2003年02月03日「本気の言葉」「これだ!」と思える仕事に出会うには」「人生にはしなくてもいいことがいっぱいある」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「本気の言葉」
 松岡修造著 祥伝社 1600円

 テニスの松岡選手、というか、スポーツタレントですね。
 この人、東宝の経営者の御曹司らしいですね。中学だか、高校だかでテニス留学するために柳川商業に行ったそうですけど、わたしはテニスの選手、コーチとしてよりも、彼なら立派な経営者になれると思いますよ。
 実は奥さんの大ファンで、「えっ、結婚するの!」と聞いた時にはショックでした。
 まっ、それはいいけど、本書は熱血漢による指導時の言葉をかき集めたものです。

 「自分を表現できなければ世界になど通用しない」
 「ある運動を意識的に繰り返していくと、脳内にプログラムができる。反射的な動作へと変化する。そして、一度完成したプログラムはそのまま残る」

 「よくやったな」
 試合に負けたジュニアに、僕が絶対に言わない言葉がこれです。

 子供たちに、「このボール、どう打てばいいのですか」と質問されたら、「君は、どう打てばいいと思う?」と質問し直す。それが人生の縮図。

 彼ならではの、現実に指導した一言ひと言。なかなかいいよ。
 150円高。購入はこちら


2 「これだ!」と思える仕事に出会うには」
 シェリル・ギルマン著 花風社 1600円

 「才能」とは−−持って生まれたもの。やすやすと自然にできること。
 「スキル」とは−−学んで身につけるもの。才能を活かして身につけることもある。
 「関心事」とは−−なぜか自分を引きつけるもの。語りかけてくるもの。
 「経験」とは−−感情や知識に残った「自分はこれをやったんだ」という思い、あるいは、実際になしとげた実績。

 「自分を変えなくては」「ここを直さなくては」「もっと進歩しなくては」−−そう思い込んでいる人は多い。でも真相は逆。今のあなたはそのままでかけがえのない存在であり、欠けているところなどない。知っておく必要のあることは、もう知っている。ただ、忘れているにすぎない。
 国語は得意だけれど算数が苦手な子は、「とにかく算数をがんばりなさい」と言われ、国語が苦手だと、国語に専念しろと言われる。美術は抜群だが理科の苦手な子は、理科をもっと勉強しなさいと言われる。ところが、子供のうちはまだしも、成長とともにやるべきことはどんどん増えていく。これでは苦手なことをやるべき時間ばかりがふくれ上がり、得意なことに打ち込むひまは減る一方だ。

 私たちは幼いうちから、自分にとって簡単にできることは大切ではないと考える癖がついてしまったようですね。
 苦手なことばかり集中するのはやめにして、簡単にできること、無理なくできること、楽しいことにエネルギーをふり向けることにしたら、何が起きるだろう?
 そして、やさしい作業に精進して、本当にその道を究めてしまったら、どうなるだろう?
 ほかの人たちにも方向転換をすすめ、この動きが広まったら、何が起きるだろう?
 大丈夫、やさしい道を選んだからといって、怠けることにはならない。なぜなら、心から好きなことを始めれば、いやでも精を出して働くことになってしまうのだから。

 トーマス・エジソンは大変な苦心の末に電球を発明した。そんなエジソンに、ある人がたずねた。
 「エジソンさん、電球を作ろうとして一〇〇〇〇回も失敗なさったとうかがいましたが、本当でしょうか?」
 「お若いの。あれは失敗じゃない。実験だ。一回ごとに、電球を作るにはどうしてはいけないかがわかったのだから」
 200円高。購入はこちら


3 「人生にはしなくてもいいことがいっぱいある」
 高橋龍太郎著 青春出版社 1400円

 著者は精神科医。ラジオで人生相談にものってる方です。
 一言で言えば、「小さいことにクヨクヨするな」という本です。
 
 たとえば、「自分は嘘はついてる」という罪の意識にな苛まれている人がいます。
 わたしなんて、生きていられません。「嘘も方便」「嘘もつきようで人のためになる」と本気で思ってます。
 まっ、嘘とはいわないまでも、お世辞の一つや二つ、いわなくちゃ。
 テレビドラマにしたって、芝居や小説、映画もほんとうにあったことではなく、嘘の世界。近松門左衛門が昔、「虚実皮膜論」を唱えましたけど、嘘たいなホントの話、ホントみたいな嘘話。これが面白いわけですが、最近は、現実のほうが嘘を越えたりしてますから、よっぽどの嘘話じゃないと耳目を引きませんね。
 詐欺にしたって、夢を見ているわけでしょ。夢から覚めたら悔しいですよ。
 でも、嘘話を見たり聞いたりして、 泣いたり、笑ったり、怒ったり、悲しんだり、どうしてそんなに喜ぶのか。
 それは脳が刺激を受けて楽しんでいるからです。脳は遊ばせてくれることが大好き。それがいいことであれ、悪いことであれ、関係なく、刺激を最大の栄養素として吸収し、堪能してしまうんです。

 「自分でつくった料理で過食、拒食に陥る人は少ない」
 わたしは過食気味を反省して、時々、ダイエットしてますけど、これが続かない。過食も拒食もストレスが原因だと思いますが、いずれも食物は与えられる物、自分ではつくったことがないという人が陥りやすいのだそうです。
 食事に対する関わり方の違いです。
 ここ数年、大食漢(女性も含めて)が脚光を浴びて、テレビや雑誌にでまくってますが、共通するのはやせぎすであるということ。中には、どうみたって拒食症。摂食障害という人がいます。指に吐きダコがあるんですから、これはテレビで「大食」と表現してはいけないでしょう。
 いったん、胃に食物をプールしてるだけなんですから。食べていることにはなりませんもの。
 これも精神的なインバランスが引き起こしている悲劇です。
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