2007年11月13日「朝、出勤前に月30万円稼ぐ!商品トレード超投資術」 福永晶著 講談社 840円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 さて、サブプライムショックでNYダウはガタガタでやんす。
 ついでに言うと、超円高だもん。円安に振れると踏んでたFXの方は最悪でしょうな。

 こんだけ株式投資の世界が世知辛くなってくるとどうしたらいいんでしょうか?
 やっぱ、商品トレードかな。

 けど、この世界は商品取引員(営業マンのこと)がしつこく勧誘するとか、追証が怖いんで・・・という噂が引っかかるよね。

 でも、朗報朗報。金融商品取引法が改正されたんで、新規客への電話セールスは×になったの。
 それに営業マンと会いたくなかったら、ソフトバンク、松井証券、あの楽天だってネットトレードの口座がありますからね。ネットでやりゃいいのよ。だれにも会わずに取引ができるってわけ。

 ジム・ロジャーズも言ってるます。「商品の時代がやってきた」「これからは商品の時代だ!」ってさ。
 世界でいちばん有名な投資家ですな。
 彼はいまや、「商品トレード(商品先物取引)のカリスマ」として日本のファンから熱い注目を浴びてます。資産運用、投資の方法はあまたあれど、これからは株でも為替でもなく「商品の時代」かもしれない。

 さて、この本の特長は2つ。
?IT企業を経て中堅商社に転職したヒラサラリーマンの本。
?利殖法が「商品トレード(商品先物取引)」であること。

 商品トレードほどリーマンにふさわしい投資対象はない、というのが著者の意見。

 仕事で忙しいからこそ、それが逆に成功率を高めるらしいよ。株式投資ではパソコンや携帯電話で毎分毎秒値上がりや値下がりをチェックしがち。
 商品トレードはそんなにあわただしい取引に煩わされることはない。だから、本業にしっかり集中できるわけ。

 著者の場合、売買は1日せいぜい20〜30分。
 朝5時30分起床。シャワーを浴びてスッキリ目覚め、玄米と味噌汁の朝食を摂りながら、「ニュースモーニングサテライト」(テレビ東京)を見る。商品トレードとは無関係で、あくまでもリーマンとしての勉強。

 ネットで前夜のシカゴの商品取引をチェック。前夜に終値を書き込んだ手づくりの「場帳」「チャート」を眺める。この「場帳」「チャート」がポイント。

 パソコンの画面を眺めること15分、ネットで取引の注文を出す。
 これで終わり。淡々と投資し、淡々と儲けてるわけ。

 夕方には帰宅。本業は中堅商社の総務担当サラリーマンだから残業もほとんどない。帰宅すると、そそくさとパソコンのスイッチを入れ、東京穀物取引所のとうもろこしの価格をチェックし、そのデータを「場帳」に記録。この間、やっぱり15分間。
 チャートを眺めて買うか売るか見守るかを検討。最終的な判断は翌朝まで保留。で、晩酌して夜10時には就寝。この繰り返し。

 おいおい、なんか公務員か坊さんみたいに時間割が決まってるぞ。たしかに「静かな生活」だな。定年後にやってもいいくらい。
 この著者、いくつなんだ?

 1日30分で月30万円のリターン。1億2億儲けたという話から比べれば、なんともせこいけど、著者のスタンスははっきりしてるのね。
 ルールがあんの。
?失敗をしない。
?長く続ける。
?だから、掛け金(投資)は最低限度。

 で、1日30分しかやらない。なんか面白いよね。

 商品てのは、いま、注目の金がそうですね。オンス850ドルという値段をつけそうだよね。そしたら27年ぶりだよ。
 商品=コモディティとは、とうもろこしや大豆のような穀物もそうだし、コーヒーや粗糖もそう。原油やガソリン、灯油、金、銀、白金といった貴金属も商品。

 商品トレードは商品の価格が上がるのか、それとも下がるのかを予測する単純極まりない投資なの。

 定年からはじめる月30万円の小遣い稼ぎ。で、株式投資よりリスクは低いと思う。
 リスクが高くなるのは、掛け金が大きいからよ。ただでさえレバレッジが効いてるから、少額で大きな取引ができるわけ。どんなに失敗しても払える範囲内でやれば追証は発生しません。

 ジム・ロジャーズはこんなに儲かる投資にどうして手を出さないんだろうと不思議がってますけど、やはり、業界の体質というかイメージ改善を心がけないといかんわな。
 株式投資以外にこんな投資があるんだ、と研究すべき本かもしれない。株式投資にも使えるマル秘も少なくないと思う。250円高。