2001年02月19日「ユダヤ商法」「ユダヤ五○○○年の知恵」「こんな会社は就職するな」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 今回も3冊ご紹介することにします。

1 「ユダヤ商法」 ラビ・マーヴィン・トケイヤー著 日本経営合理化協会 9800円
 ユダヤ人というのは1878年もの間、国を失って漂流していた民族なんですね。
 だから、どんな能力、どんな習慣を大切にすれば成功するのか。それを民族の知恵として結晶化させてきました。
 そのコツをまとめたのが本書です。
 第1戒 正直であれ。
 第2戒 好機をとらえろ。
 第3戒 生涯にわたって学べ
 第4戒 時間を貴べ
 第5戒 笑え。
 第6戒 使命感を持て
 第7戒 過去から学べ
 第8戒 話す倍聴け
 第9戒 弱者に施せ
 第10戒 家族を大切にせよ
 どうですか。鉄則というのはシンプルなものです。問題はできるかどうかです。でも、できれば成功するんです。
 「150円高」

2 「ユダヤ五○○○年の知恵」 ラビ・マーヴィン・トケイヤー著 講談社 740円
 これもタルムードのなかから著者が選んだ箴言を紹介しています。タルムード(TALMUD)というのは「偉大な研究」という意味で、ユダヤ民族を5000年にわたって支えてきた生活規範なんですね。
 短い説話ばかりですが、目からウロコが落ちるものばかりでした。
 1つご紹介しておきましょう。
 −−あるとき、王様がある男に使者を送って自分のところにすぐ来るように命じた。
 その男には3人の友達がいた。最初の友達は非常に大切にしていて、お互いに親友だと思っていた。2番目の友達もやはり愛していたけれども、第1番目の友達ほど大切にしてはいなかった。3番目も友達とは思っていたけれども、彼はそれほど関心を持っていなかった。
 王から使者が来たとき、彼は何か自分が悪いことをして、それをとがめられるのかとこわかったので、1人で王のところに行く勇気はなく、3人の友達に一緒に来てくれと頼んだ。
 まず、いちばん親しく大切にしている友達に一緒に来てくれと頼むと、友達は理由も言わずに「オレはいやだ」と断った。2番目の友達に頼むと、「王宮の扉のところまでは行くけれども、それ以上はついていってやらないよ」と言った。3番目の友達は、「いいとも、君は何も悪いことをしていないのだから、一緒に行って王様にそういってあげるよ」と言った。
 なぜ、3人はそれぞれこうしたことを言ったのだろうか。
 第1の友達は「財産」である。たしかにどんなに愛していても、死ぬときは残してしかなければならない。第2の友達は「親戚」である。焼き場まではついてくるけれども、そこから先は彼をそこに置いていってしまう。第3の友達は「善行」である。日ごろはあまり目立たないけれども死後も彼と一緒にずっといるものである−−
 これは有名な話ですね。そのほかにも、あまり知られていないけれども、大切でおもしろい話が満載の1冊です。「100円高」です。

3 「こんな会社は就職するな」 根本昭尋著 廣済堂出版 1400円
 著者は元リクルートの社員。それからアルプス電気に転職したというキャリアの持ち主。
 人の採用というのは悲喜こもごもですが、やりがいのある仕事ですね。この本を読んでそう感じました。
 でも、1年以内に1割の新規学卒者が退職してるんですね。これが3年に幅を広げると、なんと3分の1にまでなるというのです。
 ものすごいですね。でも、いままでだって同じだったんでしょう。ただ、いまの若者は正直だし、転職自体当たり前の時代ですから、平気で辞めてしまうんですね。
 この本でおもしろいのは学生5人による紙上座談会ですね。
 いい加減な面接指南の本ばかりだと攻撃しています。とくにおもしろいのは、「この会社はいい」「この会社は人をなんだと思ってるんだ」という本音が鋭く響きます。でも、そんなダメ会社も実名であげればよかったのにと残念に思いますが、まぁ無理でしょうな。
 人事採用担当者には必読の書です。いいプレゼン、悪いプレゼン、いい受け入れ方法、悪い受け入れ方法など、学生の意見をきちんと取り入れてますから、お客さんorientedで上手にまとまっています。「50円高」です。