2000年11月30日「英会話 この順番ならムリなく覚えられる」「一○○歳食入門」「渡邊恒雄 メディアと権力」
今回も三冊ご紹介することにします。
1「英会話 この順番ならムリなく覚えられる」 又村 紘著 三笠書房 560円
小さな文庫。だけど、内容はじっしり詰まった好著。
まず、シーンごとに英会話を簡単な順番から覚えよう、という企画が良い。そして、解説はアメリカ通、イギリス通でなければできない蘊蓄に富んだ内容だ。解説だけ読んでもじゅうぶん面白いし役に立つ。
わたしも英語本をかなりチェックしているほうだが、その中でもピカイチ。今年見た中では、ベストセラー「とっさの一言事典」と並ぶと思う。
「good morning」はどうして「bad morning」じゃダメなのか。「天気が悪いならいいんじゃないの?」という疑問にもさらりと答えてくれる。「へぇ、そうなんだ」という目からウロコが落ちる英語表現が山ほど入っている。
まぁ、読んでみてください。少なくとも、価格の二十倍くらいは得すると思うよ。
2「一○○歳食入門」 永山久夫著 家の光協会 1400円
料理番組でも活躍している髭の永山センセの本。サブに「あぁ‥‥うまい。誰もが知りたかった健康寿命を長くするコツ」とある。
一〇〇歳食というのは、一〇〇歳まで呆けずに健康的に生きられるような食生活のこと。戦国武将の食生活から、家康、貝原益軒まで、和食、とくに伝統食がいかに身体にいいか、わかりやすく教えてくれる。
戦国武将というのは長生きだったらしい。当時の平均寿命はどうやら約38歳。そんななか、北条早雲は88歳、伊達政宗は72歳、島津義弘85歳、家康は75歳。家康の経営顧問である天海和尚となると108歳である。
「主食は玄米に近い半づき米でビタミン、ミネラル、良質のタンパク質が豊富」という具合に、これを食べればいいよという具体的なアドバイスがいっぱい。戦国武将の項は一章だけ。あとは「イワシ」「ニンジン」「ラッキョウ」といったように、永山さんご推薦の不老長寿源を紹介。
まぁ、読んで安心。食べてもう一安心という感じ。
3 「渡邊恒雄 メディアと権力」 魚住 昭著 講談社 1900円
この本は刊行されたときに買ったんだけど、いつの間にか書庫の奥深くに入ってしまい、そのままほったらかしになっていた大量の本の中の一冊。
著者は共同通信の記者だった人。
家人が読売新聞の物量セールスに負けて半年契約した、と聞き、「読売ねぇ、むかし、半年だけ取ったことあるんだけど、スクラップブックに貼る記事が一つもなかったんだよね」とがっくり。
わたしは広告をチェックするために朝日新聞を、データを収集するために日経を、そして記事を読むために産経新聞を購読している。だから、読売を読む暇などないわけ。というわけで、わが家には読まれない新聞がうずたかく積んである。
ナベツネさんという人は学生時代からバリバリの権力志向だったということがよくわかる。もっと言うと、どうやら子どもの頃から負けん気が異常に強く、刃向かう者は徹底して締め上げ、すり寄ってくる者には徹底的に可愛がるという性格だったらしい。
巨人軍のオーナーに就任したのにはびっくりしたが、それも権力を握るために執着していたのだろう。
出る杭は打たれる。彼もワシントンに飛ばされたことがあった。その数年間、ワシントンから毎日、東京にあれこれと手紙を出していたらしい。そして、人事情報を収集する。特派員がワシントンに来るたびに、本社に置いてきた子分が寝返ってないかどうかチェック。たった3人しか子分がいなくなったこともあった。
完璧なマキャベリスト。でも、組織で出世するような人はたいていこんなタイプである。わたしもたくさん見てきたし、こんなタイプをたくさん知っている。
「よくやるよ」「威張るのが好きなんだな」「ストレスたるやたいへんなものだろうな」
でも、本人は戦わざるを得ない。それが性分だからだ。周囲にはさらりと平安な日々を送って有意義な人生をおくっている人もいるだろうが、そうではなく、権謀術数と裏切り、復讐、権力争い‥‥。そういう波瀾万丈の人生を送る。
ひとえに本人の性格が呼び込むものだ。味方はいない。いるのは子分だけ。横人脈がない。あるのは縦人脈だけ。
でも、わたしはこういう人生、こういう人を否定しない。目的志向、彼らなりの自己実現を叶えるのはこういうタイプなのである。
リストラ時代、組織で生き抜くビジネスマンにはぜひとも読んでもらいたい。組織を生き抜くノウハウがすべて凝縮された一冊だ。わたしももっと早く読んでおけば良かったな。まぁ、ムリか。
