2008年11月17日会議は踊る? いえいえ、GMとともに・・・去りぬ。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 会議は踊る・・・。20カ国の首脳&財務大臣が雁首揃えて議論。サルコジさんはパリの演説のほうが良かったですな。ワシントンに来てトーンダウン。
 「お手柔らかに」なんてブッシュ&ポールソンに揉み手で迎えられたんでしょうか。

 こういう金融サミットてえのは、総論賛成・各論反対になりがちなんだけど、やっぱね。結局決まったのは「規制強化」のみ。ま、具体的なことは新大統領(つうか、新財務長官)の下でやりましょ・・・ということでしょうか。

 ヨーロッパにしてみりゃドル高ユーロ安。で、一斉利下げ。考えて見りゃ、全世界とも自国通貨が下がって喜ぶという異常事態。
 一方、利下げも通貨供給量の拡大も頑強に反対し続ける日銀のおかげで、円は独歩高(超過準備に金利つけるからそんなにマネーが流れるとは思えませんけど)。
 どこかちぐはぐ。総合力が生かせずバラバラ。そうか、ねじれ現象は政府、財務省、日銀もそうなのね。IMFに10兆円貢いでも日本のプレゼンスはいまいち。これではロンドンでやろうぜ、となりますわな。

 けど不思議なのは、この会議になぜ次期大統領のオバマ本人が参加しなかったのか?・・・ということ。
「そりゃ、ブッシュはんが蒔いたタネなんやから、あんさんが刈り取るのが当たり前やろ? デビュー前のわての初舞台でっせ。いきなり、すんまへんすんまへんとみなに頭下げるのはかなんなあ」
 まっ、こういうことでしょ。
 
 けど、地元デトロイトの落ちこぼれ自動車メーカーから頼まれて「政府支援」をブッシュに頼んだのはだれよ? ノッチ、いやいやオバマさんじゃないの。そんな態度だから、「違法な支援ならWTOに提訴するかんね。許さんかんね、うちら」とECの連中を頑なにさせちゃったじゃないの。

 それにさ、基本的な疑問なんですけど、GMとかクライスラーを残してどうすんだろ? たしかに100万人の単位で失職しますわな。
 けど、これだけの大企業には年金があるでしょ。今後、じり貧でパーになるより、さっさと解散しちゃったほうがいいんじゃないかなあ。ダメ? やっぱダメか・・・。

 しつこいようだけど、工場稼働させたとして、作った車売れるの? ガソリンが安くなる? いえね、ガソリン代云々という時代じゃなくて、電気とか水素エネルギーとか、新しいエネルギーの時代じゃないの?
 つまり、いまや、馬車が自動車に取って代わられた文明の転換期なんじゃないか・・・と思うわけ。転換期って徐々に来るんじゃなくて、ある日突然いきなり来るのよね。

 支援したとして勝算はあんのかね。工場が国内にあろうが現地法人だろうが、関係なく、アメ車以外には猛烈な税金かけそうな気がするな。そしたら、世界でいちばん評判の悪い大統領になりまっせ。
 
 オバマブームなどいまは昔。ヒラリーとの一戦でもう終わってます。
 それより全米、いや全世界が注目してるのは、だれが財務長官になるかということ。この一点です。ガイトナーかサマーズか。いずれにせよ、経済音痴のオバマさんにはだれも期待してません。今回の「金融監理内閣」では、残念ながら、財務長官が大統領で、彼はせいぜい「スポークスマン」の役回りしかないかもしれませんな。
 
 金融危機でバケツの底が抜けた米国経済。天文学的赤字は必至です。いったいどのくらいコストがかかるのか?
 CNBC(ダウ・ジョーンズとNBCの放送局)がこの14日にこんなデータを公表しました。題して「ビッグ予算イベント・ランキング」。ベスト、いやワースト14。だれも知らないと思うからお知らせします(数字はすべて現在の価値換算)。

14位 フーバーダム(1930−1935年。7億8200万ドル)
13位 パナマ運河(1904−1914。79億ドル)
12位 第1次湾岸戦争(1990−1991。980億ドル)
11位 マーシャルプラン(1948−1951。1150億ドル)
10位 ルイジアナ購入(1803年。2170億ドル)
9位 月面着陸計画(1958−1969。2370億ドル)
8位 S&L危機対策(1986−1995。2560億ドル)
7位 朝鮮戦争(1950−1953。4540億ドル)
6位 ニューディール政策(1933−1943。5000億ドル)
5位 第2次湾岸戦争・イラク戦争(2003−現在。5970億ドル)
4位 ベトナム戦争(1964−1972。6980億ドル)
3位 NASA(1958−2008。8510億ドル)
2位 第2次世界大戦(1941−1945。3兆6000億ドル)


いまや観光名所のフーバーダム。

 さすがに第2次世界大戦はカネかかったんですなあ。ブッシュさんも、「あの戦争は米国に引っかけられたんだ」なんて日本の国会で大騒ぎされてるとは知らんやろね。でも、これね、間違いです。正確には「米国」ではありません。「米国と英国」です。

 米国はウィルソン大統領時代に非戦決議してるのよ。国連の生みの親ね。
 法律改正するには議会の賛成が必要なの。ま、いちばん効くのはどこかの国に「わが領土」を攻撃されること。で、選ばれたのが日本というわけ。どこか似ている、9.11同時多発テロ・・・。
 そんなバカな? はい、バカなことです。アンビリーバブルです。けど米国には基本的に3つの人種がいるんです。ウォール街人とホワイトハウス人、そしてアメリカ人です。それぞれがそれぞれの利害のみで動いてるんです。

 さて、栄えある1位に輝いたのは次の対策コストです。
1位 今回の金融危機対策(2008年−。7000億ドル−3兆8000億ドル)。
 なんと、第2次世界大戦よりずっと多い! いまのところは70兆円。けど、近接未来でかかると予測されているコストがこんだけ。しかも、これは生産的なコストではなく後ろ向きの非生産的なコストなのね。

 道理で株価も元気がないわけですよ。有事の金? 先日書いたように、いまや、株価も金もほかの商品もすべて同時に動いてますな。これ、バブル崩壊後の特徴ですね。
 しかも商いが薄くて揉み合ってるから、少しの売買にも過敏に反応してしまう。

 プロにはもってこい? いえいえ、プロも個人も機関投資家もヘッジファンドもしばし「お休み」。少しの間、休憩を頂かないと心の傷を癒せません。
 そのくらい金融戦士たちは疲労困憊してると思いますよ。