2019年03月15日やっぱアカデミー賞だわな、「グリーンブック」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
ラストのセリフがなんとも洒落てますな。シナリオがとてもいい。
第91回アカデミー賞受賞。うーん、『ボヘミアンラプソディ』も観たけど、やっぱ、こっちだわな。同性愛がかぶるけど、流行なんかね。
これ、実話です。あちらも実話らしいけど。脚色がたんまり。これはまんまです。息子のニックが書いてるんだもん。2カ月の旅に出るとき、トニーは2人の子どもを抱きかかえて「ニック、フランク、ママの言うことをきくんだぞ」と話してもんね。で、タイトルクレジットにニックの名前みっけ。
そうだったんだ。
「あいつは天才だ。でも楽しんでない」
天才黒人ピアニスト。ドン・シャーリーはジャマイカ移民の子だけど、音楽の天分に恵まれて英才教育を受けることができたから、1962年、そこらへんの「黒人」とはモノが違うわけ。
火曜の東京原原(テーマは「仕事と経営に活かす日本と世界の歴史」)でお話しましたけど、アメリカって「独立宣言」からして「黒人は人間とは認めない」という主義ですからね。起草したトマス・ジャファーソンからして、毎晩、黒人奴隷を慰み者にしてたわけでね。
奴隷は人間じゃない。だから、学校、バス、レストラン、ホテル、トイレにいたるまで、白人用と黒人用で分別処理してたわけだしね。黒人と通じた白人女はリンチ、輪姦だもんね。
ナット・キンク・コールは故郷アラパマでステージから引きずり下ろされリンチの憂き目にあってますしね。
もち、南部は酷い。北部は少しはマシなだけ。
20万人のワシントン大行進が起きたのが63年でしょ。ケネディ兄弟そしてキング牧師のアジテーションもあって、公民権が認められるようになったのは64年。東京オリンピックの年ですよ。
そんだけ根深いということ。アメリカの人種差別はね。いまでも当然ありますよ。だから意識して差別しないように努力してるわけでしょ。
意識とか努力が必要なんだからホントに根深いわな。
もちろん、黒人も白人も「まともな人」もいれば「まともじゃない人」もいるわけ。その比率が致命的に違うし、それに地域性なんてものが入ると日本でも同じ。
身内がIVYリーグにいるけど、ドミトリーでは中国人はやっぱ浮いてる。エゴの塊でルールを守らない、と。なーんだ、習近平から銀座で買い物してるオバハンまでやっぱ同じなんだ、と思い込んでしまうわけよ。
でも公徳心のある中国人だってたくさんいるでしょ。どこかにね。
こういう「思い込み」が人の心を縛るわけ。
ドン・シャーリーというピアニストはナット・キング・コールのケースを承知で、わざと差別意識の高い町を演奏ツアーでまわったわけね。
イタリア系移民のトニーは元もと、コパカバーナの用心棒だから、どんなトラブルでも解決しちゃう。マネジャーにはうってつけなわけ。
ルールにうるさいドン・シャーリーと掟破りの世界で生きてきたトニーは水と油。水と油が狭い車の中で全米を縦断するわけですから推して知るべし。
でも、対立と爆発があるから仲が良くなっていきますわな。2人は終生、深い信頼と友情で結ばれていきます。
『グリーンブック』つうのは、ビクター・グリーンが自らも黒人なんで、白人社会でトラブルを起こさないよう、黒人を守るために編纂した「旅のガイドブック」ですね。黒人専用ホテル、黒人専用レストラン等の案内から各地の黒人規制、たとえば、夜の外出は何時までか等々の情報をまとめている本なのね。
「トラブルで気分を害さないように」というレベルではなく、「殺されないよう自衛する」という本です。
凄い社会ですよ。こういう社会だから国旗とか国歌等のシンボルをみなで尊重するんでしょうな。
人工国家ですよ、アメリカは。モザイクじゃないね。もっとバラバラ。人種差別に貧富の差、教育の差がこうじて階級社会ですもんね。超金持ちの黒人もいれば、ド貧民の白人もいます。
「おかしい、なぜ白人のオレがこんなに貧乏なんだ?!」
反省して生き方を変えるなんてことはしない。嫉妬し、羨み、ならば、こんな社会はぶっ壊してやる、となります。
「神が囁いた」なんて言葉で乱射事件が起き、最後は自分の頭にズドンと一発。
これでおしまい。
「暴力では勝てないことがあるんだ。だからDignityで闘うんだ」と諭すドン・シャーリー。「ニガーなんて言うな」と仲間を諭すトニー。
