2001年04月02日「代議士秘書」「仕事ができる人の心得」「桜子語録」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」


1 「代議士秘書」

 飯島勲著 講談社文庫 695円

 著者はいまをときめく小泉純一郎さんの秘書である。
 これ、元もと光文社から出版されました。そのときはペンネームだったんだけど、親分から今度出すときは本名で出しなさいと言われたらしく、そこで本書は大幅加筆、再編集のうえ本名で発刊ということにあいなりました。

 たいへんだな、秘書は。
 つくづくそう感じました。よく知られることは、悪いことをすると、たとえ自分がやったことではなくとも、「秘書がやった」「秘書に聞いてくれ」と言われる(もちろん、悪党の秘書もいるでしょうけど)。これはつらいですね。人身御供ですよ。
 そのほかにも、選挙対策やら陳情の受付やら、就職や裏口入学の斡旋に駆け回ったり(もちろん、小泉さんはそんなことが大嫌い。で、飯島さんもそんなことしません)、これはたいへんというより、よろず何でも相談業なんですね。好きか使命感かよっぽど美味しい仕事でもなければ、とうていできません。

 1回選挙すると、だいたい3分の1のセンセが帰ってこないそうです。
 大臣候補者には、むかしは健康診断、いまは素行調査があるんですね。警察がしっかり調べるらしいですよ。これが漏れると、「うちのセンセは大臣になれるかも」と嬉しがるんです。
 当選回数と陳情処理の能力はまったく無関係だといいます。当選回数が多いだけで、役所になんにも顔が利かない人も少なくないんですね。後藤田さんなど、一年生でいきなり官房長官かなんかでしょ。これは警察トップとして、すべての役人ににらみが利いたからでしょぅね。

 むかし、中曽根さんがグラマン事件のあとの選挙で、死にものぐるいで選挙を戦ったことがあります。どうせ福田赳夫さんには負けても、小渕さんには勝てるはずなのに、それでも手を抜かないで頑張ったんですが、本書でも選挙は一刻を争う大戦争ととらえてますね。
 ポスター1つで当落がわかる、と言います。これはおもしろいんですが、法定ビラ、看板、プレート、ハガキなど、すべてクジの番号入りのものを選挙管理委員会から借りるんですね。その数字が判明すると、一斉に選挙区の掲示板に貼る。他陣営に先駆けて貼るわけですが、これが泡沫候補はもちろん、その地域の支援者がそれほど熱心にでなければ、貼り方もいい加減です。これは見ればわかる。歪んでいたり、きちんと糊をのばしてなかったり、どれか一方が風に揺らいでいたり・・・。だから、それをもう一度、確認して歩くんです。
 すると、この地域の支援者はしっかりやってくれている、この支援者は口先だけだと判明します。この物差しをきちんと持っておけば、1回の依頼で大丈夫なのか、2度、3度確認してなければならないのかということがわかります。つまり、本当の支援者なのか、両天秤をかけたインチキ支援者なのかがわかりますね。
 これはマネジメントにも応用できますよ。簡単な仕事を命じて、きちんとやる人間かどうか。それを見れば、信頼できる人間かどうかがわかりますね。
 25円高。


2 「仕事ができる人の心得」

 小山昇著 TBSブリタニカ 1000円

 著者は社長さんです。会社見学会、社内早期(早期じゃなくて早朝の間違いじゃないかな)勉強会を開いているらしいです。いったい、どんな勉強会なんでしょうかね。
 読んでて思い出したのは、そういえば、むかし、「会社開眼の法則」って本を読んだことがあるな、ということです。同じ著者でした。話の内容はすべて過去にあったこと。それについて解説を加えているわけですね。

 あいうえお順に掲載されてます。
 たとえば、「愛」。「関心を持つことです」とあります。「赤字」。「社長の甘えです」とあります。「頭」。「フロッピーデスクと同じで。容量はだれでも同じです。使えば使うほどよくなるものです。よくないのは使用回数が不足しているからです」。
 おもしろいですね。こんな調子で自分の体験からつかみ取ったエッセンスがどんどん飛び出てきます。
 
 吹けば飛ぶような会社でも、社長は社長です。
 大企業だから立派なマネジメントができて、ちっぽけな会社だからマネジメントはそれほどでもない、ということなど、もちろん絶対にありません。小さい会社だからこそ、社長が力を入れて鍛え上げればダイレクトに反応が返ってきますし、効果もありますね。
 逆に、ここ数年の大企業、とくに金融機関の経営者を見れば、経営者というよりも政治家や高級官僚と変わりませんね。元もと、同じ穴で育ってますから発想も行動パターンも酷似してますが、まさかここまで似てるとは思いも寄りませんでした。

 惜しむらくは、数行羅列するだけではなく、勉強会でしてるように解説の中身を勉強したいところですが、前著同様、この版元ではそういう作り方をしてません。このサイトは編集者からのアクセスがものすごい多いのですが、どこか関心があればやってみたらどうでしょうか? そのほうが売れると思うよ。
 20円高。


3 「桜子語録」
 中園ミホ・相沢友子著 三笠書房 476円

 もう嵌ってまして、レンタルビデオでも3回くらい見ました(全4巻)。筧利夫が三枚目でおもしろかったですね。これでブレイク。いま、いろんな番組に引っ張りだこですよ。
 「やまとなでしこ」好きなんですね。「ヒーロー」より好きなんだけどな、個人的には。「101回目」も良かったけど。
 というわけで、こんな本が出ました。シナリオの名文句を集めた本です。
 「結婚でもっとも重要なのは、タイミングと相手を選ぶ目」
 「デートなんかしてません。査定しただけです」
 「じゃあ聞くけど、どうしてルックスや性格で男を選ぶのはほめられて、お金で男を選んじゃいけないわけ?」
 「恋っていうのはね。精神の病なのよ。つまり、とても冷静な判断を下せる状態ではないってこと。そんなときに人生で最も冷静な判断を必要とする結婚を決めたら一生後悔するハメになるわ」
 どれもこれも試してガッテンですね。
 でも、結婚って成り行きっていうか、ホントにタイミングで決まるんですよね。あまり計算尽くではいかないようです。家内がいまでも言いますもの。
 「あなたと結婚するまえが前厄、結婚した年が本厄、それからずっと後厄」って。もう18年間、聞かされてます。そう言えば、「判断力の欠如で結婚し、忍耐力の欠如で離婚し、そして記憶力の欠如で再婚する」って言いますよね。・・・言わないか。
 10円高。