2008年06月12日「ザ・マジックアワー」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 「村田君、マジックアワーが終わったらどうするか知ってるかい?」
 「・・・」
 「待つんだよ。明日を。太陽がある限り、マジックアワーは来るんだ」

 マジックアワーちゅうのは、太陽が消えてから周囲が暗くなるまでのほんの僅かな時間。このときの陰影がなんともいえんのよ。映画では最高の写真なわけ。
 まあ、黄昏時ちゅうか彼はたれ時ちゅうか。
 

三谷監督の最高傑作ちゃうか。

 私、三谷さんの芝居は面白いと思うんだけど、映画はどうもね。
 いままで「12人の優しい日本人(脚本)」「ラヂオの時間(脚本・監督)」「みんなのいえ(脚本・監督)」「竜馬の妻とその夫と愛人(脚本)」「笑の大学(脚本)」「THE 有頂天ホテル(脚本・監督)」と見てきたけど(「ラヂオの時間」はDVDも持ってるけど)、「笑の大学」以外はいつも途中で寝ちゃうのよ。とくに「有頂天ホテル」は3回とも熟睡。

 けど、今回の映画は最後まで目がぱっちり。6月初めて観るからじゃないと思うね。

 ボスの愛人に手を出した男が命乞いするために、たまたまついた嘘(=伝説の殺し屋を連れてくること)を実現させなくちゃいけなくなっちゃった。しかも、5日間のうちに。
 閃いたのは役者を殺し屋にしてしまうこと。ここからドタバタが始まります。

 けどさ、谷原章介さんの晩年を演じた柳沢真一さん、久しぶり。
 昔、浅草の小さな劇場で観て以来。池内淳子さんの元ご主人ね。クラリネットが巧くてね。

 深津絵里さんのセリフ回しは舞台とまったく一緒。映画でもこうしろと指示されたのかね? 鈴木京香さんはバタ臭くていいねえ。原節子さんを彷彿とさせまっせ。妻夫木くん、芝居が巧いわ。いい役者。

 それよりなにより、ちょっとした協力出演が冴えてますな。とくに市川亀治郎さん。もう腹を抱えて笑いましたわ。

 文句なく楽しめる映画。今夜、もう1回観ようっと(モーニングショーでいま観てきたばかりなのよ)。