2005年10月23日「史上最短で、東証二部に上場する方法」 野尻佳孝著 アメーバブックス 1575円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

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 ずっと置きっぱなしにしてた。失敗! もっと早く読んどきゃよかった。いい本です。
 著者はハウスウェディングのプロデュースをするテイクアンドギブ・ニーズという会社の経営者。大学を卒業すると3年後で独立。創業3年でナスダック上場、その3年後に史上最短、最年少で東証二部上場を実現! すごいですね。
すごいのは、その夢を叶えてやろうという意思の強さというか、執念。これにたまげてしまいます。
 この人、子供の頃からずっとガキ大将。ケンカは強い、負けん気はもっと強い。それが災いしたか、小学生の時、クラス中から「シカト」されちゃう。だれも話をしてくれない。
 高校時代は渋谷のチームリーダーとして月商100万円を稼いでいたという強者。友だちが殺された事件で目ざめて、ラグビーを始めるわけ。で、花園に行っちゃう。
 大学は明大ラグビー部。さすが名門、10軍まであるってんだから。この時のしごきたるや凄まじいってもんじゃありません。「刑務所でもどこでも耐えられます」って言ってるくらい凄かった。身長160センチくらいだから小柄でしょ。でも、10軍の戦いを勝ち抜いて大学選手権でジャージを着るわけだ。
 ここまでの時代で、彼の心身ともに強靱なタフネスさが証明されてます。なにをやっても挫けない。執念、意思と意志の強さです。

 大学は卒業したものの、最初から3年後に起業するって決めてたわけ。仕事はガンガンやる。同時に人脈の開拓とビジネスアイデアを錬ることにも集中。
 元チーマー、ラグビー部の宴会部長としの経験も活かし、パーティビジネスを展開したら?・・・で、テイクアンドギヴ・ニーズ設立。わずか1畳のオフィスからスタート。
 当時は珍しかったよね。一軒家タイプのレストランと提携した「ハウスウェディング」ってのは。

 けど、どうして、ブライダル・ビジネスなわけ?
 実は著者は自分が勝てるマーケットをとことん研究してたみたい。
 この業界、挙式披露宴だけで2兆円。新婚旅行やジュエリーなど周辺産業を入れれば、10兆円近くある巨大マーケット・・・にもかかわらず、「大手」と呼ばれる企業が1社もない。
 40年もの間、ホテルか専門式場の独壇場だもの。ホテル50%、専門式場40%。いずれも、本業でも専業でもなく兼業なわけ。ほら、ゴンドラで降りてきたり、スモークが焚かれたりってヤツよ。
 
 そんな田舎臭い演出じゃなくて、もっと洒落たイベントをしようってこと。
 で、衣裳やブーケ、マリッジリングなども含めて、プロデュースのアイデアは山ほどある。
 けど、ウェディング会場がない。もちろん、お金なんかないから自前で用意はできない。てことは、どっかと提携しなくちゃ。自分のイメージに合う店を探します。で、白羽の矢を立てた・・・その中で最初に提携してくれたのが「イル・ブッテロ」。
 広尾のイタリアンレストランですね。
 オーナーのシルヴァーノさん。
 「たしかにおっしゃる通り、日本にはハウスウェディングという文化がまだないのかもしれません。とても素晴らしいコンセプトだと思います」
 「それに・・・野尻さんはとてもいい目をしている。そんなあなたにチャンスを与えたいと思います」
 これで決定。

そうそう、3年分書き込める日記を買い込み、最後のページに「会社を上場させる」と書き込んだ。でも、いまから思えばこの時の夢はまだまだ小さいのよ。
 「従業員30人、売上は最低10億円」だってさ。
 その後の展開はドラマのようだよ。

 「いつでもベストを尽くして生きてるな」と感じさせます。同時に、ものすごく慎重。大胆にして細心、かつ小心。
 このバランスは一流になる経営者に共通する特性です。
 200円高。