2006年05月21日「心の旅路」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
好きだなぁ、グリア・ガーソン。女優の中でいちばん好き。このイギリス女優はこの映画で世界的に知られます。
この後、「キュリー夫人」でアカデミー賞(主演女優賞)をとりましたね。戦後、いちばん最初に日本に入ってきた外国映画が、この「キュリー夫人」なのよ。
さて、監督はヴィヴィアン・リー主演「哀愁」』の名匠マービン・ルロイです。余談だけど、「哀愁」は、かつて、「君の名は」というテレビドラマがありました。「女湯が空っぽになる」と言われたほどヒットした作品です。岸恵子さん、佐田啓二さん(中井貴一さんの実父)主演でね。これ、完全にこの映画のバクリ。
「心の旅路」は第1次大戦を背景にしています。戦争って、人との別れ、出会い、いろんなものを歴史に畳み込んでいますよね。
戦争で記憶を無くした男が精神病院を逃げ出してきます。
匿ったのは、たまたまタバコ屋で出会ったショーガール。以来、彼女は男の世話をすんの。地方に行って働き、男を養う。そして、妊娠すんだなぁ。
文章力のある男は新聞社に記事を寄稿します。これが採用されちゃう。
で、「新聞社に来ないか」と言われて上京すんの。
ところが、好事魔多し。車の事故に遭うのよね。そして、無くしていた記憶が戻っちゃう。
「自分は名士の元で生まれた」
そのかわり、女のこともすべて忘れてしまうんだ。
男は政治家として、企業経営者として大活躍。バリバリ働く。彼女のことなんか忘れてさ。
そんな彼のそばには、いつも有能な女性秘書がついてるんだ。
男に縁談が舞い込む。2人、教会で聞くオルガン。その音楽を聴いて、男はガラリと変わるのね。
なぜか結婚に踏み切らなくなるんです。
もちろん、女性は不安がりますよ。なにより、男の目が自分に注がれていないことに気づいちゃうんだな、これが。
哀しいね。切ないね。去るしかないね。自分が惨めだもの。
魂が洗われますよ。1942年の作品。この時代によく撮ったね。「風とともに去りぬ」もそうだけど。
ある日、男は会社のスト解決のために地方に行くのね。
どこか懐かしい場所。「煙草を切らした。買ってこい」と側近に命じます。
「タバコ屋はそっちじゃない。こっちだ。ついてこい」
「旦那様、ここには前にも来たことがあるので?」
「なぜだ?」
「だって、目印もないのにすぐ見つけたじゃないですか?」
「!」
男はかつての自分探しをはじめるんだよ。そして、ようやく辿り着くの。
あの2人暮らした懐かしい家をね。
事故以来、なぜかわからないけれど、いつもポケットに鍵を入れてた。
「いったいこれはなんの鍵?」と不思議に思ってた。捨てられずにずっと持ってんの。当然、いまもさ。
試しに鍵を差し込んでみる。ピッタシカンカン。
「スミス!」
その瞬間、背後で男を呼ぶ声がすんの。振り返ると同時に、彼も世界でいちばん愛した女、これからも愛する女の名を呼ぶんだよ。
「ポーラ!」
微笑んでいたのは、あのショーガール? いや、いつも男の世話をしていたあの秘書さ。記憶が戻ろうが戻るまいが、男を愛し続けた女だよ。
まさに心の旅路。男にとっても、女にとってもね。
「こんな女性、いないよね?」
いえいえ、それは女性の問題ではなく、男の問題でしょ? ご同輩?
この後、「キュリー夫人」でアカデミー賞(主演女優賞)をとりましたね。戦後、いちばん最初に日本に入ってきた外国映画が、この「キュリー夫人」なのよ。
さて、監督はヴィヴィアン・リー主演「哀愁」』の名匠マービン・ルロイです。余談だけど、「哀愁」は、かつて、「君の名は」というテレビドラマがありました。「女湯が空っぽになる」と言われたほどヒットした作品です。岸恵子さん、佐田啓二さん(中井貴一さんの実父)主演でね。これ、完全にこの映画のバクリ。
「心の旅路」は第1次大戦を背景にしています。戦争って、人との別れ、出会い、いろんなものを歴史に畳み込んでいますよね。
戦争で記憶を無くした男が精神病院を逃げ出してきます。
匿ったのは、たまたまタバコ屋で出会ったショーガール。以来、彼女は男の世話をすんの。地方に行って働き、男を養う。そして、妊娠すんだなぁ。
文章力のある男は新聞社に記事を寄稿します。これが採用されちゃう。
で、「新聞社に来ないか」と言われて上京すんの。
ところが、好事魔多し。車の事故に遭うのよね。そして、無くしていた記憶が戻っちゃう。
「自分は名士の元で生まれた」
そのかわり、女のこともすべて忘れてしまうんだ。
男は政治家として、企業経営者として大活躍。バリバリ働く。彼女のことなんか忘れてさ。
そんな彼のそばには、いつも有能な女性秘書がついてるんだ。
男に縁談が舞い込む。2人、教会で聞くオルガン。その音楽を聴いて、男はガラリと変わるのね。
なぜか結婚に踏み切らなくなるんです。
もちろん、女性は不安がりますよ。なにより、男の目が自分に注がれていないことに気づいちゃうんだな、これが。
哀しいね。切ないね。去るしかないね。自分が惨めだもの。
魂が洗われますよ。1942年の作品。この時代によく撮ったね。「風とともに去りぬ」もそうだけど。
ある日、男は会社のスト解決のために地方に行くのね。
どこか懐かしい場所。「煙草を切らした。買ってこい」と側近に命じます。
「タバコ屋はそっちじゃない。こっちだ。ついてこい」
「旦那様、ここには前にも来たことがあるので?」
「なぜだ?」
「だって、目印もないのにすぐ見つけたじゃないですか?」
「!」
男はかつての自分探しをはじめるんだよ。そして、ようやく辿り着くの。
あの2人暮らした懐かしい家をね。
事故以来、なぜかわからないけれど、いつもポケットに鍵を入れてた。
「いったいこれはなんの鍵?」と不思議に思ってた。捨てられずにずっと持ってんの。当然、いまもさ。
試しに鍵を差し込んでみる。ピッタシカンカン。
「スミス!」
その瞬間、背後で男を呼ぶ声がすんの。振り返ると同時に、彼も世界でいちばん愛した女、これからも愛する女の名を呼ぶんだよ。
「ポーラ!」
微笑んでいたのは、あのショーガール? いや、いつも男の世話をしていたあの秘書さ。記憶が戻ろうが戻るまいが、男を愛し続けた女だよ。
まさに心の旅路。男にとっても、女にとってもね。
「こんな女性、いないよね?」
いえいえ、それは女性の問題ではなく、男の問題でしょ? ご同輩?