「黒人ぽくなく、リベラーチェのようで、もっと上手だ」
全編60年代の曲のオンパ。時代は62年。黒人音楽が白人に盗まれる直前ですな。
第91回アカデミー賞受賞。うーん、『ボヘミアンラプソディ』も観たけど、やっぱ、こっちだわな。同性愛がかぶるけど、流行なんかね。
これ、実話です。あちらも実話らしいけど。脚色がたんまり。これはまんまです。息子のニックが書いてるんだもん。2カ月の旅に出るとき、トニーは2人の子どもを抱きかかえて「ニック、フランク、ママの言うことをきくんだぞ」と話してもんね。で、タイトルクレジットにニックの名前みっけ。
そうだったんだ。
「あいつは天才だ。でも楽しんでない」
天才黒人ピアニスト。ドン・シャーリーはジャマイカ移民の子だけど、音楽の天分に恵まれて英才教育を受けることができたから、1962年、そこらへんの「黒人」とはモノが違うわけ。
火曜の東京原原(テーマは「仕事と経営に活かす日本と世界の歴史」)でお話しましたけど、アメリカって「独立宣言」からして「黒人は人間とは認めない」という主義ですからね。起草したトマス・ジャファーソンからして、毎晩、黒人奴隷を慰み者にしてたわけでね。
奴隷は人間じゃない。だから、学校、バス、レストラン、ホテル、トイレにいたるまで、白人用と黒人用で分別処理してたわけだしね。黒人と通じた白人女はリンチ、輪姦だもんね。
ナット・キンク・コールは故郷アラパマでステージから引きずり下ろされリンチの憂き目にあってますしね。
もち、南部は酷い。北部は少しはマシなだけ。
20万人のワシントン大行進が起きたのが63年でしょ。ケネディ兄弟そしてキング牧師のアジテーションもあって、公民権が認められるようになったのは64年。東京オリンピックの年ですよ。
そんだけ根深いということ。アメリカの人種差別はね。いまでも当然ありますよ。だから意識して差別しないように努力してるわけでしょ。
意識とか努力が必要なんだからホントに根深いわな。
もちろん、黒人も白人も「まともな人」もいれば「まともじゃない人」もいるわけ。その比率が致命的に違うし、それに地域性なんてものが入ると日本でも同じ。
身内がIVYリーグにいるけど、ドミトリーでは中国人はやっぱ浮いてる。エゴの塊でルールを守らない、と。なーんだ、習近平から銀座で買い物してるオバハンまでやっぱ同じなんだ、と思い込んでしまうわけよ。
でも公徳心のある中国人だってたくさんいるでしょ。どこかにね。
こういう「思い込み」が人の心を縛るわけ。
ドン・シャーリーというピアニストはナット・キング・コールのケースを承知で、わざと差別意識の高い町を演奏ツアーでまわったわけね。
イタリア系移民のトニーは元もと、コパカバーナの用心棒だから、どんなトラブルでも解決しちゃう。マネジャーにはうってつけなわけ。
ルールにうるさいドン・シャーリーと掟破りの世界で生きてきたトニーは水と油。水と油が狭い車の中で全米を縦断するわけですから推して知るべし。
でも、対立と爆発があるから仲が良くなっていきますわな。2人は終生、深い信頼と友情で結ばれていきます。
『グリーンブック』つうのは、ビクター・グリーンが自らも黒人なんで、白人社会でトラブルを起こさないよう、黒人を守るために編纂した「旅のガイドブック」ですね。黒人専用ホテル、黒人専用レストラン等の案内から各地の黒人規制、たとえば、夜の外出は何時までか等々の情報をまとめている本なのね。
「トラブルで気分を害さないように」というレベルではなく、「殺されないよう自衛する」という本です。
凄い社会ですよ。こういう社会だから国旗とか国歌等のシンボルをみなで尊重するんでしょうな。
人工国家ですよ、アメリカは。モザイクじゃないね。もっとバラバラ。人種差別に貧富の差、教育の差がこうじて階級社会ですもんね。超金持ちの黒人もいれば、ド貧民の白人もいます。
「おかしい、なぜ白人のオレがこんなに貧乏なんだ?!」
反省して生き方を変えるなんてことはしない。嫉妬し、羨み、ならば、こんな社会はぶっ壊してやる、となります。
「神が囁いた」なんて言葉で乱射事件が起き、最後は自分の頭にズドンと一発。
これでおしまい。
「暴力では勝てないことがあるんだ。だからDignityで闘うんだ」と諭すドン・シャーリー。「ニガーなんて言うな」と仲間を諭すトニー。
「黒人ぽくなく、リベラーチェのようで、もっと上手だ」
全編60年代の曲のオンパ。時代は62年。黒人音楽が白人に盗まれる直前ですな。