2001年01月22日「ご長寿TVで超寿のコツ 鈴木史朗の健康道場」「東海自然歩道全踏破」「英語とわたし」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 今回も3冊ご紹介することにします。

1 「ご長寿TVで超寿のコツ 鈴木史朗の健康道場」 鈴木史朗著 小学館文庫 476円
 元TBSアナウンサー。ご存じ、「さんまのからくりテレビ」でご長寿早押しクイズの司会者。これで一躍、人気者になった人ですね。
 この方、そうとうな健康おたくらしく、ありとあらゆるものを試しているとか。何を隠そう、わたしも健康おたくでいろんな訳の分からない商品を試し、家族からは「そんなに健康食品ばかり飲んで、お腹が複合汚染されてるんじゃないか」とからかわれています。いまは二つに絞って服用しています。
 著者は「梅干しとお茶漬けが好き」だそうです。梅は血液をサラサラにしてくれると言ってますが、健康にいちばんいいのはストレスを無くすこと。番組に登場するお年寄りたちの健康な生活ぶりには、どんな健康食品もかないません。たとえば、収録中に「ちょっと失礼」と出て行くから、トイレだろうと思っていると何時間も帰ってこない。そこでスタッフが自宅まで捜索隊を出すと、畑で仕事してるわけ。
 「マイペースで生きるのを信条にしているから、僕らが分刻みのスケジュールにイライラしていることなど、しったこっちゃない」というわけです。
 やっぱり、ストレスだな。ストレスがいちばんいけないな。

2 「東海自然歩道全踏破」 斉藤政喜著 小学館文庫 533円
 シェルパ斉藤さん。この人の著書はすべて読んでます。なにしろ、BE-PALが愛読書なもんで、連載中も読んでるわけ。ちょうど、忘れた頃に単行本になるからまた買って読む。出版社というのはこのサイクルをきちんと読んで商売してますな。読者は本を読む。出版社は読者を読む。こういうことです。
 バブルがはじける直前に高尾山を出発し、それから21ヶ月かけて東海自然歩道1343キロを踏破した記録です。もちろん、斉藤さんのこと。様々な人との出会い、感動、発見がたくさんあります。
 ビジネスマンはいつかこんな生活したいな、と憧れながら読み、わたしのような暇人はそうか、こんなコースもあったのかと教えてもらうために読む。
 この人のいいところは人間が嫌らしくなく、きわめて自然体なこと。人に対する礼儀もそうだし、温かいんだな。優しいんだな。それでいて、自分には厳しいし、正直だ。父親が会社を倒産させ、故郷信州から夜逃げ。それからは、賄いをしながら母親が一人で育ててくれた。そんな苦労が彼のキャラクターを作っているのだと思う。
 ところて、紀伊国屋Webでは『シェルパ斉藤の行きあたりばっ旅6』となってたけど、これは違う。それに騙されて、同じ本を買ってしまった。恥ずかしながら、半分まできたときに、「あれ、この本、読んだことあるな」と気づいた次第。ホントにわたしの忘却力はものすごく強いものだ。

3 「英語とわたし」 岩波新書編集部 岩波新書 700円
 まぁ、いろんな有名人の英語体験が羅列されてます。筑紫さんとか小林陽太郎さんとかいろいろですね。ハマコー先生が外賓に対して失礼だ、ということで怒鳴ったあの河野太郎センセも載ってます。
 おもしろかったのは有森裕子さん。バルセロナで銀メダルを取ったマラソン選手ですね。一流選手はみんな英語ができる。それは選手として生きられる時間よりも人間として生きる時間が長いからだ。あらゆる国のトップ選手たちと情報交換している。そして、人間として磨かれる。こんなことを言ってます。
 舟橋洋一さんもでてました。「国際会議で、ああいえばよかった、こういえばよかったと思わない人がいたら、教えてほしい。みんなそう思ってるんだ」という発言にはホッとします。
 みんな苦労と後悔、そして反省とあきらめ、開き直り、そんな感情をないまぜにして生きてるんですね。英語よりも人間学として読める本です。