2006年07月23日「カーテンコール」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
この原作、なぜか手にとったんだよね。どこに惹かれたかというと、主人公が昭和30年代、映画全盛期の時、幕間に客を楽しませることを生き甲斐にしてた従業員という設定ね。
プロの芸人じゃないのね。たまたまやったら当たったの。で、生き甲斐になっちゃった。
この設定、いいじゃんと思ったわけ。そんだけ。正直、原作もそんなにこなれた文章とは思えなかったけど。このアイデアに惹かれちゃった。
映画全盛期に幕間で芸をする人間がいてもおかしくないよね。というか、映画館て立派な舞台じゃん。
映画化されることを楽しみにしてたんよ。
ところが、なかなか封切りされないの。いま、お蔵入りになってる映画、多いけんね。で、調べたらDVDになるちゅう話じゃないですか? でもって、早速、手に入れたというわけなんよ。
この映画は順次、あちこちで上映するらしい。けど、これ、厳しいだろうなぁ。
原作もそうだけど、映画になると、一段と気負いが感じられて、科白や言い回しがいちいち重いんだよな。サラッとやったほうがベターだと思うけど。
でも、これだけの名優を揃えたのは立派ですね。ただ、どうして井上堯之さんがあの役なのか? 最後までわからんかったな。
主人公は何人もいます。まず、博多のタウン誌の女性新人ライター。東京の写真誌で大臣と女優との密会をスクープしたんだけど、女優が自殺未遂。で、博多に。
「懐かしマイブーム」として投稿された葉書に、「昔、下関のみなと劇場で幕間に出演し、歌やギター、声帯模写(古いねどうも)でウケてた映画館の芸人を探して」っつうのがあったの。芸人じゃなくて映画館に勤めてた人なんだけど、こりゃおもしろそうだと調べ出します。
「そりゃ、安川修平さんのことや」
唯一わかったのは、当時から働くモギリの女性だけ。
修平は昭和36年に劇場にやってきたらしい。場内整理、掃除、かガリ版でビラを作って配布したり、仕事熱心。
「座頭市」上映中にフィルムが切れて、お客が騒ぎ出した時、機転を利かして座頭市の物真似をした。これがウケて、以来、幕間に物真似をみせる「芸人」として人気者になったという。
けどさ、いまの客じゃ、こんなつまらないだ洒落、だれも笑わないよ。見てて恥ずかしくなっちゃう。
テレビの影響でお客きは激減。映画館で知り合った妻も工場で働くけど、体を壊して亡くなってしまう。ライターが訪ねた頃には、修平はとっくの昔に韓国に渡っていたんだよ。在日韓国人だったし、映画館も客が入らず首になる。食えなくても芸人を続けたいからと、韓国に渡ったわけ。1人娘を残してね。
「いい子にしてたら必ず迎えに来る」
その言葉を信じて待ち続けた娘は父親のことが許せない。
いよいよ、みなと劇場が閉鎖されると聞くと、ライターはこの芸人を韓国から連れ戻し、娘と合わせたいと願うのね。で、探しに行っちゃう。
なんで井上堯之さんなんかな。しつこいようだけど。
監督・脚本は佐々部清さん、キャストは狂言回し風のライターに伊藤歩さん。井筒監督の「のど自慢」に出てた女優さん。どことなく、田中麗奈さんをイメージさせる。
若い頃の修平役に藤井隆さん、老いてからは井上堯之さん。で、その娘が鶴田真由さん。モギリのおぎちゃんは藤村志保さん、写真誌の編集長に伊原剛志さん。
地味な映画だけど、邦画はこういうテイストのほうが味があるね。近々、立川で上映するらしいよ。ぜひ、ご覧下さい。私はもう一度、スクリーンで観ようと思います。味わいがダンチだからね。
「中島孝志が講義する原理原則研究会」の新メンバー(第6期生)募集中!詳細は左欄、蝶ネクタイの「タマネギ坊や」をクリックしてね。
プロの芸人じゃないのね。たまたまやったら当たったの。で、生き甲斐になっちゃった。
この設定、いいじゃんと思ったわけ。そんだけ。正直、原作もそんなにこなれた文章とは思えなかったけど。このアイデアに惹かれちゃった。
映画全盛期に幕間で芸をする人間がいてもおかしくないよね。というか、映画館て立派な舞台じゃん。
映画化されることを楽しみにしてたんよ。
ところが、なかなか封切りされないの。いま、お蔵入りになってる映画、多いけんね。で、調べたらDVDになるちゅう話じゃないですか? でもって、早速、手に入れたというわけなんよ。
この映画は順次、あちこちで上映するらしい。けど、これ、厳しいだろうなぁ。
原作もそうだけど、映画になると、一段と気負いが感じられて、科白や言い回しがいちいち重いんだよな。サラッとやったほうがベターだと思うけど。
でも、これだけの名優を揃えたのは立派ですね。ただ、どうして井上堯之さんがあの役なのか? 最後までわからんかったな。
主人公は何人もいます。まず、博多のタウン誌の女性新人ライター。東京の写真誌で大臣と女優との密会をスクープしたんだけど、女優が自殺未遂。で、博多に。
「懐かしマイブーム」として投稿された葉書に、「昔、下関のみなと劇場で幕間に出演し、歌やギター、声帯模写(古いねどうも)でウケてた映画館の芸人を探して」っつうのがあったの。芸人じゃなくて映画館に勤めてた人なんだけど、こりゃおもしろそうだと調べ出します。
「そりゃ、安川修平さんのことや」
唯一わかったのは、当時から働くモギリの女性だけ。
修平は昭和36年に劇場にやってきたらしい。場内整理、掃除、かガリ版でビラを作って配布したり、仕事熱心。
「座頭市」上映中にフィルムが切れて、お客が騒ぎ出した時、機転を利かして座頭市の物真似をした。これがウケて、以来、幕間に物真似をみせる「芸人」として人気者になったという。
けどさ、いまの客じゃ、こんなつまらないだ洒落、だれも笑わないよ。見てて恥ずかしくなっちゃう。
テレビの影響でお客きは激減。映画館で知り合った妻も工場で働くけど、体を壊して亡くなってしまう。ライターが訪ねた頃には、修平はとっくの昔に韓国に渡っていたんだよ。在日韓国人だったし、映画館も客が入らず首になる。食えなくても芸人を続けたいからと、韓国に渡ったわけ。1人娘を残してね。
「いい子にしてたら必ず迎えに来る」
その言葉を信じて待ち続けた娘は父親のことが許せない。
いよいよ、みなと劇場が閉鎖されると聞くと、ライターはこの芸人を韓国から連れ戻し、娘と合わせたいと願うのね。で、探しに行っちゃう。
なんで井上堯之さんなんかな。しつこいようだけど。
監督・脚本は佐々部清さん、キャストは狂言回し風のライターに伊藤歩さん。井筒監督の「のど自慢」に出てた女優さん。どことなく、田中麗奈さんをイメージさせる。
若い頃の修平役に藤井隆さん、老いてからは井上堯之さん。で、その娘が鶴田真由さん。モギリのおぎちゃんは藤村志保さん、写真誌の編集長に伊原剛志さん。
地味な映画だけど、邦画はこういうテイストのほうが味があるね。近々、立川で上映するらしいよ。ぜひ、ご覧下さい。私はもう一度、スクリーンで観ようと思います。味わいがダンチだからね。
「中島孝志が講義する原理原則研究会」の新メンバー(第6期生)募集中!詳細は左欄、蝶ネクタイの「タマネギ坊や」をクリックしてね。