2009年02月26日「おくりびと」再び

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 アカデミー賞外国語映画部門賞。この部門、「善き人のためのソナタ」とか、いい映画が多いのよね。
 日本映画の快挙ですな。最近、ノーベル賞もそうだけど、日本の時代じゃないかな。米国はじめ世界経済がガタガタになって、「頼むよ、日本さん」てな風潮が後押ししてるような感じがしてならないね。

 で、封切り直後のブログをもう1度ご紹介しておきましょう。

 --レイトショーなのに指定席? 普通、自由席扱いなんだけど。
 てことは、混むわけ? ちょっと早く近場のシネコンに出かけると、あれれ。ずいぶん入ってる。「20世紀少年」より混んでるじゃん。
 
 「おくりびと」つうより「おくられびと?」みたいなジジババカップルもいれば、「なんだこの森三中みたいな女子高生たちは?」という連中もいたりして。
 いちばん後ろの席とったんだけど、なんと後部シートは全席埋まってる。

 しかしなあ、隣があのジジババカップルとはなあ。なんか朝から嫌な予感がしたんだよ。

「水が変わったみたいでご飯美味しく炊ける」
・・・そうだよね。田舎の水は美味しいもの。

「ふぐの白子。困ったことに美味いんだ」
・・・ホントに美味しそうだねえ。

「(チキンを)むしゃむしゃむしゃむしゃ」
・・・すごい食欲だな。なにも食べてないのかねえ。

 これね、役者のセリフにいちいち反応してんの、ジジババカップルが!
 私ゃ隣だよ。もち聞こえちゃうの。イライライライラ(こらあ、ええかげんにせんかい!「おくりびと」見に来て、逆にわいがあんたらおくったろか!)なんてことは私ゃ言いません。ほら、心がはな寛太いま寛大だかんね(ちがうか!)。

 ところが、しばらくするとこのジジババカップル、急に静かになったのよ。寝たのかそれとも死んだのか・・・心配になっちゃった。
 
 さてさて、「おくりびと」ちゅうのは納棺師のこと。
 本来はこういう厳粛な儀式があんだねえ。ちいとも知らんかった。元々、日本では納棺も葬儀も身内でやってましたよね。それが核家族化を迎える中、死ぬと一切合切をプロの葬儀屋さんに頼むようになりました。
 病院で亡くなると、そのまま葬儀屋さんから焼き場、お墓まで一気通貫のシステムになってますからね。

 で、納棺師というのは葬儀の前、亡くなった人の死装束、死化粧を執り行う人ね。これをもっくんが演じてるわけ。


「今年一番!」と宣伝してます。たしかにいい映画ですよ、これ(私の今年一番は「闇の子供たち」かな)。
 
 元々、楽団のチェロ奏者だったんだけど、解散の憂き目で故郷(山形県の庄内)に戻ってきちゃうの。
 ひょんなことから納棺師の仕事についちゃう。社長は山崎努さん。事務員は余貴美子さん。いろいろ、曰く付きの人たちなんだ、これが。

 いきなりとんでもない遺体処理、いえ、納棺にぶち当たるわけ。七転八倒、これは辛いよ。この仕事、ストレス多いわあ。よっぽどの脳天気か、ある意味、悟ってる人じゃないと無理なんじゃないかなあ。

 もっくん演じる大悟も嫁さんには言えないわ、結局ばれるわ。出て行かれるわ。友人からも軽蔑されるわ・・・けど、いろんなご遺体をおくっていくうちに、この仕事に使命感を抱き始めるわけ。

 で、ある日、6歳のときに愛人と出て行ったオヤジに関する知らせが届く・・・。

「人間、最後の最後は自分で選べないんだよね」
「そうだねえ」

 起きてたんか、このジジババカップル!--

 というわけで、おめでとうございます。