2001年02月19日人気と人望

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永田町きっての人気者

 森総理がいつまで続くかわかりませんが、この人、人間的にはたいへんおもしろい人らしい。

 講演をさせれば、その場その場の聴衆に見事に合わせて話をする。ヨイショも忘れない。宴会やパーティになると、頼みもしないのにすぐ一緒に写真を撮りたがる。

 まことにまことにサービス精神に溢れる人間なのだそうです。

 こういう男芸者タイプの人間にはお座敷がたくさん掛かります。つまりは、人気があるということです。

 人気者なら、負けてないのは芸能人です。

 でも、「いざ」というとき、この人たちに相談しようとはだれも思わないでしょう。もちろん、国の未来や危機管理など、話をする相手ではありません。

 こういう話はどんなに嫌いでも、どんなにイヤなヤツでも、きちんとした見識と判断力がある人物にこそ、人は集まってくるわけです。

 日本国民が不幸なのは、いちばん相談したくない相手を相談しなくてはいけない地位にあげてしまったことです。あげたのはだれなんでしょうかね。


ピエロか人物か

 人気は人望とはまったく違うんですね。

 要はピエロ、人寄せパンダか、人物かの違いということになりましょうか。

 人気というのは自分より下の人に対していうことです。相手に迎合し好みに合わせることです。人望とは自分より上の人に対していうことです。そこには畏怖の念さえあります。

 いま、日本人がどんどん小粒になってきています。総理もどんどん軽くなりました。いまや、鴻毛よりも軽いくらいです。

 周囲の思惑ばかりに気兼ねして、自分の価値を見失う。相手が強ければ下手に出て、弱ければ強気に出る。強気を助け、弱気をくじく。これではまるで、かつての人気番組「トンマ天狗」です。

 それでいて、みんなに受けようとしていますが、人望からはどんどん離れていきます。

 人気者の不幸は、周囲から忘れ去られてしまう時です。賞味期限が過ぎると、子どもがおもちゃに飽きたときのように簡単に捨てられてしまいます。

 それは一国のリーダーでも同じことです。飽きたらもう捨ててしまえばいいんです。

 「歌手一年、総理二年の使い捨て」−−竹下登氏の言葉です。