2008年12月27日「心の旅路」再び
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
年末にあたり、ぜひ、お休み中にご覧いただきたい映画をいくつかご紹介したいと思います、
やっぱ、これっしょ。ね。
好きだなぁ、グリア・ガーソン。女優の中でいちばん好き。
このイギリス女優はこの映画で世界的に知られます。この後、「キュリー夫人」でアカデミー賞(主演女優賞)をとりましたよね。
参考までに、戦後、いちばん最初に日本に入ってきた外国映画が、この「キュリー夫人」なのよ。
さて、この映画の監督はヴィヴィアン・リー主演「哀愁」』の名匠マービン・ルロイです。余談だけど、「哀愁」は、かつて「君の名は」というテレビドラマがありました。「女湯が空っぽになる」と言われたほどヒットした作品です。岸恵子さん、佐田啓二さん(中井貴一さんの実父)主演でね。これ、完全にこの映画のバクリ。
「心の旅路」は第1次大戦を背景にしています。戦争って、人との別れ、出会い、いろんなものを歴史に畳み込んでいますよね。
戦争で記憶を無くした男が精神病院を逃げ出してきます。
匿ったのは、たまたまタバコ屋で出会ったショーガール。以来、彼女は男の世話をすんの。地方に行って働き、男を養う。そして、妊娠すんだなぁ。
文章力のある男は新聞社に記事を寄稿します。これが採用されちゃう。
で、「新聞社に来ないか」と言われて上京すんの。
ところが、好事魔多し。車の事故に遭うのよね。そして、無くしていた記憶が戻っちゃう。
「自分は名士の元で生まれた」
そのかわり、女のこともすべて忘れてしまうんだ。
男は政治家として、企業経営者として大活躍。バリバリ働く。彼女のことなんか忘れてさ。
そんな彼のそばには、いつも有能な女性秘書がついてるんだ。
男に縁談が舞い込む。2人、教会で聞くオルガン。その音楽を聴いて、男はガラリと変わるのね。
なぜか結婚に踏み切らなくなるんです。
もちろん、女性は不安がりますよ。なにより、男の目が自分に注がれていないことに気づいちゃうんだな、これが。
哀しいね。切ないね。去るしかないね。自分が惨めだもの。
魂が洗われますよ。1942年の作品。この時代によく撮ったね。「風とともに去りぬ」もそうだけど。
ある日、男は会社のスト解決のために地方に行くのね。
どこか懐かしい場所。「煙草を切らした。買ってこい」と側近に命じます。
「タバコ屋はそっちじゃない。こっちだ。ついてこい」
「旦那様、ここには前にも来たことがあるので?」
「なぜだ?」
「だって、目印もないのにすぐ見つけたじゃないですか?」
「!」
男はかつての自分探しをはじめるんだよ。そして、ようやく辿り着くの。
あの2人暮らした懐かしい家をね。
事故以来、なぜかわからないけれど、いつもポケットに鍵を入れてた。
「いったいこれはなんの鍵?」と不思議に思ってた。捨てられずにずっと持ってんの。当然、いまもさ。
試しに鍵を差し込んでみる。ピッタシカンカン。
「スミス!」
その瞬間、背後で男を呼ぶ声がすんの。振り返ると同時に、彼も世界でいちばん愛した女、これからも愛する女の名を呼ぶんだよ。
「ポーラ!」
微笑んでいたのは、あのショーガール? いや、いつも男の世話をしていたあの秘書さ。記憶が戻ろうが戻るまいが、男を愛し続けた女だよ。
まさに心の旅路。男にとっても、女にとってもね。
「こんな女性、いないよね?」
いえいえ、それは女性の問題ではなく、男の問題でしょ? ご同輩?
やっぱ、これっしょ。ね。
好きだなぁ、グリア・ガーソン。女優の中でいちばん好き。
このイギリス女優はこの映画で世界的に知られます。この後、「キュリー夫人」でアカデミー賞(主演女優賞)をとりましたよね。
参考までに、戦後、いちばん最初に日本に入ってきた外国映画が、この「キュリー夫人」なのよ。
さて、この映画の監督はヴィヴィアン・リー主演「哀愁」』の名匠マービン・ルロイです。余談だけど、「哀愁」は、かつて「君の名は」というテレビドラマがありました。「女湯が空っぽになる」と言われたほどヒットした作品です。岸恵子さん、佐田啓二さん(中井貴一さんの実父)主演でね。これ、完全にこの映画のバクリ。
「心の旅路」は第1次大戦を背景にしています。戦争って、人との別れ、出会い、いろんなものを歴史に畳み込んでいますよね。
戦争で記憶を無くした男が精神病院を逃げ出してきます。
匿ったのは、たまたまタバコ屋で出会ったショーガール。以来、彼女は男の世話をすんの。地方に行って働き、男を養う。そして、妊娠すんだなぁ。
文章力のある男は新聞社に記事を寄稿します。これが採用されちゃう。
で、「新聞社に来ないか」と言われて上京すんの。
ところが、好事魔多し。車の事故に遭うのよね。そして、無くしていた記憶が戻っちゃう。
「自分は名士の元で生まれた」
そのかわり、女のこともすべて忘れてしまうんだ。
男は政治家として、企業経営者として大活躍。バリバリ働く。彼女のことなんか忘れてさ。
そんな彼のそばには、いつも有能な女性秘書がついてるんだ。
男に縁談が舞い込む。2人、教会で聞くオルガン。その音楽を聴いて、男はガラリと変わるのね。
なぜか結婚に踏み切らなくなるんです。
もちろん、女性は不安がりますよ。なにより、男の目が自分に注がれていないことに気づいちゃうんだな、これが。
哀しいね。切ないね。去るしかないね。自分が惨めだもの。
魂が洗われますよ。1942年の作品。この時代によく撮ったね。「風とともに去りぬ」もそうだけど。
ある日、男は会社のスト解決のために地方に行くのね。
どこか懐かしい場所。「煙草を切らした。買ってこい」と側近に命じます。
「タバコ屋はそっちじゃない。こっちだ。ついてこい」
「旦那様、ここには前にも来たことがあるので?」
「なぜだ?」
「だって、目印もないのにすぐ見つけたじゃないですか?」
「!」
男はかつての自分探しをはじめるんだよ。そして、ようやく辿り着くの。
あの2人暮らした懐かしい家をね。
事故以来、なぜかわからないけれど、いつもポケットに鍵を入れてた。
「いったいこれはなんの鍵?」と不思議に思ってた。捨てられずにずっと持ってんの。当然、いまもさ。
試しに鍵を差し込んでみる。ピッタシカンカン。
「スミス!」
その瞬間、背後で男を呼ぶ声がすんの。振り返ると同時に、彼も世界でいちばん愛した女、これからも愛する女の名を呼ぶんだよ。
「ポーラ!」
微笑んでいたのは、あのショーガール? いや、いつも男の世話をしていたあの秘書さ。記憶が戻ろうが戻るまいが、男を愛し続けた女だよ。
まさに心の旅路。男にとっても、女にとってもね。
「こんな女性、いないよね?」
いえいえ、それは女性の問題ではなく、男の問題でしょ? ご同輩?