってないの。にもかかわらず、かっ込んで食べる演技。気になってしょうがない。「おい、飯入ってないぞ!」って、テレビに突っ込んじゃう。
こんなことがない。向田作品には。
このドラマでも、竹脇無我さんは入試失敗以来、エリートの兄貴に反発して羽田空港そばのオヤジさん1人でやってる小さな鉄工所の工員役。
岸本加代子さん演じる妹と2人暮らし。ちょっと頼りなくて、なにを聞かれても、「どっちでもいい」としか答えない。自分の意思がないというか、じれったいのよ。そこに女は惚れちゃうの。
「私がいないと、この人、大変」ってね(そうか、そういう手があったか・・・)。
毎朝、ご飯に晩の残りをおかずにして食べる。テーブルじゃないよ。ちゃぶ台。飯の量は半端じゃない。だって、1日大変な労働なんだもの。
見てると美味そうなんだよ、これが。「そうそう、そのくらい食うよ。朝から絶対。若いんだから。そうそう、上品に食べちゃダメだよ。時間がもったいないから、途中でご飯にぶっかけちゃう。肉じゃが、カレーだって少しくらい塊になってたって、あったかいご飯に乗っけりゃ溶けんだよ。ガァーッとかっこむんだ。新聞、畳に広げてみそ汁飲めよ」
「おい、熱いよ、これ」なんて突っ込んだりして。完全に感情移入しちゃってるから、主人公と一緒になって飯、食ってる気持ち。実はこれ、密かな楽しみなのね。
私、ドラマでいちばん好きなの、食べるシーンなのね。
食事シーンは大変だよ。
なにが?
「取り直し!」です。
俳優は大食いチャンピオンじゃないもの。テイク3までいったら箸は動きません。とちったり、みなから嫌な顔されるから集中してやるわけ。いくらでも平気な顔して食べてたのは、加山雄三さんだけだって。
天才は森繁久弥、森光子のもりもりコンビ。段取りがめちゃくちゃ良くて、ちょうどセリフをしゃべり終わると、お代わりができるようになってた。食べながらでもセリフをきちんとしゃべる技術。さすがプロ。
さてさて、いまからちょうど25年前(40年前ね)のテレビドラマなのよ。TBSね。テーマはなにかね。
お互いに気がかりなくせに、反目し合っている兄弟姉妹が、いろんな体験を通じて理解し合っていくという感じ?
目の前にはいろんな幸福への選択があると思うんだよね。みな、そのベストの選択をしようと頑張ってるわけ。けど、それが実は「スカ」だったりする。ならば、あのとき、ワーストと思った選択をすれば良かったか? そんな度胸はない。その時その時にベスト・オブ・ベストの選択をしてもこうなるわけ。
なぜかというと、そこにはいろんな関数が影響するから。人生は見晴らしのいい一本道じゃないからさ。直線だと思って走り出したら、いきなり穴に落ちたりね。
主人公は竹脇無我。兄貴は山崎努さん。山崎努さんは出世するために上司の娘と結婚。恋人だった岸恵子さんを捨てる。兄の結婚式当日、ふらりと岸恵子さんが遊びに来た時、ひょんなことから2人は結ばれてしまう。以来、何年も会わずに別れる。
竹脇無我は岸恵子さんの妹の中田喜子さんと結婚を誓う仲になるんだけど、中田喜子さんは女の勘で2人にはなにかあった、と疑心暗鬼。
さて、どうなることやら。出演はほかに、笠智衆、藤田弓子、津川雅彦、小鹿番、七尾伶子、本間優二の皆さん。
毎回、ドラマの冒頭に「幸福」という詩というか、小さなメッセージを読み上げます。
素顔の幸福は
しみもあれば、
涙の痕もあります。
思いがけない片隅に、
不幸のなかに
転がっています。
屑ダイヤより小さい
それに気がついて
掌にすくい上げることの
できる人を、
幸福というのかも
知れません。
音楽はアン・マレー「辛い別れ」。これ、日本人は好きだと思うよ。ジャニス・イアンの「Will you dance?」とどっこい。ちょっと原文と訳(私がやっといた)を紹介しておきましょうか。いい曲なんだ、これ。原理原則研究会ではDVD放映して紹介したでしょ。
I cried a tear
You wiped it dry
I was confused
You cleared my mind
私がこぼした涙
拭いてくれたのはあなた
なにもわからない私
気づかせてくれたのもあなた
I sold my soul
You bought it back for me
And held me up
And gave me dignity
私が捨てた魂
あなたは拾って渡してくれた
そして私を励まし
大切なことに気づかせてくれた
Somehow you needed me
あなたが私を必要としたのはなぜ?
