2006年10月30日「のぼせもんやけん」 小松政夫著 竹書房 1575円
新刊が出ました。「仕事がはかどりすぎて困る!どうにも素敵な文具術」(アーク出版)がそれです。
仕事のスピードアップ、業績アップのための方法を私自身が活用してる文具60数点の写真とともに解説しています。仕事の失敗談、成功談たっぷりの変な本ですけどよろしく、です。
前ね、某出版社の役員に、「目立たず隠れず そおーっとやって20年」(婦人生活社刊)という面白い本があるから文庫にしたらいいよ、ってアドバイスしたことあんのよ。
その会社、文庫で有名な会社なの。「先生ほど本読んでたら、これは文庫でいけるという情報はいっぱいあるでしょ?」といつも頼まれてたんで親切心から何冊か教えたわけ。
ところが・・・出ちゃいましたねぇ。先、超されちゃった。ぼやぼやしてるからこうなんのよ。
これ、帯に「芸能生活40周年記念出版」とあるけど、内容は1985年に出版された「目立たず・・・」をベースにしてます。
それじゃ買ったら損かといえば、そんなことはまったくありません。新ネタもたくさんあるし、なんたって、前著なんかいまだに取り出しては読むし、そのたびに笑い転げたり涙腺が緩んだり、こういう営業しなくちゃいけないんだよなぁと励みにもなるんだよね。つまり、これ、元々、名著なのよ。
ビジネスパーソンには必読の書。営業マンだったら、1人3冊は買って読んでもらいたい。それほど役に立つ本、ということさ。
映画「居酒屋兆治」の名演技には泣けたなぁ。どうして、どうして、そうなるの?おせぇて!
タイトルの「のぼせもん」とは博多弁で、すぐに夢中になっちゃう人のこと。熱くなりやすい、熱中タイプの人のことね。
役者になりたくて18歳で博多を出ます。それからいろんな仕事をして、22歳でクレージーキャッツの人気者植木等さんの付き人になるまでの人生修行、ビジネス経験がまとめられた1冊です。
「がんばってたらすごい人に会える」
兄の言葉を頼りにいろんな仕事をしてきました。役者になろうと思って出てきたものの、劇団に入るにも金がない。で、やめちゃうの。働くの。
コピーの営業マンをしてたら、ある時、トヨタの販社で油を売ってた。すると、ものすごい強面のブルドックみたいな部長と出会います。
すげぇ怖い顔でにらみつける。ずんずん近づいてくる。後ずさりして逃げようとすると、いきなり、こんなことを言うの。
「空手チョップだよ〜ん」
胸に平手を少しあてて言うんだな。当時、はやってたプロレスラー力道山の空手チョップの真似だよ。
この人、なにかっていうと、「空手チョップだよ〜ん」を連発してたらしい。
「君はコピーなんか売ってる男じゃない」
「コピーも売れないんです」
「少なくとも、君は明るくて楽しい。自信などなくていいからやってみろ」
結局、4ヶ月間口説かれてスカウトされちゃった。
けど、やっぱ売れなかったんだよね。昭和37年だよ。この販社では2種類のコロナしか売ってなかった。庶民にとって、車は家を買うような意識だものね。
このブル部長の下にリスザルみたいな課長がいるの。年はずっと上なんだけど、部下なんだよね。
「松崎(小松さんの本名)、売れたか?」
「いや、今月はまったく展望がつかめないんで」
「歩けばいいんだよ。歩けば、誠意の問題だよ、誠意の。こら、聞いてんのか? 松崎、わかってんのか!」
「もっと静かにできないのか?」とブル部長。
「ほら、みろ。お前のおかげで部長に怒られちゃっただろ? もう知らない、知らない、知らない」って言いながら、このリス課長は身をよじるわけ。
ホストみたいな営業マンもいるの。いつもびしっとしたスーツにカフスボタン、頭はリーゼント。この人、マダム専門なのね。
