2002年02月18日「変な人の書いた買ったら損する本」「ニッポン経済 勝手に構造改革」「こわい病気のやさしい話」
1 「変な人の書いた買ったら損する本」
斎藤一人著 総合法令 1500円
変な人って自分のことを言ってますけど、いったいどれだけ変か。
全戸納税者番付のベスト10の常連ですね。
平成5年4位、6年5位、7年3位、8年3位、9年1位(やった!)、10年3位、11年5位、12年5位。
まっ、みごとなものです。仕事は漢方薬の販売。
短い話の中にエッセンスが凝縮されてます。本文とは正確には異なりますが、わたしなりにまとめておきました。
「商売人はお金がないと生きられない」
「商売は経費がかからないほうが勝ち」
だから、大企業よりも中小企業のほうが強い。強くなくては困るんです。強くなければ、おかしいんです。
「人脈は数ではない。必要のない人とダラダラつき合う必要はない。本当に自分に必要な人ってそんなにいらないんです」
人脈というと、いざというときに頼ったり、依存したりする人というイメージがありますが、実は徹底的に自分1人で頑張ってるときに、よし、手伝ってやろうかって出てくるのが人脈なんです。だから、頼りにしたり、当てにしたらいけないんです。
「社長の仕事は給料日にきちんと給料を渡すこと」
ずばり、これですなぁ。
「うちの会社には働き者しかいない。というのも、10人の仕事を7人でやるんですよ。そうすると、あまりの忙しさに2人辞めてしまう。すると5人でやるようになります」
その通りですね。
働き者は働くことが好きだから働くんです。働かないと病気になっちゃうんです。怠け者は怠けるのが好きだから怠けるんです。こういう人たちは働くと病気になっちゃうんです。
「知ってることでも知らないフリをする。お客さんは商人からものを教えてもらいたくないもの」
だから、どうしても言いたいときは、「聞いた話なんだけど・・・」という前振りをつければいい。
「嫌なヤツには、嫌なヤツだと思わせる。そついに対して、自分がもっと嫌なヤツになればいい」
それを自分はいい人だと思わせたりするから、つけ上がるわけ。バーンと言ってしまえばいいんです。
「スプーン曲げとか、役に立たないものに感心するな。ちゃんとしたスプーン作るの大変なんだから」
「一所懸命に金貯めるんだよ。でないと、嫌なヤツに頭を下げなきゃならなくなるからね」
「商人とはお客さんにエコヒイキしてもらうんだよ」
「社長の機嫌が取れない人が、お客さんの機嫌を取れるはずがない」
ねっ、いい話でしょ。
でも、できる?
できない?
こんなことも言ってました。
成功者ってのは、なにか聞いたときに「それって簡単ですね」と言える人なんです。「これは難しいなぁ」という人は、「だから、オレはできない、やらない」と不可能モード、他人事モードに頭脳が変換してますからね。できるわけがないんです。
でも、「それって簡単」と言えたら、これはもうできるモードに変換できてます。だから、できるんですよ、こういう人は。
350円高。
2 「ニッポン経済 勝手に構造改革」
森本卓郎編著 日経ビジネス人文庫 714円
森本さんというのは、テレ朝のニュースステーションにコメンテーターとして出てる、ちょっと小太りの人いるでしょ? あの人です。
で、彼が7人のユニークな人と対談してるというか、インタビューしてるというか、まっ、そんな本です。350ページもありますけど、対談ですから、あっという間に読めます。
本来の企画趣旨は各回のいろんなユニークな人にあって、構造改革を多面的に切ってみる。まっ、そんなもんだったんでしょう。でも、話を聞いてるうちに構造改革はどうでも良くなって・・・というか、その人達のビジネスや生き方の構造改革のほうがおもしろいから、吹っ飛んじゃったんでしょうね。
気づいてみたら、構造改革はどこ行ったんだぁと感じたけど、面白かったから、まっいいかってなもんです。
ところで、対談相手の選択ですけど、なんの脈絡もありません。おそらく、森本さんが会いたかった人なんでしょう。
でも、これがいいんだなぁ。
はちゃめちゃ無駄遣いの女王中村うさぎさん、おやじダンサーズのリーダーであるパパイヤ鈴木さん(デブヤで「まいう」を連発してる人)とか、グローバルダイニングの長谷川耕造さん(この人の本は以前紹介しました)、吉本の木村政男さんとかね。
で、この無駄遣いの女王は「日本人が豊かになったときのビジネスモデルになる」だって。 やっぱり、お金で買える幸福ってあります。「億万長者になれる」というタイトルの本が売れるのも、「だから、なんなんだ?」という気持ちの奥底に、「いいな、いいな。でも、どうやったらなれるんだろ? 聞いてみたいな」とそそられる気持ちがあるからですね。
「お金より大切なものがある」という言葉も、やっぱり、基準点は「お金」なんですね。お金よりどれだけ大切なのか、どれだけ大切じゃないのか。
この女王様も35歳過ぎてからブランド買いに突っ走ったそうです。
「私は勝ったのよ。勝ったんでしょう。だって、あなたは子どもがいて幸せかもしれないけど、エルメスのバックが買えないでしょう」みたいな幸せ感。だから、いらなくても買わないと満足できない。
無駄遣いをすることでやっと精神的なバランスが取れるんでしょうな。
「買い物依存症」ってやつです。「癒し」ってのは、こういう女心のすき間産業を考えれば良いんです。
150円高。
3 「こわい病気のやさしい話」
山田春木著 文春新書 700円
著者は東大医学部出身の内科医。劇症肝炎の専門家です。
で、いまは社会保険中央総合病院の内科部長さんをしてます。
この本は銀行の小冊子に連載されてたものをまとめたものですから、話もわかりやすい。
「思いッキリテレビ」に出てきそうな内容です。
でも、病気って嫌ですねぇ。
わたしも40歳を過ぎまして、ホントに自覚症状が次々に現れますね。でも、嫌だなぁ、病院いくの。けど、行かないと、あとででかいトラブルがやってくるし・・・。人間ドックにも行かなくちゃ・・・。
40にして惑わず・・・どころか、惑ってばかり。トホホ。
「歯医者でもらった薬を飲んだら、急に咳が出て、顔がほてって来た。いまから病院に行っても良いですか?」
こんな患者から電話が入ります。
「ただちに来てください」
典型的なアナフィラキシーなんです。これはショックで失神したりするんですよ。下手すると死にます。
これ、S製薬の薬なんですよね。業界では有名らしいですよ。薬というのは必ず副作用があるんですね。
騒ぎが一段落するや、くだんの歯科医に連絡すると、「あぁ、そうですか。じゃ、今度は誓う薬を出しましょう」
あなたに殺されそうになったんだよ、と言いたい気持ちをなんとか抑えたとか。
こんなエピソード満載の本。
150円高。