You gave me strength
To stand alone again
To face the world
Out on my own again
私に強い力をくれた
一人で立てる力を
もう一度、1人で
世の中と対峙するだけの力を
And I can't believe it's you
I can't believe it's true
I needed you
And you were there
まさかあなたが
とても信じられない
私こそあなたが必要だったの
だから、手を伸せば届くところにいてくれたのね
You needed me
You needed me
私のことを必要としてくれた
私を必要としてくれたのね
とってもいい詩です。「幸福」ってさ、つかんだり勝ち取ったりするもんじゃなくて、平凡な時の流れの中で、時々、発見したり感じたりするもんじゃないのかなあ。せつないけどさ。だから探したくなる。そして、探せばすぐそこに見つかるものなんだ・・・あなたの幸せナビゲーター、中島孝志。
くっだらねえこと書いてましたなあ。けどね、自己啓発セミナー100回参加するより山本周五郎の本1冊読んだほうがいいし、心がヘトヘトになったらビタミン剤100粒のむより1冊あるいは1本の向田作品だわな。
さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「私の生命の復活」(上橋 泉著・1,620円・如月出版)です。
以前、バカらしくなって本と本棚を廃棄したことがあります。本は一部の趣味つうかライフワークつうか、その類の本だけ残して、古書店に取りにきてもらいました。
ざっと3万冊。本棚は高価でしたけどこれも処分。ま、ダンシャリつうヤツですよ。後悔? してないねえ。高価な宗教書は大学の先生が引き取ってくれたしね。一冊ン万円もすんだよ。まだ安い方。
かなり注意して処分してますけど、またまた増えてきちゃいました。売るのも面倒。書き込みしてるから消してください、とか言われたりして。んなことしたくないから古書店に来てるわけだね。
処分しなくちゃ。DVDは5000個。邪魔だけどこれは引き取り手があるので。。。
いつもの悪い癖なんだけど、整理整頓しながら気づいたら本を読んでる。DVDとかビデオも見ちゃう。気づいたら朝。ま、この繰り返し。
向田邦子さん脚本のドラマ「幸福」のDVDが出てきました。これ、傑作っす。大好きなんすよ。
と思ったら、いまから14年前のホームページ時代に書いてるのね。以下、当時の文章を引用してみますね。
昭和56年8月22日、飛行機事故で亡くなった脚本家の向田邦子さん。「寺内貫太郎一家」とか「だいこんの花」とかね。NHKだと「あ・うん」がそうか。
彼女の作品、DVDはすべて持ってます。で、いちばん好きなのはこれ。
「幸福」。2番目は「冬の運動会」。ヒロインが長谷京じゃなくて、いしだあゆみさんの方ね。
若いね、いまから25年前の作品だもの。つうことは40年前つうこと。
どこが好きかと言われてもねえ、なんというか、向田ドラマってのは、日常の小さなできごとの1つ1つをすくい取って描いているでしょ。それとさ、「食いしん坊バンザイ!」の私にとって、食事シーンが頻繁に出るのもいいのね。
基本的に外国映画(アジアは別)でヒロイン、ヒーローが飯食ってるシーンなんてほとんど出てきません。ハリー・キャラハンがホットドッグとかハンバーガー食べてるとこくらい。
向田さんはご自身、料理がとてもうまいし、食いしん坊だから、食事シーンにはものすごくこだわってるみたい。脚本には食事シーンに登場する料理のレシピまでつけちゃうんだから。
よく見てるとわかるけど、食事シーンを撮る時、かなりいい加減な人が多いね。すぐわかるのは、量がものすごく少ないこと。たとえば、「淋しいのはおまえだけじゃない(脚本は市川森一さん)」で、西田敏行さんが大衆演劇の座員たちと車座で朝、飯食ってるの。
茶碗にはご飯なんて入ってないの。にもかかわらず、かっ込んで食べる演技。気になってしょうがない。「おい、飯入ってないぞ!」って、テレビに突っ込んじゃう。
こんなことがない。向田作品には。
このドラマでも、竹脇無我さんは入試失敗以来、エリートの兄貴に反発して羽田空港そばのオヤジさん1人でやってる小さな鉄工所の工員役。
岸本加代子さん演じる妹と2人暮らし。ちょっと頼りなくて、なにを聞かれても、「どっちでもいい」としか答えない。自分の意思がないというか、じれったいのよ。そこに女は惚れちゃうの。
「私がいないと、この人、大変」ってね(そうか、そういう手があったか・・・)。
毎朝、ご飯に晩の残りをおかずにして食べる。テーブルじゃないよ。ちゃぶ台。飯の量は半端じゃない。だって、1日大変な労働なんだもの。
見てると美味そうなんだよ、これが。「そうそう、そのくらい食うよ。朝から絶対。若いんだから。そうそう、上品に食べちゃダメだよ。時間がもったいないから、途中でご飯にぶっかけちゃう。肉じゃが、カレーだって少しくらい塊になってたって、あったかいご飯に乗っけりゃ溶けんだよ。ガァーッとかっこむんだ。新聞、畳に広げてみそ汁飲めよ」
「おい、熱いよ、これ」なんて突っ込んだりして。完全に感情移入しちゃってるから、主人公と一緒になって飯、食ってる気持ち。実はこれ、密かな楽しみなのね。
私、ドラマでいちばん好きなの、食べるシーンなのね。
食事シーンは大変だよ。
なにが?