「○○様、どうしてメカニックになんか電話して、直接、この私に来いと言ってくださらないんですか?」
「いや、忙しいと思ってね」
「○○様あっての私でございます。どうか1つ。この私を指名してくださいませ」
「じゃ、エンジンがかかんないのよね」
「わかりました。飛んで参ります」
ホントはエンジンなんて簡単にかかるのよ。だけど、シャツをめくって油まみれにわざとなっちゃうの。
「平気? シャツがこんなに汚れて?」
「なにをおっしゃいますやら。どうか1つ、この私にお任せを」
この営業マン、「どうか1つ」というのが口癖なのね。で、苦労したふりしてエンジンかけるわけ。数日後には、シャツのお仕立て券が届くって寸法。もち、顧客も紹介してもらうわけよ。
この本に登場してる人、全部、小松さんのギャグのネタ。事実はギャグより奇なり、だな。
昔から小松政夫さんて好きなんだよね。いまでも、この人が出てると見ちゃうし舞台も見ちゃう。この人の芸って温かいんだよね。基本的に人間が好きなんだ。それは人間との出会い運がとってもいいからだろうね。
トヨタの販社(横浜トヨペット)にそのままいたら、社長は無理だろうけど(ここ、オーナー会社だからさ)、役員にはなっていたと思う。
それほどのやり手営業マンだったし、顧客にも同僚、先輩にも愛されていた人だから。
芸能界ってさ、普通の世界じゃ通用しない人間の集まりみたいに言われるけど、「ポジション」のある人ってのは、やっぱりそれなりの能力がある人だよ(まっ、スポンサーへのヨイショだけで仕事してる司会のN・HとかM・Rとか、解説1つできないスポーツキャスターのK・Hもいるけどさ)。
とくにお笑いは、人間通でないとできないからね。
人間を観察してんでしょ。たとえば、ユニークな顧客、取引先、あるいは営業マン。ローンを払ってくれないやくざとかさ。
「これ、面白いなぁ」
「この前、変な人にあったんですよ」
そんな話を披露すると、みな、笑い転げてしまうのさ。それをそのまま舞台やテレビで披露する。するとバカウケ。こういう観察眼がないと、芸人にはなれないんだよ。もち、営業マン、ビジネスパーソンとしても大成しません。
自分1人で進歩、成長することって、なかなかありません。人をじっくり見て勉強すんの。こういう観察眼、情報の目利き、解釈力、表現力・・・みたいなものって、どこの世界でも必要なんだな。350円高。
仕事のスピードアップ、業績アップのための方法を私自身が活用してる文具60数点の写真とともに解説しています。仕事の失敗談、成功談たっぷりの変な本ですけどよろしく、です。
前ね、某出版社の役員に、「目立たず隠れず そおーっとやって20年」(婦人生活社刊)という面白い本があるから文庫にしたらいいよ、ってアドバイスしたことあんのよ。
その会社、文庫で有名な会社なの。「先生ほど本読んでたら、これは文庫でいけるという情報はいっぱいあるでしょ?」といつも頼まれてたんで親切心から何冊か教えたわけ。
ところが・・・出ちゃいましたねぇ。先、超されちゃった。ぼやぼやしてるからこうなんのよ。
これ、帯に「芸能生活40周年記念出版」とあるけど、内容は1985年に出版された「目立たず・・・」をベースにしてます。
それじゃ買ったら損かといえば、そんなことはまったくありません。新ネタもたくさんあるし、なんたって、前著なんかいまだに取り出しては読むし、そのたびに笑い転げたり涙腺が緩んだり、こういう営業しなくちゃいけないんだよなぁと励みにもなるんだよね。つまり、これ、元々、名著なのよ。
ビジネスパーソンには必読の書。営業マンだったら、1人3冊は買って読んでもらいたい。それほど役に立つ本、ということさ。
映画「居酒屋兆治」の名演技には泣けたなぁ。どうして、どうして、そうなるの?おせぇて!
