2006年04月26日「がばいばあちゃん めざせ甲子園」 島田洋七著 集英社 1050円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 前作、前々作に続くベストセラー第3弾。いまや、「ビジネスジャンプ」にも連載中だもんね。
 いよいよ、徳永君も高校に入学することになりました。なんと、野球で広島の名門広陽高校(広陵高校のことだろね)へ推薦入学。
 がばいばあちゃんと住んだ佐賀を後にして、今度はかあちゃんのいる広島へ。嬉しくて、哀しくて、複雑な心境だっただろうね。

 喜び勇んで家に戻ってきたものの、ばあちゃんのことが心配でならない。
 「そんなに心配ならいっぺん戻るかぁ?」
 「うん、そうする」
 貧乏だけど、お祝いに買ってもらった5段変速の自転車がある。これで400キロも離れてる佐賀まで走っていくわけよ。
 寺で泊まらせてもらい、食事もご馳走になっちゃう。ここでばあちゃんの話したら、ものもすごくウケるわけ。
 「ここに置いてる経文はすべて徳永君のばあちゃんのことじゃ」
 「逢ってみたいな、徳永君のばあちゃんと」
 どこでもばあちゃんは人気者。

 佐賀に戻ると、「そうそう、渡すの忘れてた」。
 「おまえのかあちろゃんの仕送りの一部を貯めといた。それにばあちゃんから1万円お祝いじゃ」
 計15万円。
 「腹が減った」
 「夢じゃ」
 「やっぱり腹が減ってる」
 「夢じゃ」
 「ご飯だけでおかずがないね」
 「明日からはご飯もないよ」
 そんな思いまでして貯めたお金。
 母親に渡すと、「かあさんらしいわ」と泣く始末。

高校は甲子園の常連。野球の推薦入学は全部で7人。
 放課後、野球部志望者がグラウンドに集まった。その数、なんと250人。1学年が700人。3分の1強が野球部なわけ。
 けど、これが3ヵ月で50人にまで減ります。もち、徳永君は残ります。

野球部の上下関係はめちゃ厳しい。毎日、球拾いばかり。バスの中で先輩を見掛けると、大きな声で挨拶。1年生は立って後部に移る。
 その間、先輩は無視してるわけ。
レギュラーには付き人も何人かいる。荷物なんか持たせない。カバンもすべて後輩が持つ。途中、遊ばないようにという意味もあります。
 友だちもいっぱいできた。
 入学早々、さすがの先輩たちも「君」付けで呼ぶ超ド級大型新人。広島全体の中学の総番長の河井君。
 「あれが河井か・・・」
 グラウンドで見た時には圧倒された。
「徳永君、高校に行ったらサードだけはやめといたほうがいいよ。広島の中学に河井というすごい子がいるから。君はセカンドのほうが賢明だと思う」と野球部の顧問からも言われてた。
 徳永君もポジションはサードだったのね。
 その後、河井君は甲子園に出場して、広島カープ、ヤクルトへと進みます。

 じゃ、徳永君は?
 もちろん、漫才師としてブレイクするわけさ。野球は? 甲子園は?
 それは読んでのお楽しみ。250円高。