2004年04月05日「ゲバゲバ70年!」 「影踏み」「やはりモテる男 意外とモテない男の違い」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「ゲバゲバ70年!」
 大橋巨泉著 講談社 1900円

 メルマガを発行します。
 どんなメニューにするかというと、わたしが最近会った人の中で「これは面白い!」と思った経営者の紹介、その人のビジネスの極意や裏話、それから本や映画、芝居、ミュージカル、音楽などで感動した話。とにかく、ホームページと違ってクローズド情報だけに、「ここだけの話」に特化してお届けしたいと思います。
 「内緒だよ」「あなたにしか教えない」というとびっきり高感度の情報をプレゼントしますから、お楽しみに。

 巨泉さんといっても、40歳以上の人しか知らないかも。
 「11PM」「ゲバゲバ90分」「クイズダービー」などの番組を大ヒットさせた司会者ですね。
 わたしとしては、「お笑い頭の体操」が隙だったかな。あと、CMでもいろいろ出てたね。「はっぱふみふみ」なんて、パイロット万年筆のコマーシャル、ありましたね。
 ちょうど、わたしが中学生になる頃でした。おかげで、いつも胸ポケットに万年筆を三本くらいさしてましたよ。

 でも、最近、話題になったのは参議院議員に当選してすぐ辞めた、ということくらいかな。
 あの時、「もっと票が取れる」と思っていたらしくて、当選したにしてもショックだったらしいですね。でも、無理ですね、40歳以下だと、この人のこと、知らないと思うよ。

 実は彼が全盛期には、田中角栄さんから参議院選に出馬の依頼があったんです。
 「あんたなら三百万票取れる」って。取れたと思いますよ、当時なら。で、日テレの社長に仲介してもらったらしい。
 「あんた、オレが思ってるより、ずいぶん偉いんだってな。角の野郎が言ってたよ」
 「三百万票取れるんだってな」
 「角の野郎はウソをつかねぇ」
 こんなこと言う社長です。読売グループの総帥正力松太郎さんの女婿である小林社長ですね。

 ところで、この人、司会者として有名ですけど、番組の企画もしちゃうわけよ。そこが長続きするんだろうね。
 みのもんたさんと違うところかな。英語ができるから、アメリカに行って朝からずっとテレビを見てる。その時、ヒントがたくさんあるわけ。
 ぱくりというわけじゃなくて、日本流にアレンジするわけですよ。
 「ここをこう変えないと受けないな」
 日本のメーカーがやって成功したことを、巨泉さんもやってたわけですね。 

 元々は、ジャズ評論家です。いま、70歳ですからね。学生時代にはジャズばかり聴いていた。
 学生時代に、ジャズファンの集まりに参加します。そこでは、メンバーがレコードを持ってきてかける。それを当てたり、中の演奏者を当てたりするわけ。相互研鑽組織みたいなものですね。
 そこで認められます。
 すると、「おまえ、ジャズ評論を書いてみないか」と誘われるわけですよ。

 実はこの話がこれが司会者、芸能界入りへのスタートになるんです。

 当時、ジャズは都会の若者を熱狂させていましたから、銀座、新宿ではジャズ倶楽部が大いに流行っていたわけです。
 そこでの司会もうまい。アメリカからジャズシンガーが来日しても、この人、高校時代からアテネフランセで英語の勉強してたんで、それが幸いして、いろんな仕事が入ってきます。
 すると、外国との人脈も自然とできてきますね。

 彼にとって、英語とは海外との人脈を広げることにものすごく役立ってますよ。
 
 後にカナダやオーストラリアでビジネスをスタートさせますけど、これが成功したのも英語が大きいね。

 さて、ジャズからテレビ司会者への転身というのは、ごくごく、自然でした。テレビでジャズ番組をやったからです。
 その後、ジャズが下火になっていきますけど、そのかわりにどんどん企画を出していった。また、勃興期のテレビ産業と歩調を合わせることができました。これも大きい。
 同時期、放送作家として永六輔さんも活躍してました。この人、喧嘩っ早いし、哲学があるから、気に入らない番組だと平気で降りちゃう。その後釜に巨泉さんが座る、ということもかなりありましたね。
 これも幸いしました。