タイトルの「のぼせもん」とは博多弁で、すぐに夢中になっちゃう人のこと。熱くなりやすい、熱中タイプの人のことね。
役者になりたくて18歳で博多を出ます。それからいろんな仕事をして、22歳でクレージーキャッツの人気者植木等さんの付き人になるまでの人生修行、ビジネス経験がまとめられた1冊です。
「がんばってたらすごい人に会える」
兄の言葉を頼りにいろんな仕事をしてきました。役者になろうと思って出てきたものの、劇団に入るにも金がない。で、やめちゃうの。働くの。
コピーの営業マンをしてたら、ある時、トヨタの販社で油を売ってた。すると、ものすごい強面のブルドックみたいな部長と出会います。
すげぇ怖い顔でにらみつける。ずんずん近づいてくる。後ずさりして逃げようとすると、いきなり、こんなことを言うの。
「空手チョップだよ〜ん」
胸に平手を少しあてて言うんだな。当時、はやってたプロレスラー力道山の空手チョップの真似だよ。
この人、なにかっていうと、「空手チョップだよ〜ん」を連発してたらしい。
「君はコピーなんか売ってる男じゃない」
「コピーも売れないんです」
「少なくとも、君は明るくて楽しい。自信などなくていいからやってみろ」
結局、4ヶ月間口説かれてスカウトされちゃった。
けど、やっぱ売れなかったんだよね。昭和37年だよ。この販社では2種類のコロナしか売ってなかった。庶民にとって、車は家を買うような意識だものね。
このブル部長の下にリスザルみたいな課長がいるの。年はずっと上なんだけど、部下なんだよね。
「松崎(小松さんの本名)、売れたか?」
「いや、今月はまったく展望がつかめないんで」
「歩けばいいんだよ。歩けば、誠意の問題だよ、誠意の。こら、聞いてんのか? 松崎、わかってんのか!」
「もっと静かにできないのか?」とブル部長。
「ほら、みろ。お前のおかげで部長に怒られちゃっただろ? もう知らない、知らない、知らない」って言いながら、このリス課長は身をよじるわけ。
ホストみたいな営業マンもいるの。いつもびしっとしたスーツにカフスボタン、頭はリーゼント。この人、マダム専門なのね。
「○○様、どうしてメカニックになんか電話して、直接、この私に来いと言ってくださらないんですか?」
「いや、忙しいと思ってね」
「○○様あっての私でございます。どうか1つ。この私を指名してくださいませ」
「じゃ、エンジンがかかんないのよね」
「わかりました。飛んで参ります」
ホントはエンジンなんて簡単にかかるのよ。だけど、シャツをめくって油まみれにわざとなっちゃうの。
「平気? シャツがこんなに汚れて?」
「なにをおっしゃいますやら。どうか1つ、この私にお任せを」
この営業マン、「どうか1つ」というのが口癖なのね。で、苦労したふりしてエンジンかけるわけ。数日後には、シャツのお仕立て券が届くって寸法。もち、顧客も紹介してもらうわけよ。
この本に登場してる人、全部、小松さんのギャグのネタ。事実はギャグより奇なり、だな。
昔から小松政夫さんて好きなんだよね。いまでも、この人が出てると見ちゃうし舞台も見ちゃう。この人の芸って温かいんだよね。基本的に人間が好きなんだ。それは人間との出会い運がとってもいいからだろうね。
トヨタの販社(横浜トヨペット)にそのままいたら、社長は無理だろうけど(ここ、オーナー会社だからさ)、役員にはなっていたと思う。
それほどのやり手営業マンだったし、顧客にも同僚、先輩にも愛されていた人だから。
芸能界ってさ、普通の世界じゃ通用しない人間の集まりみたいに言われるけど、「ポジション」のある人ってのは、やっぱりそれなりの能力がある人だよ(まっ、スポンサーへのヨイショだけで仕事してる司会のN・HとかM・Rとか、解説1つできないスポーツキャスターのK・Hもいるけどさ)。
とくにお笑いは、人間通でないとできないからね。
人間を観察してんでしょ。たとえば、ユニークな顧客、取引先、あるいは営業マン。ローンを払ってくれないやくざとかさ。
「これ、面白いなぁ」
「この前、変な人にあったんですよ」
そんな話を披露すると、みな、笑い転げてしまうのさ。それをそのまま舞台やテレビで披露する。するとバカウケ。こういう観察眼がないと、芸人にはなれないんだよ。もち、営業マン、ビジネスパーソンとしても大成しません。
自分1人で進歩、成長することって、なかなかありません。人をじっくり見て勉強すんの。こういう観察眼、情報の目利き、解釈力、表現力・・・みたいなものって、どこの世界でも必要なんだな。350円高。