2005年02月07日「噂の真相 25年戦記」「ヒロシです。」「ちょいモテ男になる技術」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「噂の真相 25年戦記」
 岡留安則著 集英社 735円

 よく読んだなぁ、この雑誌。
 25年?
 通算308号?

 満身創痍! まっ、よく続きましたね。

 「ヒューマン・インタレストがベースにないと、作る方も読む方も面白いはずがない」

 男性向けのワイドショーみたいなノリで、覗き見趣味を刺激する雑誌だったね。けど、硬派を気取ってるところも大あり。
 「少しきついな」と思う企画もかなりあったけど・・・。

 「スクープ! あの阿部定をついに発見!」
 「アイドルタレントを操るあるホモ・プロダクションの秘密」
 「警視庁タブー あるキャリア組エリート幹部の浮気の実態を追跡!」

 ・・・なんてのは、ほんの一部の企画。

 「フライデー」や「フォーカス」というかつて一世を風靡した写真雑誌と違って、この雑誌のターゲットは「批判の対象を政治家や官僚などの権力者たる公人、世論形成に影響力のある作家や言論人などのオピニオンリーダー、芸能人やスター選手といったみなし公人」としてきたこと。
 ロス疑惑、和歌山カレー事件、本庄保険金殺人事件・・・これらはメディアの報道に関する検証はしても、事件そのものに突っ込むことはしませんでしたね。

 雑誌は生き物で、時代を映す鏡です。だから、若者に迎合すると非難されようが、俺はどうでもいい、わが道を行くというスタンスでは、オヤジ雑誌となって廃れちまうってこと。

 そもそも、この雑誌は「マスコミ評論」を追い出された著者が、知人に一律10万円の出資を募る形で創刊したわけ。
 計800万円集めたけど、解散する時、100万円にして返したのね。最後まで株券をもってくれたのは足立倫行さんと小池真理子さんの二人だけだそうです。

 この雑誌が業界のみならず広く受け容れられたのは、やはり、「最後の砦」という部分でしょうな。
 古い話だけど、むかし、「文藝春秋」が田中角栄さんの「金脈、人脈問題」を暴いた時、大手新聞社の記者連中がこう言ってましたね。
 「そんなことはとうの昔にわかってる」
 けど、書かなかった。書けなかった。いろんな事情、しがらみがあったからね。
 記者の中にも書きたかった人は少なくなかったと思いますよ。とくに、若手はね。

 「せっかくスクープとったのに、スポンサーや上層部の意向やマスコミ・タブーでボツになっちゃった」
 こうなると、記者魂も腐るし、現場のモチベーションも落ちますね。

 そこで、「よし、うちで出せないとしても、せめて記事にだけはしてやる」と「噂真」に持ち込むわけ。
 いってみれば、業界内告発をすべて受けていた「駆け込み寺」だったわけですよね。ということは、どんな妨害にも屈しないという覚悟がなければできない芸当なわけですよ。
 これ、大きいですよ。

業界内タブーといえば、文壇の大御所に対する批判でしょうね。
 これは政界、財界、官界に対してはとかく批判記事の多い週刊誌でも及び腰。たとえば、「松本清張」に対する批判なんて、できないもの。
 けど、「噂真」は平気なの。特集組んじゃうし・・・。
 ほかにも、多くの作家が俎上に乗りましたね。
 たとえば、村上龍さん、渡辺淳一さん、五木寛之さん、林真理子さん、柳美里さんとかね。
 生島治郎さんなんて、韓国人女性との再婚スクープ写真を掲載された時、怒り心頭だったけど、「激怒するより、作家としてこの再婚を作品として残すべきではないか」と言われて、その通りにしちゃった。
 それでできたのが、映画にもなった「片翼だけの天使」ってわけ。
 瓢箪から駒ってか。
 150円高。
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2 「ヒロシです。」
 ヒロシ著 扶桑社 1260円


♪ヒロシです。
 百円ショップで
 「これいくらですか?」と聞いたことがあります。♪

♪タカシです。
 外国人の女性とすれ違うと
 思わず残り香をかいでしまうとです。♪

♪ヒロシです。
 電車で知らない女の人に
 片思いする
 癖があるとです。♪

♪タカシです。
 電車で知らない女の人に
 レストランで食事して・・・
 こんな会話をして・・・
 こんなホテルで・・・
 と、ついつい妄想を膨らませてしまう癖があるとです。♪

