2016年04月20日備えあれば憂いなし。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

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 昨日、西原町が「21日からボランティアを募集する」と発表したことにいかがなものか、と物言いをつけました。時期尚早ではないか、と付け加えました。

 理由は3つ。

1今後どれだけ拡大するのか縮小するのか不明。ボランティア自身が被災したり保護される側に回りかねない。
2ボランティア受け入れ態勢があるのかどうか。東京から大阪からボランティアが来るとしてその人たちの交通手段は? 食料は? 宿は? どんな能力を求めるのか、ネコの手でいいのか?
3まずは自衛隊ほかプロに出動してもらうべし。

 熊本市内には幸い自衛隊基地があります。だから出動が早かったともいえます。「水と食料が足りない!」「毛布が足りない」という要望がありましたけど、自衛隊がすべて解決できます。炊き出しは得意ですし、予備物資で間に合うはずです。

 いまの段階では「プロ」に任せるべきではないかしらん。

 さて、95年に発生した阪神・淡路大震災による犠牲者は6432名でした。圧死と窒息が9割といわれています。

 この1年前の同じ日にロサンゼルス大地震が発生しています。被害者は61名。マグニチュード6.9。阪神・淡路大震災は7.2です。
 ロス地震は砂漠で起きたわけではありません。人口密集地域でしたがこんなにちがうのです。

 ビル・クリントン大統領(当時)は発生15分後には事態をつかんでいました。最初になにをしたか?
 あらかじめ任命している連邦危機管理庁長官に全権を預け、災害についての情報収集、分析、評価、判断、意思決定そして指示を、すべてこの長官に集中させたのです。

 1時間後にはカリフォルニア州兵1万人がロスに救助に向かっています。発生7分後には消火活動が始まっています。災害用ヘリコプターは消防、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の軍用ヘリのみならず、民間ヘリも含めてすべて動員。

 このとき、ロス地震だからロス消防署の管轄だ。ほかのヘリは許可を求めなければならない、というバカな議論はありません。「戒厳令」と同じ扱いで連邦危機管理庁長官がすべての法律の上に立ち、トップダウンで指示しています。

 危機管理なんてありえません。管理できないから危機なんです。もち、マニュアルなんて役立ちません。例外だらけです。けど、非常事態を予想することはできます。そのときにどうするか、という「仕組み」は用意できます。

 スーパーマンの力は危機ではあてになりません。パニクってますからね。だから「仕組み」をつくっておいて淡々と処理するのがベターなんです。

 地震学者はもちろん、政治家も役に立ちませんよ。官僚なんてもっとダメです。つうか邪魔です。

 たとえば人命救助。有名なのは「トリアージ・ドクター(緊急医)」という仕組みです。連邦、州、市、町など、すべてのレベルでトリアージ・ドクターはだれか、非常時に召集する医師をあらかじめ任命しています。

 ロス地震のときもトリアージ・ドクターが被災者の生死鑑定、治療の優先順位を先に決めました。すなわち、死亡者には黒タグを貼り、軽傷者には緑タグ、その場で止血と消毒、包帯をして、病院には行かないように指示をして帰します。手当しないと危険な状態にある被災者や要緊急手術の被災者は赤タグを貼っておきます。

 トリアージ・ドクターはここまでの仕事を集中的にこなします。病院搬送用ヘリや救急車が駆けつけると、タグの色をチェックして能率よく搬送します。

 阪神・淡路大震災と東日本大震災は愚かな政治家がトップにいた時に発生しています。大火災があちこちで発生しているのに延焼防止の破壊消防や、優先緊急車両のために邪魔な車を実力排除すればいいのになにもしませんでした。消火用水の確保、化学消化剤の使用、自衛隊ヘリの空中消火などやるべきことは山ほどあったのになにもしませんでした。

 強行策を断行する。トップでしかできないことをせず、徹底的に傍観者でいました。「憲法違反だから」と、首相も知事も市長もそろいも揃って自衛隊出動を渋りました。で、民間ヘリを使ったのですが、彼らは3日間で10人の負傷者を救出しただけ。

 地震翌々日、この首相は文化人との懇話会を15分もオーバーして談笑に興じ、「こんなことをしてていいんですか?」と参加者から指摘される始末でした。ところが翌朝、財界人との朝食会をスケジュール通りこなしていました。

 幸い、「憲法違反の自衛隊から食料をもらわないでください。みなさん我慢しましょう!」と懸命にビラ配りをしていた女性はいまの時代、いないようです。この女性、後年、国会議員となり、東日本大震災が起こると、ボランティア担当首相特別補佐官に就任しています。

 都道府県や市町村にどれだけ食料や水の備蓄があるんでしょうか?
 東京都は都民用に1350万食、飲料水2週間分の備蓄をしていました。陸自とちがって海自の乾パンはミルクに溶けます。水で溶かせば乳幼児でも食べられます。これを東京都は用意しています。小中高校では冬でもプールを満水にしています。いざというときのライフラインになるからです。
 スイスは生活用品は輸入依存ですけど、万が一、騒乱状態に陥った場合に備えて、最低2ヵ月分の備蓄を市民に義務付けています。米1キロ、麺類2キロというように1人どれだけ必要か具体的に指示しています。
 
 自治体も備蓄しているでしょうが、どこまでいっても個人と家族責任が問われます。車と自宅、オフィスに1週間分の水と食料、キャンプ用品一式を用意している人はたくさんいるようです。


 さて、今日のメルマガでご紹介する本は、憂国の書です。「僕たちのヒーローはみんな在日だった」(朴一著・講談社・648円)です。