2004年01月26日「ヤクザに学ぶ決断力」「主婦AV女優」「内気と不安を軽くする練習帳」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「ヤクザに学ぶ決断力」
 山平重樹著 幻冬舎 495円

 どういうわけか、ヤクザもの、好きなんですよね。
 「仁義なき戦い」「悪名」は本も関連図書もDVDも持ってるし、暴力団関係者の自伝が好きでこれまたよく買ってるし・・・わたし自身、やくざな商売をしてるからでしょうか。

 で、このヤクザという商売ほど、決断力が必要なものはありませんね。
 
 ほかの組と抗争が起こった時、このまま戦争を続けるか、それとも引くか。この決断次第で組は破滅するか、隆盛を極めるかが決まってしまいます。
 この時の決断を左右するものにはたくさんの条件がありますが、彼らの最優先事項はこれ。
 「面子」と「筋」
 これが人名よりも優先されるわけですよ。
 面子と筋とは、この稼業を続けていくうえでもっとも重要なもの。これを失ったら、ヤクザとして生きていけない「存在意義」みたいなもの。
 簡単に言えば、「組の利益」のことです。

 この決断を下すのは組長になるわけです。

 以前、山口組が一和会と二つに分裂したことがありました。原因は四代目襲名をめぐっての抗争ですね。
 組長代行はすでに山本広組長が、そして若頭は竹中組長が就任していました。この時、田岡未亡人が三代目の遺志として指名したのは若頭の竹中組長でした。
 そして、これに異を唱えてこの組長を含む幹部三人を射殺したことで全面戦争が起きたわけです。
 
 ところで、この時、未亡人が時期四代目はだれにするかを決断したポイントは、右顧左眄する人物かどうか、だったと著者は指摘しています。たしかに、NHKのドキュメント番組「山口組 知られざる組織の内幕」という番組で田岡未亡人はインタビューに答えてこんなことを言ってるんですね。
 「きちんと決断できて、自分でケジメつけられる人ですから。あっちにしたらええやろか、こっちにしたらええやろかゆうような人やったら、そないしてる間に騒ぎが大きゅうなってしまいますやろ」
 だから、竹中四代目を指名したというわけですね。

 なるほど、なるほど。リーダーはやっぱり決断力がいちばん大切なんですなぁ、たしかに。
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2 「主婦AV女優」
 松山ももか著 徳間書店 1200円

 「あなたも本が出せるプロジェクト」で、いま、女流AV監督のプロデュースをしてます。
 ですんで、「AV」というキーワードには条件反射で派遣型風俗ビジネス反応してしまいます。ここ数年、AV業界は空前の熟女ブームらしいですね。昔は、「えっ、こんな娘が!」という美形しかヒットしなかったらしいですが、いまや、際物も売れてるようで、熟女もカテゴリー的には際物に属すらしいですよ。
 
 著者がAVに飛び込んだのは38歳の時。
 22歳で結婚し、瞬く間に子どもが二人。主婦をずっとやっていたわけですが、旦那さんは「女」として見てくれない。子どもの世話にも協力しない。いつか復讐してやろうと、考えていたらしい。
 まず最初の不倫は家の新築時。同年代の現場監督が相手。これはすぐに別れるわけですが、その後、出会い系サイトにはまっちゃうわけ。

 で、AVに飛び込むことになったのは、ある時、繁華街を歩いていると、
 「オネエサン、なんでそんな怖い顔して歩いてんの?」とホストから声をかけられる。これがタイプの男。店にはいかないものの、名刺をもらう。数日後、そこに電話する。結局、またまた不倫関係になるんですね。
 で、この男、ホストですから売上に協力してくれと、店に来てくれと誘うわけ。お金がそんなにあるわけじゃない。
 「平気だよ。AVに出なよ、紹介するから」
 監督に紹介したものの不合格。まだ、熟女ブームじゃなかったしね。でも、不合格はショック。
 「そんなに魅力のない女なの?」

 ある時、旦那さんがH本を買ってきた。それを見ると、「熟女がAV出演」と書いてある。
 「これだ!」
 その出版社に電話すると、たまたま、AV業界の人間が遊びに来ていた。
 「面接に来なよ」
 それから月に二本くらいのスパンで出演がはじまります。

 性的にはどん欲そのもの。AVがぴったしみたい。
 AV嬢を見ると、だれも普通のそこら辺にいる女性ばかり。違う点は、やっぱり綺麗なところ。
 けど、性的にものすごく好き者だからというわけでもありません。ごくごくノーマルなわけ。
 つまり、普通の人なんです(ホントかなあ)。

 いきなり、熟女ブーム。
 こうなると、一週間に五本撮影ということもありました。
 この間、旦那さんはもちろん、子どもたちにも内緒で出演しています。また、旦那さんの不倫も発覚。
 愛人から嫌がらせの電話までかかってくる。
 「お願い、旦那さんと別れて」
 「いいですよ」
 「えっ?」
 「だから、いいですよ。もっててってください」
 「!」
 旦那さんはすでに冷めてるわけ。愛人とは別れたいわけ。
 「あそこまで熱くさせちゃダメよ(あなたはアマチュアよ。わたしみたいに不倫のプロにならなくちゃ)」
 旦那は仕事もうまくいかず、自己破産。同居はするが、協議離婚。
 そして、大学生の息子にだけはばれてしまい、彼は家出。その後の和解。
 
 理性と性(さが)との狭間で動く女の気持ちがわかるような、わからないような・・・。
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3 「内気と不安を軽くする練習帳」
 ロナルド・M・ラペイ著 草思社 1400円

 「超人ハルク」という映画がありました。
 といっても、最近のリメイクされた映画を観てません。
 ドラマの主人公は科学者で、実験の失敗から、興奮すると筋肉モリモリの緑色の肌の大男になってしまい、なんとも奇怪な体質になってしまいます。
 怪物になったときの記憶はなし、パワー全開でひたすら暴れ回る。
 そこで誰も傷つけないように……と旅から旅へ人目を避けて生きようとするわけです(といって、番組の都合上、必ずトラブルに巻き込まれるわけ)。
 実は変身した超人ハルクは知人はおろか、民間人を傷つけることも一切ありません。せいぜい悪い奴らを懲らしめる程度です。人殺しもしません。
 にもかかわらず、「そのうち誰かを傷つける…」といって人間関係から逃げ続ける……言ってみれば、「自意識過剰」が自分を苦しめているわけです。

 人間は生きていれば、自分が発した言葉や振る舞いで人に不快感を与えることもあれば、嫌われることもあります。
 嫌われるのが怖い。バカだと思われたくない、拒絶されたくない。
 自意識過剰な人は、自分を否定されたくないあまり自分から心を開こうとしません。そして、このこ自体に悩むんです。
 「どうしてもっと積極的になれないんだろう?」
 「内気でダメなわたし・・・」
 他人の反応や評価を過剰に恐れるあまり、回避したり逃亡したりといった行動に出る、これを「社会不安障害」と言うそうです。

 これを解決するための療法が「現実的思考」です。

 たとえば、同僚から異業種交流会などに誘われたとします。
 「口ベタだから迷惑になるし……」と言って断ってしまう。しかし、その前にどれくらい迷惑になるかを現実的に考えてみる。
 たとえば、パーティに一人無口な人間がいたからといって、やり場のない怒りを抱えて家に帰ったことがあるか?
 無口な人間がいる会社を、「あそこはどうしようもない」と購買拒否運動を起こしたり、上司に取引中止を訴えたことがあるか?
 無口な友人がいる友人と絶交したことがあるか?
 「口ベタだから人と話せない」・・・これすら考えものなんですね。
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