「取り直し!」です。
俳優は大食いチャンピオンじゃないもの。テイク3までいったら箸は動きません。とちったり、みなから嫌な顔されるから集中してやるわけ。いくらでも平気な顔して食べてたのは、加山雄三さんだけだって。
天才は森繁久弥、森光子のもりもりコンビ。段取りがめちゃくちゃ良くて、ちょうどセリフをしゃべり終わると、お代わりができるようになってた。食べながらでもセリフをきちんとしゃべる技術。さすがプロ。
さてさて、いまからちょうど25年前(40年前ね)のテレビドラマなのよ。TBSね。テーマはなにかね。
お互いに気がかりなくせに、反目し合っている兄弟姉妹が、いろんな体験を通じて理解し合っていくという感じ?
目の前にはいろんな幸福への選択があると思うんだよね。みな、そのベストの選択をしようと頑張ってるわけ。けど、それが実は「スカ」だったりする。ならば、あのとき、ワーストと思った選択をすれば良かったか? そんな度胸はない。その時その時にベスト・オブ・ベストの選択をしてもこうなるわけ。
なぜかというと、そこにはいろんな関数が影響するから。人生は見晴らしのいい一本道じゃないからさ。直線だと思って走り出したら、いきなり穴に落ちたりね。
主人公は竹脇無我。兄貴は山崎努さん。山崎努さんは出世するために上司の娘と結婚。恋人だった岸恵子さんを捨てる。兄の結婚式当日、ふらりと岸恵子さんが遊びに来た時、ひょんなことから2人は結ばれてしまう。以来、何年も会わずに別れる。
竹脇無我は岸恵子さんの妹の中田喜子さんと結婚を誓う仲になるんだけど、中田喜子さんは女の勘で2人にはなにかあった、と疑心暗鬼。
さて、どうなることやら。出演はほかに、笠智衆、藤田弓子、津川雅彦、小鹿番、七尾伶子、本間優二の皆さん。
毎回、ドラマの冒頭に「幸福」という詩というか、小さなメッセージを読み上げます。
素顔の幸福は
しみもあれば、
涙の痕もあります。
思いがけない片隅に、
不幸のなかに
転がっています。
屑ダイヤより小さい
それに気がついて
掌にすくい上げることの
できる人を、
幸福というのかも
知れません。
音楽はアン・マレー「辛い別れ」。これ、日本人は好きだと思うよ。ジャニス・イアンの「Will you dance?」とどっこい。ちょっと原文と訳(私がやっといた)を紹介しておきましょうか。いい曲なんだ、これ。原理原則研究会ではDVD放映して紹介したでしょ。
I cried a tear
You wiped it dry
I was confused
You cleared my mind
私がこぼした涙
拭いてくれたのはあなた
なにもわからない私
気づかせてくれたのもあなた
I sold my soul
You bought it back for me
And held me up
And gave me dignity
私が捨てた魂
あなたは拾って渡してくれた
そして私を励まし
大切なことに気づかせてくれた
Somehow you needed me
あなたが私を必要としたのはなぜ?
You gave me strength
To stand alone again
To face the world
Out on my own again
私に強い力をくれた
一人で立てる力を
もう一度、1人で
世の中と対峙するだけの力を
And I can't believe it's you
I can't believe it's true
I needed you
And you were there
まさかあなたが
とても信じられない
私こそあなたが必要だったの
だから、手を伸せば届くところにいてくれたのね
You needed me
You needed me
私のことを必要としてくれた
私を必要としてくれたのね
とってもいい詩です。「幸福」ってさ、つかんだり勝ち取ったりするもんじゃなくて、平凡な時の流れの中で、時々、発見したり感じたりするもんじゃないのかなあ。せつないけどさ。だから探したくなる。そして、探せばすぐそこに見つかるものなんだ・・・あなたの幸せナビゲーター、中島孝志。
くっだらねえこと書いてましたなあ。けどね、自己啓発セミナー100回参加するより山本周五郎の本1冊読んだほうがいいし、心がヘトヘトになったらビタミン剤100粒のむより1冊あるいは1本の向田作品だわな。
さて、今日の「通勤快読」でご紹介する本は「私の生命の復活」(上橋 泉著・1,620円・如月出版)です。