2009年01月14日圧倒的パワーの家電芸人!

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 08年、15000件を超える倒産、うち上場企業は33社。過去最悪、過去最多の倒産件数です。
 おかげで、日本人の財布のヒモはガシッと締め締め。

 世界的構造不況だからしょうがない? そうとも考えられるけど、消費激減の時代にもかかわらず売上絶好調の業界があるのね。いったいどこがそんなに調子が良いの?

 家電業界です。パナソニックとかシャープは円高直撃で株価は暴落。工場も閉めてんじゃない? たしかにそうなんだけど、絶好調なのは家電の売場。すなわちヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどの「家電量販専門店」なのよ。

 なぜか? 「家電芸人」のおかげです。

「家電芸人」とは朝日放送の深夜の人気バラエティ番組「アメトーク」から生まれた企画。なんのことはない。家電好きのお笑い芸人(ペナルティーのヒデ、品川祐、劇団ひとり、土田晃之、チュートリアル徳井、TKO木本、関根勤)がひな壇にずらりと並んで、家電への思いを自分がいち押しのする製品の特性や魅力とともに観客に熱く訴えるというもの。
 司会者の「雨上がり決死隊」が突っ込んでおもしろおかしい番組には仕立て上げている。作り方、見せ方はシンプルで単純そのもの。

 ところが、視聴者にバカ受け。08年6月19日放送分では番組最高視聴率15.2%を記録。参考までに、各テレビ局が総力をあげて宣伝するゴールデンタイム・プライムタイムの人気ドラマでもとうてい稼げない視聴率。年末にはレコード大賞の裏番組としてぶつけて、みごと木っ端微塵。

 で、停滞気味だった家電の消費需要に火がついたというわけ。

 「ああ、そんなに便利なんだ!」「へおいいね、それ」と納得すれば財布のヒモはあっという間にユルユル。ローンでしか買えない欧米の消費者と決定的に違うのよ。事実、家電量販店の担当者など、放送の翌日や週末になると、「アメトークで紹介されてた家電欲しいんですけど」「ヤマハのYPSってどれですか?」という質問ばかり。

「家電×芸人=新しいPR」という方式が見えますな。

 いま、どのテレビ局でもいちばん元気なのは通販番組。深夜枠はほとんど通販ジャックされてます。「トヨタが宣伝費を半減する方針だ」と聞くけど、他社もおしなべてそうでしょう。となると、さらに通販番組が増えるかもよ。つうことは、視聴者(潜在顧客)は従来の通販番組では飽きたらず、必ず家電芸人的なコンテンツを求めるようになりますな。

「やらせ」や「ヒモ付き」じゃなくて、実際に自分が使って便利。ぜひ知らせたいという「熱き思い」。たぶん、いま、百貨店や商店街でも消費が下火なのは、この原理原則から外れているからじゃないかなあ。