2019年04月27日「ちいさな独裁者」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 10連休突入という人も少なくない、と思います。忘れないうちに・・・ 4/24配信『どん底メルマガ』 で取り上げた 「N」5.09% 「J」2.8%と平成最後の逆行高。

 本日深夜『どん底メルマガ』 を配信します。お楽しみに。

 「もう上映する映画館がなくなる!」
 気づいたのは1日前。ま、毎日毎日ブログやメルマガをいろいろ書いてますし、さらにイレギュラーで単行本の執筆依頼や原稿依頼もあったりするから、いくら気を付けてもダメ。メモして貼り付けても忘れっぽいからダメ。

 いちばんいいのは即やってしまうこと。雑誌の原稿なんて依頼があったら1時間以内に書き上げることにしてます。忘れてもかまわないようにさっさと終わらせるわけ。昨日もそうしました。「5月7日までに」なんて言われてもスケジュール自体覚えないで済むからね、さっさとやれば。

 そういえば、昔、『さっさとやれば何でもできる!』(東洋経済新報社)つう本出したことあるなあ。

 ホントはYEBISU GARDEN CINEMAで観る予定だったのよ。気づいた時には関東では1カ所だけ。渋谷の奥の奥の奥。「アップリンク渋谷」つう映画館でしか観られない。
 


 映画館つうより映画サロンだね。椅子つうかなんつうか、ハンモックが吊されていても驚かないね。そういう映画館つうか映画部屋。

 とても気に入りました。

 さて『ちいさな独裁者』は17年ドイツ映画。原題は「Hauptmann」=「大尉」つう意味。ところで、この「大尉」ってどう読むか知ってる?
  
 第2次大戦の実話ですからね。20歳の上等兵がたまたま拾った「大尉の軍服」を身にまとって・・・つう話。こうなればこの先の展開はご想像の通り。

 戦争なんて極限状態で人間がすることは?
 バカが権力を握ったらなにをするか?
 
 主人公ヘロルトは43年に徴兵されてドイツ国防軍空挺兵となります。終戦直前、部隊からはぐれてしまい、結果、「脱走兵」となります。無人地帯をさまよう中、車輌の中から勲章が散りばめられた大尉の軍服を見つけます。

 この男、大尉になろうと決めちゃう。バカというか小利口というか、まあ、結果オーライなんすけど。



 私の大好きな『兵隊やくざ』でも、終戦直前、大宮二等兵と有田上等兵のコンビは将校の服を仕込んでなりすまします。そこに腐れ縁の憲兵(成田三樹夫さん)と遭遇。

 「おまえらバカか!敗戦国の将校に何の価値がある。裁かれて処刑されるかリンチで殺されるかだ」

 その通りです。ま、ドイツの若僧は一時80人ほどのボスとして君臨したらしいけどね。

 たまたま犯罪者を集めた収容所で、「総統からの特殊任務を帯びている」と偉そうに独断専行。酷いのは勝手に即決裁判で30人単位で処刑をおっはじめたこと。けど、これで一目置かれるわけ。いかに戦争てのは人間の思考を麻痺させるかがわかりますな。

 狂気の沙汰? たしかに。けど、本能だけで生きるということは「狂気の沙汰」になるのかも。これでも実際のほうが酷かったんですからね。

 「ヴィリー・ヘロルト」という1人の普通のドイツ人青年を忠実に描いたドキュメンタリーですから。

 最後の最後、化けの皮が剥がれて裁判にかけられます。極刑ですよ、ふつうはね。でも、「厳しい戦局を見るにつけ、良かれ悪しかれ、こういうリーダーシップのある若者が第一線では重要なのだ」という鶴の一声で助かっちゃう。

 やはり戦争は人の心がおかしくなる? いえいえ、本音で考えるようになります。