2006年03月27日人生、諦めるには早すぎる!

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 4/19にキーマンネットワークの勉強会があります。ゲストスピーカーの1人神山征二郎さん(映画監督)。
 この人の人生、いつ見ても波瀾万丈!

 「ハチ公物語」は戦後、松竹映画の最高動員記録をいまだに持っている名作。
 「月光の夏」(仲代達也主演)は250万人を動員中。いまだにホールを満員にする人気作。その他、「大河の一滴」「ひめゆりの塔」(ゴクミと沢口靖子さんが出演)、野口英世を描いた「遠き落日」、歴史物では「郡上一揆」「草の乱」などがあります。

 岐阜の田園地帯出身。映画好き、絵画好きが高じて日芸の映画学科に入学。クラスメイトに市川森一さん(脚本家)がいた。
 卒業後、なんとか最難関の映画業界に身を投じたものの、映画界は奈落の底に落ちはじめたところ。製作のチャンスなどなかなかない。あったとしても、先輩がズラリ。
 
 食えない。妻子もいるのに食えない。業界もどん底、自分もどん底。2人を実家に返す。けど、相変わらず食えない。
 「もうやめよう。そう言えば、いままで1度も脚本を最後まで書きあげたことがなかった。これだけ記念にやっておこう」
 脚本は同人誌(巨匠新藤兼人さん主宰)に掲載する。当然、これは宣伝活動。あわよくば仕事になるかもしれないから、いろんな映画会社や監督に送付するわけ。

 「君のがいちばん良かった」
 こう言ってくれたのは巨匠吉村公三郎監督。だれが認めてくれなくてもいい。この人に認められたことだけで千人力。
 「やっぱり、映画をやろう!」

 徳俵で踏ん張っていると、2カ月後、並みいる先輩をごぼう抜きして監督に抜擢。脚本が認められたから? これしか思い当たらない。
 贅沢はいえる立場にないけど、デビュー作は子供向け映画。
 「・・・」
 現場に入ると闘志満々。スタッフもキャストもやる気満々。これが映画会社を救う大ヒット作品になる。ツイてる。


毎日新聞の川俣記者の取材を受ける! 人生何があるかわからない!

 続いて撮った「ふるさと」という作品。なんのことはない。ダムの底に沈む村を舞台に、祖父さんと孫との釣りの話。登場人物も少ない低予算映画。
 これがモスクワ映画祭に出展する日本代表作品。

 モスクワでは午後10時からの上映。ロシア人というのは、つまらない映画だと数分で出てしまう国民性。
 「こんな地味な映画、ウケないだろう」
 ところが、ヤンヤの喝采。「ブラボー!」という歓声とともにスタンディングオベーション。これには日本映画を広く海外に普及してきた川喜多女史もビックリ。

 映画祭ではグランプリをとることはできなかった。パーティの時に1人の審査員から耳打ちされます。
 「ホントはあなたの作品がグランプリでした。だが、わが国はアフリカの某国をいま支援している。政治的事情でそちらをグランプリにした」
 まだソ連時代のロシア。無理はない。

 監督生活30年。25作目は『北辰斜にさすところ』という映画。主演は三國連太郎さん、緒形直人さん。
 撮影快調! 若き日の三國さんを演じるヒーロー、そしてヒロインをただいま大募集中!

 今年最初の「キーマンネットワーク勉強会」が決まりました。はじめての方、大歓迎!
 もうそろそろです!左の開催案内をチェックしてくださいね。