2006年10月29日「瀬戸内少年野球団」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 「私たち、野球しましょ!」
 なんて可憐な女性なんだろう。「するする、野球します!」と思わず答えてしまいそうですな。
 化粧品会社のモデルとして登場するや、あっという間に女優の階段を頂上まで極めてしまいました。花の盛りで散った薔薇一輪・・・という感じでしょうか。

『鬼龍院花子の生涯』も良かった。いまとなっては珍しい気品のある女優でした。


戦争を引きずった青春群像。戦後はジャズと野球に民主主義。そして恋か。

 舞台は昭和20年9月の淡路島。国民学校の初等科5年男組。
 竜太とバラケツ(不良)。それに担任の駒子先生(夏目雅子・敬称略・以下同)を軸に物語がまわっていきます。

 戦争によって人生を狂わされた人は少なくないと思うけど、この竜太とバラケツもそう。2人とも父親が戦死してるわけ。駒子先生もその1人。新婚早々出征した夫は戦死。義理の両親からは次男との再婚をすすめるけれども、気がすすまない。

 A級戦犯としてシンガポールで処刑される元海軍提督も島にやってきた。命の洗濯というわけ。武女(むめ)という美しい娘を連れて。島の子供たちは進駐軍の手から守ってやろうと誓い合う。
 小説では、この元提督(伊丹十三)はどんどん俗物になってくんだけど、映画では凛として最後まで軍人らしく振る舞ってましたね。

 駒子は暴力でねじ伏せられたけど、再婚は頑として受け入れるつもりはないという覚悟を強く持つ。そんな時、バラケツと竜太は松葉杖の傷痍軍人に声をかけられる。駒子の夫正夫(郷ひろみ)。元・甲子園球児だ。

 バラケツの兄姉は教室でキャンデーをばらまく。争って拾う子供たち。そんな姿を見て、駒子は子供たちに野球を教えようと思った。手作りでグローブやボール、バットを作って練習する。野球の得意な正夫をコーチに駒子率いる江坂タイガース。けど、隣町チームとのゲームは惨憺たる結果でしょんぼり。

 武女の父がシンガポールで絞首刑になったという報せが島に届く。兄(三上博史)が待つ東京に帰らなければならない。島の思い出に、かつて、島で砲台調査に来たことのあるアンダーソン大尉が野球の試合をやろうと申し込んできた。竜太と三郎は武女の父親の仇を討とうと燃えに燃える。
 試合は思わぬ展開をするんだよね。


清楚な女教師役がとってもお似合い。授業参観のついでに各クラスチェックしたけどこんな先生いなかったなぁ(なにやってんだ)。

 子役がいいよね。大人の役者がすべて食われちゃってる。これはエンタテイメント作品として最高だよ。

 けどさ、この映画、DVDが三部作でボックス販売になってんのよ。つまり、これしか観たくなくても『瀬戸内少年野球団・青春篇・最後の楽園』と『瀬戸内ムーンライト・セレナーデ』がついてくるわけ。で、当然、その分高くなんの。
 私ゃ、買いましたよ。三部作。だってバラ売りしてないんだもん。けどさ、あまりにもセコいんじゃない?
 続けざまに3本、ついでに『少年時代』まで観たけど、やっぱこの1作だけで満腹でした。しかし、ボックスセットだから不要のDVDをアマゾンのユーズドにも出品できないんだよね。