2008年07月07日「成り上がりの人間学」 田中森一著 イーストプレス 1575円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 こういう作り方、売り方もあんのね。「収監決定後初の語り下ろし」だって。
 な〜るほど。

 この本、アウトローがたっぷり登場するわけ。
 どこの世界でもアウトローってのは、嫌われてます。嫌われてますけど、一目置かれていることも事実。アメリカでもそうです。ギャングの親分にしても、シリアルキラーにしても、一目置かれてますね。

 で、アウトローの素顔が拝めるかな、という期待で読んだんだけど、残念ながら、それはちょっぴり。つうか、『反論』読んでるからネタはもうすべて知ってる情報でした。

『反論』という著者会心の作を読んだ人には不要だと思う。私も読んだけど、知らない情報が数頁あった。ま、それでいいじゃん。

 聞き手が元週刊現代編集長の元木さんなんだけど、『反論』にはない情報を引き出してもらいたかったね。それだけの真実を知ってる人なんだからさ。

 著者は元検事。それが国策捜査で実刑食らう側になっちゃう。検察の方法は、まずシナリオを描く。で、いろんな事実が出てきても無視してシナリオ通りに進める・・・らしいですな。
 道理で、富山県警が最近、少女強姦・未遂事件の犯人を逮捕、懲役に送ったにもかかわらず、「えん罪」と判明した事件があります。「被害者」はいま、富山県と国を相手に損害賠償訴訟を起こすらしいけど、たぶん、最初のシナリオ通りに警察と検察が進めたことがえん罪の温床になってるんだろうね。

 だって、証拠があれば自白なんて必要ないのに、日本型訴訟では自白至上主義だもんなあ。これではえん罪はなくなりませんね。著者も、シナリオ作り、シナリオに沿った証拠固め(証拠作り?)、自白誘導・・・を懸命にやったと話してますもんね。
 
 信念が揺らぐとき、支えになったのは中村天風翁の本だったんだと。ならば、中島孝志の通販DVD「中村天風シリーズ」をご覧になってはいかがでしょうかね? 150円高。