♪ヒロシです。
 最近、枕からチラシ寿司の
 匂いがします。♪

♪タカシです。
 わたしは枕から
 ブルガリア・ヨーグルトの匂いがするとです。♪

♪ヒロシです。
 BoAとユンソナの区別がつきません。♪

♪タカシです。
 行きつけの店の女の子に
 「ユンソナそっくりだね」と言ったら、
 「時々、千秋にも似てるって言われる」と返されました。
 ユンソナと千秋って、似てますか?♪

♪ヒロシです。
 浮気はしないと言っていた
 彼女のアパートに遊びに行くと
 必ず便座が上がっています。♪

♪タカシです。
 浮気はしないという
 彼女のマンションでトイレを借りると
 時々プカプカ浮いてるものがあります。♪

♪ヒロシです。
 リンスをお湯でといて使う
 時代に生まれました。♪

♪タカシです。
 わたしはいまもお湯でといてるとです。♪

♪ヒロシです。
 生命線が消えました。♪

♪タカシです。
 知能線が消えました。♪

♪ヒロシです。
 俺の絵の具だけ
 黄土色が3本もあります。♪

♪タカシです。
 「おうど色」って「黄土色」って書くのね。
 この本読んではじめて知りました。♪

♪ヒロシです。
 遠足にサンドイッチを持って
 いくのに憧れて
 お母さんに頼んでみました。
 味噌が塗ってありました。♪

♪タカシです。
 遠足のおにぎり。
 同級生は可愛い△型とか俵型。おかずもたくさん。
 わたしのはビニール袋の中にソフトボール大の巨大おにぎりが一個
 ドカッとあるだけ。
 クラスの悪ガキに見つかると、そのおにぎりでソフトボール大会が始まるとです。♪

♪ヒロシです。
 360円の時給で
 働いたことがあります。♪

♪タカシです。
 高校時代、時給360円でテキ屋のアルバイトをしていました。
 酔っぱらい相手に「走馬燈」を売りつける仕事です。♪

♪ヒロシです。
 学芸会では土でした。♪

♪タカシです。
 学芸会では月でした。♪

 こんなことやってる暇無いんだよね、ホントは。
 ごめん、原稿さっさと書くからさ。今回だけは許してね、編集者のみなさま!
 250円高。
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3 「ちょいモテ男になる技術」
 斉田直世著 幻冬舎 1365円

 著者は日本女子大の学生さん。母親の離婚をきっかけに経済的に独立。
 で、はじめたのがキャバクラ嬢。

 3年間で6軒のキャバクラに勤めたっていうから、この世界ではベテランですね。
 酔っぱらいというか、酒が入った男って、だらしないし、大言壮語だし、いい加減だし、デタラメだし、でもって、キャバクラ行く目的は一つしかないし・・・。
 こんな修羅場で生きてきただけに、このキャバクラ嬢も「精神的な年増」であることに変わりはありませんな。

 けど、わたし、キャバクラって一度も行ったことないんだよね。クラブ活動はそこそこあるんだけどさ。六本木の「○○○」って女の子が百二十人くらいいるけど、あれ、キャバクラじゃないでしょ。
 あそこ、クラブだよね。だって、高いもの。

 いくらキャバクラ行ったことないとはいえ、ある程度、こんなものかと想像はつきますね。
 クラブのチープなやつ、ホステスが若いとかね。18〜25歳くらいらしいよ。
 たしかに若くてピチピチって(これじゃ、オヤジだね。まっ、オヤジだけどさ)。

 ところで、「キャバクラで月に三百万も使いました」ってのは、モテない証拠だって。
 というのも、モテるお客は金を使わない。キャバクラ嬢がプライベートで会ってくれるからね。

 じゃ、モテるお客ってのはどんなのか?
 
 この点についてああでもない、こうでもないと、男の生態観測をしてまとめたのが本書というわけです。男女関係の真理というか、蘊蓄というか、綾というか、ケーススタディというか、まっ、そんなのがたくさん載ってます。

 著者曰く、「キャバクラは女性への接し方や会話術の最高のトレーニングセンターです」だと。
 これ、あまりにも良く言い過ぎじゃねぇの。たしかにコミュニケーションはあるけど、会話って何?

 彼女たちの定番表現ってのは、次の通り。

 「おいくつなんですか?」
 「お若いですね」(お客がオヤジの場合)
 「落ち着いて見えますね」(お客がガキの場合)
 「仕事の帰りですか?」
 「お酒、強いんですね」
 「いいセンスしてますね」
 「カラオケ好きですか?」
 「モテるでしょ?」
 「いろんなお店、知ってるんですね。いきたーい」
 ・・・なんてね。
 あくまでも、これは本の中に載ってたんで、わたしがキャバクラで聞かれたことではありませんからね。念のため!