 基本的に、この人の生き方は、好きなことしかしない、そのかわり徹底してやる。
 たとえば、麻雀、将棋、競馬、釣り、ゴルフなど、みな、玄人はだしです。これらがすべて芸になってます。
 11PMという番組では、これらの放送がよくありましたよ。わたしなんか、中学生でしたけど、麻雀に凝ってましたから、いつも楽しみにしてましたね。阿佐田哲也さんとか畑正憲さん、小島武夫さんなどもレギュラーでしたものね。
 考えてみれば、この人の原点ともいうべきジャズも趣味ですものね。でも、これで大学は中退しちゃうし、まっ、人生、何が幸いするかわかりません。

 ずばり言えば、なんの目的もないから学校にでも行き、目的を見つけてしまったら、学校なんて行ってる暇がないのかもしれないね。
 250円高。
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2 「影踏み」
 横山秀夫著 祥伝社 1700円

いま、この人にはまってます。今後、時々、紹介するかもしれませんね。
 映画の「半落ち」の原作者ですね。

 主人公は「ノビ師」の男。ノビ師とは「忍びの男」という意味よ。シノビのシを取っただけ。

 で、どんな仕事をするかというと、泥棒のこと。ただし、家人がいない時に泥棒するのではなくて、寝てる時とかに盗みに入るという人間。
 すごいねぇ。

 主人公にはいつも影のようにピタッと張り付いている人間がいます。いつも、耳にささやきかけるわけ。
 それは死んだ弟。
 兄である自分と比較されて、家族から愛されてないと思ってぐれて、泥棒したら逮捕されちゃう。それを悲観した母親がこの弟を道連れにして放火、助けに入った父親も含めて、全員、焼死します。
 以来、一心同体の影としてついてまわるわけ。主人公は司法試験を狙っていたのに、その事件ですべてを放り出します。そして、いつの間にか、弟のように泥棒になっていたわけですよ。

 双子だからね。同じ女を好きになったりね。

 この主人公を取り巻いて、いろんな事件が起こります。わたしが好きだったのは「使徒」という話かな。
 刑務所仲間から依頼があった、それはクリスマスにある女の子にプレゼントを渡して欲しいという依頼。サンタと同じですから、家に忍び込まないといけないわけ。
 その女の子は父親が泥棒で、デパートのおもちゃ売場からリカちゃん人形を盗んで逃げる時に、この女の子の目の前で車に引かれて死んじゃうわけ。以来、親戚に引き取られたんだけど、肩身の狭い思いばかり。
 クリスマスでも、プレゼントなんかもらえない。親戚は実の子供二人にはプレゼントを渡すのに、この子にはあげない。
 それが不憫だから、刑務所仲間から依頼されるわけですよ。
 毎年、その依頼者本人がやってたんだけど、刑務所に入っているため今年はできない。ちょうど、出所する主人公に頼むわけです。
 さて、どうなることか。
 
 この小説をひと言で言うと、「哀切」かな。暗い影を落としていきる男と女。なんか、どことなく、昭和ブルースの世界(といっても、知らないか)。
 350円高。
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3 「やはりモテる男 意外とモテない男の違い」
 綾小路さゆり著 青春出版社 1323円

 ご存じ、「丸の内お局さまは見た やはり伸びた男意外にだめだった男の違い」に続く第2弾です。
 けど、お局さまはパワフルですな。鋭すぎて、もう、ついていけません。

 今回は「男女関係」といういちばんお得意の話題です。どんな男がもてるのか、どんな男がもてないのか・・・ちょっと気にかかるな。
 男からしてみると、目からウロコだね。

 曰く、女が惹かれるのは「デキる男」ではなく、「伸びる男」です、だと。なるほどぇ、株と同じだな、こりゃ。

 「実は“仕事ができる人”がモテないことは多い」んだと。ふむふむ、そうか、そうか。
 「星飛雄馬型」でなく、目指すは「矢吹ジョー型」だと、へぇへぇへぇ。
 「死にものぐるいで乗り越えるより、笑って乗り越える人がいい」。たしかに。

 男が勘違いしている「優しい」という言葉の意味。
 「話を聞いてくれる人」はどんな女にも好かれる。
 愛される「えこひいき」と、嫌われる「えこひいき」。
 「頑張って」より「頑張ったね」と言える男になれ。
 「いい人ではダメ、すっごくいい人なら別!」

 ホント、深すぎます。
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