2019年03月14日「メルマガ中島孝志の経済教室」転載します。3/11配信「米中合意ってホントにあるの?(第1回)」
さて、NYCの友人から電話。日本時間3時50分。私が朝4時起き生活だってご存じなんで、ギリで電話したんだろうね。もち、とっくに起きてましたよ。
「米中交渉急がないってトランプが発言したよ。君が言う通り、米朝交渉と同じ展開になりそうだね」
てことで、3/11に会員さんに配信した「3分でわかる!チャートたっぷり!中島孝志の『経済教室』メルマガ を転載させて頂きます。テーマは 「米中合意ってホントにあるの?(第1回)」 です。
以下転載・・・。
おばんです。中島孝志の「経済教室」です。
ダウは5日連続、日経平均株価は4日連続の下落。上海株価指数もここに来て息切れです。
中国は全人代が始まり、ゾンビ企業にも強烈なモルヒネ(シャドウバンキング融資を緩めた手形のジャンプ)をうちまくってむちゃぶりで株価を上げています。去年もモルヒネが切れるたびにうち続けてきましたけど、もうなりふりかまわないという様子ですね。
全人代では核心の「中国製造2025」はタブー。そのかわり習近平の批判はウエルカム。 Huaweiはアメリカの的にかけられ・・・これだけ見れば中国はいよいよ経済破綻か、と考えてしまいますが、結論から言えば、中国よりもアメリカのほうが事態は厳しいのではないでしょうか。
「利上げは停止してますよね?」
「はい」
「資産縮小も年内に止めるとか」
「はい」
「円高ドル安ですよね」
「円安ドル高ですよ」
FRBが決められるのは短期金利です。長期金利はマーケットが決めます。その長期金利が上昇しそうですね。
なぜ?
「いま、米中貿易戦争の真っ最中ですよね。3月中に米中首脳会談があるとかないとか」
「3/27?」
「そのあたりといわれてますね。私は延期すると思ってますけど」
「どうしてですか?」
「まとまらないからですよ。米朝首脳会談も合意と思いこんでた金正恩は梯子を外され、高熱でベトナム視察をドタキャンしたじゃないですか?」
「・・・」
「私、米中合意はないのでは、と考えています」
「え、この前まであるあるある」と言ってたでしょ?
「はい、米朝首脳会談とセット・・・と話したでしょ?」
「・・・」
「米朝首脳会談の合意がないんですから米中合意もないんですよ」
「それと金利上昇がどう関係するんですか?」
「アメリカは中国からの輸入品にすでに10%の関税をかけてます。25%になってないだけのことです。この関税はだれが払ってるんですか?」
「アメリカの企業とか市民?」
「そうです。1割増で高く買ってるんです。早い話が10%のインフレ。なのにFRBは利上げできない」
「・・・」
「それだけじゃありません。ここに来て、アメリカの金融機関が投融資を絞り込んでるんです。リーマンショックみたいのが来たら大変だから」
「来るんですか?」
「来ません。羮に懲りてってヤツです。リスクをとらなくなったんです」
「すると・・・」
「市場にまわるべきお金がなくなります」
専門的には「M2」といいます。FRBがいままで3回量的緩和をしてきました。それが利上げと資産縮小に転換しました。だからM2が減っているわけではないんです。金融機関が独自の判断で投融資に慎重になってるんです。ベースマネーが絞られているというより、金融機関がお金を絞り込んでいるんです。
「M2が減るとどうなります?」
「長期金利が上昇します」
「すると?」
「借金もしにくくなりますし社債も発行しにくくなります」
「すると?」
「自社株買いもしにくくなります」
「つまり?」
「株価が下落する」
株価で支えられてるトランプは、米中貿易戦争を早く切り上げなくちゃいけないわけです。しかし、この米中交渉は「質」と「量」の2つでアプローチしてます。あちらを立てればこちらが立たず。困りました。
「どうしてですか?」
「ホワイトハウスがまっぷたつに分かれてるからです」
「・・・ちょっとわかりません」
「複雑怪奇ですからね。少し解説しないとわかりませんよ」
「新聞とかテレビとかでわかりますか?」
「政治も経済も投資も地政学もわかる人ってそんなにいませんし、いても危なくて話せませんよ」
米朝会談でもトランプはトリッキーでした。米中でもやりそうですよ。3月は株価が乱高下します。久しぶりにトランプに振り回されそうですね。
続きは次回。
以上で転載終わり。
3/13に配信した 『中島孝志の経済教室』メルマガ のテーマは 「米中合意ってホントにあるの?(第2回) 景気後退の真因は中国ではなくアメリカです。」 です。全人代とトランプの動きについてさらに詳しく突っ込んで解説しています。