 「いろんなお店、知ってるんですね。連れてって」と言わないところがミソ。
 わかる?
 だって、図々しいでしょ。お客が引いちゃったりするから。この反応で様子を見てるわけ。また、「連れてってやろうか?」なんてお客から言われて、キャバクラ嬢が困ることだってあるわけだから。

 で、モテるお客ってのは、ずばり、キャバクラ嬢を愉しませてくれる人。
 これってふざけてない?
 お金払ってるのがお客。「なら、愉しませてよ」と言いたくなるでしょ。

 でも、これって野暮なのよ。
 ホント、キャバクラ嬢は女の子とコミュニケーションするための練習台。たしかに、著者が指摘するように「トレーニングセンター」なのかもね。もしかすると、極真流百人組み手かもよ。
 
 実際、つき合ってるカレが元客というケースも少なくないんです(てことは、チャンスがいっぱいというわけだ。今度、行こうかな。知り合いの編集者で著者の勤めていた中野のキャバクラの常連がいるから連れてってもらおうっと)。

 さて、モテる鉄則はこれ。
 キャバクラ嬢の心が開くような人。
 すなわち、一緒にいて安心感のある人。仕事であることを忘れさせてくれる人。自分の素が出せる人・・・ってこと。
 おいおい、ふざけんなよ。自分たちが癒やされてどうすんだよ。お客を癒やしてくれよ・・・と考える人はキャバクラ通いはやめましょう。

 これは舞妓遊びと一緒。相手を乗せてナンボの世界なんです。クラブだってそうだしね。変わりませんよ。
 お客だから自分だけが愉しむ・・・ではなくて、相手を愉しませて自分も愉しむのが秘訣というか、極意です。
 だって、お客とキャバクラ嬢という線引きをすること自体、彼女たちは嫌がるし、白けるしね。

 そうそう、指名は各店一人だけにしましょう。
 あっちの子、こっちの子と浮気すると、虻蜂取らずになっちゃうの。キャバクラ嬢みんなに嫌われちゃうから要注意。
 また、場内指名はしないこと。これって、「隣のテーブルにいる○○子がいい」とか「あっちの子、いいね」とかで遠くから見て指名すること。
 もろ、容姿だけでセレクトしてるでしょ。だから、ダメ。
 
 キャバクラ嬢も一応プロだから、プライドがあるわけよ。ボーイが「○○子さん、お時間です」と違うテーブルに行かせようとする。
 その時、「○○子ちゃんともっと話したいんだけど」
 「指名料金がかかりますけど」
 「いいよ」
 となると、○○子ちゃんはプロとしての面目躍如。「わたしの接客技術が認められたんだわ」「気があったんだ」ってね、これ、女の子にしても気分がいいでしょ。
 だから、当然、「ありがとう」って抱きついてきます(ウソ!)。

 モテるお客というのは営業マンと同じです。
 自分から話をする。
 笑顔を見せる。
 視線を合わせるってこと。
 
 わたしのようにシャイな人間は、なかなか相手と視線を合わせることって苦手。けど、こと、キャバクラ嬢の場合、視線を合わせないと、「あたし、嫌われてるのかしら・・・」と心配になってきちゃう。
 だから、ここはなんとしても視線を合わせましょう。

 よく親しくなると、キャバクラ嬢のことを「○○子ちゃん」じゃなくて、「○○子」と呼び捨てにすることがあるじゃないですか。
 これもタブー。
 キャバクラ嬢が気分を害するってわけじゃなくて、店内で疑似恋愛環境になってしまうと、店外で発展する芽が消えちゃうわけよ。
 これって、痛いでしょ。だから、やっちゃダメ。

 こんなこともすべて本に書いてあったことで、ホントかどうか知りません。だって、一度もキャバクラって行ったことないんだもん。
 念のため!

 平均的なキャバクラ嬢の収入ってのは、「時給3千円×8時間×5日×4週間=48万円」てなところ。
 これから税金、衣装代、送り代、罰金、厚生費などなどが引かれます。
 楽な商売じゃないね。

 さぁてと、原稿も書き終えたことだし、ハマのキャバクラにでも行ってくるかな。
 「いざ、キャバクラ!」
 お後が宜しいようで・・・。
 150円高。
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