1「英会話 この順番ならムリなく覚えられる」 又村 紘著 三笠書房 560円
小さな文庫。だけど、内容はじっしり詰まった好著。
まず、シーンごとに英会話を簡単な順番から覚えよう、という企画が良い。そして、解説はアメリカ通、イギリス通でなければできない蘊蓄に富んだ内容だ。解説だけ読んでもじゅうぶん面白いし役に立つ。
わたしも英語本をかなりチェックしているほうだが、その中でもピカイチ。今年見た中では、ベストセラー「とっさの一言事典」と並ぶと思う。
「good morning」はどうして「bad morning」じゃダメなのか。「天気が悪いならいいんじゃないの?」という疑問にもさらりと答えてくれる。「へぇ、そうなんだ」という目からウロコが落ちる英語表現が山ほど入っている。
まぁ、読んでみてください。少なくとも、価格の二十倍くらいは得すると思うよ。
2「一○○歳食入門」 永山久夫著 家の光協会 1400円
料理番組でも活躍している髭の永山センセの本。サブに「あぁ‥‥うまい。誰もが知りたかった健康寿命を長くするコツ」とある。
一〇〇歳食というのは、一〇〇歳まで呆けずに健康的に生きられるような食生活のこと。戦国武将の食生活から、家康、貝原益軒まで、和食、とくに伝統食がいかに身体にいいか、わかりやすく教えてくれる。
戦国武将というのは長生きだったらしい。当時の平均寿命はどうやら約38歳。そんななか、北条早雲は88歳、伊達政宗は72歳、島津義弘85歳、家康は75歳。家康の経営顧問である天海和尚となると108歳である。
「主食は玄米に近い半づき米でビタミン、ミネラル、良質のタンパク質が豊富」という具合に、これを食べればいいよという具体的なアドバイスがいっぱい。戦国武将の項は一章だけ。あとは「イワシ」「ニンジン」「ラッキョウ」といったように、永山さんご推薦の不老長寿源を紹介。
まぁ、読んで安心。食べてもう一安心という感じ。
3 「渡邊恒雄 メディアと権力」 魚住 昭著 講談社 1900円
この本は刊行されたときに買ったんだけど、いつの間にか書庫の奥深くに入ってしまい、そのままほったらかしになっていた大量の本の中の一冊。
著者は共同通信の記者だった人。
家人が読売新聞の物量セールスに負けて半年契約した、と聞き、「読売ねぇ、むかし、半年だけ取ったことあるんだけど、スクラップブックに貼る記事が一つもなかったんだよね」とがっくり。
わたしは広告をチェックするために朝日新聞を、データを収集するために日経を、そして記事を読むために産経新聞を購読している。だから、読売を読む暇などないわけ。というわけで、わが家には読まれない新聞がうずたかく積んである。
ナベツネさんという人は学生時代からバリバリの権力志向だったということがよくわかる。もっと言うと、どうやら子どもの頃から負けん気が異常に強く、刃向かう者は徹底して締め上げ、すり寄ってくる者には徹底的に可愛がるという性格だったらしい。
巨人軍のオーナーに就任したのにはびっくりしたが、それも権力を握るために執着していたのだろう。
出る杭は打たれる。彼もワシントンに飛ばされたことがあった。その数年間、ワシントンから毎日、東京にあれこれと手紙を出していたらしい。そして、人事情報を収集する。特派員がワシントンに来るたびに、本社に置いてきた子分が寝返ってないかどうかチェック。たった3人しか子分がいなくなったこともあった。
完璧なマキャベリスト。でも、組織で出世するような人はたいていこんなタイプである。わたしもたくさん見てきたし、こんなタイプをたくさん知っている。
「よくやるよ」「威張るのが好きなんだな」「ストレスたるやたいへんなものだろうな」
でも、本人は戦わざるを得ない。それが性分だからだ。周囲にはさらりと平安な日々を送って有意義な人生をおくっている人もいるだろうが、そうではなく、権謀術数と裏切り、復讐、権力争い‥‥。そういう波瀾万丈の人生を送る。
ひとえに本人の性格が呼び込むものだ。味方はいない。いるのは子分だけ。横人脈がない。あるのは縦人脈だけ。
でも、わたしはこういう人生、こういう人を否定しない。目的志向、彼らなりの自己実現を叶えるのはこういうタイプなのである。
リストラ時代、組織で生き抜くビジネスマンにはぜひとも読んでもらいたい。組織を生き抜くノウハウがすべて凝縮された一冊だ。わたしももっと早く読んでおけば良かったな。まぁ、ムリか。