このご時世、インテリジェンス武装しなくちゃ生きていけませんな。「終わった人」なら日本の新聞とワイドショーで十分かもしれんけどさ。
「米中交渉急がないってトランプが発言したよ。君が言う通り、米朝交渉と同じ展開になりそうだね」
てことで、3/11に会員さんに配信した「3分でわかる!チャートたっぷり!中島孝志の『経済教室』メルマガ を転載させて頂きます。テーマは 「米中合意ってホントにあるの?(第1回)」 です。
以下転載・・・。
おばんです。中島孝志の「経済教室」です。
ダウは5日連続、日経平均株価は4日連続の下落。上海株価指数もここに来て息切れです。
中国は全人代が始まり、ゾンビ企業にも強烈なモルヒネ(シャドウバンキング融資を緩めた手形のジャンプ)をうちまくってむちゃぶりで株価を上げています。去年もモルヒネが切れるたびにうち続けてきましたけど、もうなりふりかまわないという様子ですね。
全人代では核心の「中国製造2025」はタブー。そのかわり習近平の批判はウエルカム。 Huaweiはアメリカの的にかけられ・・・これだけ見れば中国はいよいよ経済破綻か、と考えてしまいますが、結論から言えば、中国よりもアメリカのほうが事態は厳しいのではないでしょうか。
「利上げは停止してますよね?」
「はい」
「資産縮小も年内に止めるとか」
「はい」
「円高ドル安ですよね」
「円安ドル高ですよ」
FRBが決められるのは短期金利です。長期金利はマーケットが決めます。その長期金利が上昇しそうですね。
なぜ?
「いま、米中貿易戦争の真っ最中ですよね。3月中に米中首脳会談があるとかないとか」
「3/27?」
「そのあたりといわれてますね。私は延期すると思ってますけど」
「どうしてですか?」
「まとまらないからですよ。米朝首脳会談も合意と思いこんでた金正恩は梯子を外され、高熱でベトナム視察をドタキャンしたじゃないですか?」
「・・・」
「私、米中合意はないのでは、と考えています」
「え、この前まであるあるある」と言ってたでしょ?
「はい、米朝首脳会談とセット・・・と話したでしょ?」
「・・・」
「米朝首脳会談の合意がないんですから米中合意もないんですよ」
「それと金利上昇がどう関係するんですか?」
「アメリカは中国からの輸入品にすでに10%の関税をかけてます。25%になってないだけのことです。この関税はだれが払ってるんですか?」
「アメリカの企業とか市民?」
「そうです。1割増で高く買ってるんです。早い話が10%のインフレ。なのにFRBは利上げできない」
「・・・」
「それだけじゃありません。ここに来て、アメリカの金融機関が投融資を絞り込んでるんです。リーマンショックみたいのが来たら大変だから」
「来るんですか?」
「来ません。羮に懲りてってヤツです。リスクをとらなくなったんです」
「すると・・・」
「市場にまわるべきお金がなくなります」
専門的には「M2」といいます。FRBがいままで3回量的緩和をしてきました。それが利上げと資産縮小に転換しました。だからM2が減っているわけではないんです。金融機関が独自の判断で投融資に慎重になってるんです。ベースマネーが絞られているというより、金融機関がお金を絞り込んでいるんです。
「M2が減るとどうなります?」
「長期金利が上昇します」
「すると?」
「借金もしにくくなりますし社債も発行しにくくなります」
「すると?」
「自社株買いもしにくくなります」
「つまり?」
「株価が下落する」
株価で支えられてるトランプは、米中貿易戦争を早く切り上げなくちゃいけないわけです。しかし、この米中交渉は「質」と「量」の2つでアプローチしてます。あちらを立てればこちらが立たず。困りました。
「どうしてですか?」
「ホワイトハウスがまっぷたつに分かれてるからです」
「・・・ちょっとわかりません」
「複雑怪奇ですからね。少し解説しないとわかりませんよ」
「新聞とかテレビとかでわかりますか?」
「政治も経済も投資も地政学もわかる人ってそんなにいませんし、いても危なくて話せませんよ」
米朝会談でもトランプはトリッキーでした。米中でもやりそうですよ。3月は株価が乱高下します。久しぶりにトランプに振り回されそうですね。
続きは次回。
以上で転載終わり。
3/13に配信した 『中島孝志の経済教室』メルマガ のテーマは 「米中合意ってホントにあるの?(第2回) 景気後退の真因は中国ではなくアメリカです。」 です。全人代とトランプの動きについてさらに詳しく突っ込んで解説しています。
このご時世、インテリジェンス武装しなくちゃ生きていけませんな。「終わった人」なら日本の新聞とワイドショーで十分かもしれんけどさ。