2001年02月12日「オンリー・ミー」「マダム小林の優雅な生活」「村松友視からはじまる借金の輪」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 今回も3冊ご紹介することにします。

1 「オンリー・ミー」 三谷幸喜著 幻冬社文庫 571円
 著者は「振り返れば奴がいる」「古畑任三郎」などヒット番組を手がけた脚本家。
 だから、作ってるのはわかるけれども、抱腹絶倒の一冊。もう電車のなかでニヤニヤしてるだけでも変人に見られるのに、突然、声をあげて笑ってしまっては「危ない人」にみられただろうな、きっと。
 前にも書いたと思うけど、最近、危ない人が車内に多いね。
 この前も山手線の恵比寿駅で電車が停まってるわけ。すると、そのうち「いま、8号車付近で乗客同士のトラブルが発生しています」という車内放送が流れたかと思うと、わさわさと駅員が集まってくるわけ。それもわたしの乗ってる車両に。
 そうなんだよね。
 ほんの数メートル先で酔っぱらったホームレスとオタクっぽいサラリーマンが口喧嘩してるわけ。「騒がしいな」とは思ったけど、これに気がつかないというのはこの危ない平成の時代を生き抜くには危機管理ができてないと猛烈に反省しました。
 ところで、この本はおもしろい。
 「長嶋茂雄に似てると詰め寄られた話」「UFOに遭遇して締め切りに遅れた話」「トトロをホントに見た話」などなど、疲れたときに読めば肩こりも少しは楽になると思うな。
 読んで勉強になる本もあれば、こういう一服の清涼剤のような本もある。文庫という点がまたいいね。最近は文庫に凝ってます。「50円高」というところかな。

2 「マダム小林の優雅な生活」 小林聡美著 幻冬社 1400円
 読んでビックリ。これ、いま紹介した三谷さんの奥様の本でした。
 うちにはいろんなところに本が転がってます。書棚はもちろん、玄関、廊下、トイレ、風呂までうずたかく積んであります。これはテレビの上で発見したわけ。
 わたしが買ったという記憶がないから、きっと家人の誰かが買ったのでしょう。
 忙しいかったけれども、「ちょっと見てみるか」と手にとったのが運のツキ。運がツイたのか、はたまた尽きたのか。
 おそらく後者でしょうが、後半に行くほどにおもしろくなってきました(ただし、それでもご主人の十分の一にも届いてないな。それはしょうがないか)。
 「ネイティブへの道」では、英語をやろうと一念発起したのはいいものの、怪しげな語学教室に通う羽目になったという話。ほんとうに人がいいな。北海道では何回もチャコちゃん(四方晴美さん。新派の名優安井昌二さんの娘)に間違われたという話。ご主人は長嶋監督、奥さんはチャコちゃんか。
 「15円高」。

3 「村松友視からはじまる借金の輪」 角川文庫 480円
 借金の輪だから、依頼はしても断られそれが巡り巡ってという寸法。村松さんからはじまって、武田花さん、南伸坊さん、西条秀樹に野口五郎、計15人が登場した。
 でも、借金の依頼がみんな下手だね。断り方も下手。きっと、あまり困ったことない人たちなんだね。
 どれも陳腐でおもしろくなかったけれど、横尾忠則さんは良かったな。怒りまくってたもん。
 まっ、こういう短文は難しいんという証拠だね。
 ということで、「20円安」がいいところ。