2009年05月31日「ブッシュ」

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 この映画観たかったのよね。けど、土曜日は午後1時から大手町でセミナーがあんの。
 ん? 有楽町スバル座? 初回は10;50分スタート? つうことは、終了次第タクシーに飛び乗ればぎり間に合うってわけ?
 
 スバル座。学生時代によく来たな。なんの映画だったか忘れたけど。
 いま頃のシネコンとちがって、この劇場はフラット。それでも前席のオヤジの頭を見ないで済むのは、スクリーンが上方にあるんで見上げないといけないから。でも、いまどき珍しいよね。これじゃシネコンに慣れてる若い人は来ないかも。

 初回というのにそこそこ入ってる。年配のお客さんばかり。映画観てから銀ブラということですな。



 ま、予想通りの展開でしたね。ブッシュ・ジュニアといえば、史上最低とか市場最愚とか言われてきたからね。金融危機の後、逃げるようにしてホワイトハウスを立ち去った姿にすべて現れてるな。

「おまえか? メジャーのオーナーで十分じゃないか?」

 優秀な弟がフロリダ州知事選に立候補することをオヤジから伝えられてね、「ボクは?」と訊いた時の返答がこれ。自業自得とはいえショックだったんじゃないか。このオーナーというポジションだって、ブッシュ自ら頑張って獲得したもんじゃないしね。

 ずっと野球やってたのよ。コミッショナーが夢だったの。けど、オヤジの金とコネでなれたオーナー(テキサス・レンジャーズ)止まりがいいとこだ、とはっきり言われちゃね。

 でも、「神の啓示です」のひと言で、周囲の制止も聞かずに、彼もテキサス州知事選に名乗りを上げちゃう。

 この男、大学も裏口。空軍はビリ。ハーバード・ビジネス・スクールも裏口。コネで石油会社にもぐりこんでもすぐに弱音を吐いて辞めちゃう。
 こういうヤツに共通するように酒と女には目がない。

 でも当選しちゃうんだよなあ。1995年のことね。で、弟は落選(次期選挙で当選。大統領選をサポートした)。その後、州知事を1期しただけで大統領選にチャレンジ(オバマも同じ。ま、あちらは上院議員だけど)。
 就任したまま選挙できるからね。

 一般投票では民主党アル・ゴアのほうが得票数は多かったみたい。けど、選挙人投票でぎりで逆転。ま、インチキだとか言われたけど第43代大統領に就任。

 彼が史上最低と言われたのは、その知性の欠如。学生時代、勉強できなくてほとんどC。可山優三ってやつか? なんといってもイラク戦でしょ。結局、攻撃の大義名分だった大量破壊兵器が見つからなかったもんね。

 就任早々、9.11事件。CIAの一部ではテロ情報をつかんでたのに防げなかった。そもそも大量破壊兵器が無かったという情報もつかめなかった。
 彼の悲劇は、アメリカという国が誇っていた「情報能力(インテリジェンスというヤツね)」がすでに地に落ちていたことにあるんだろうね。

 逆に言えば、知っていてテロをさせたならたいしたもんだよ。ヒラリーならできるけど、テキサスのあんちゃんには無理だわな。
 バカだけど正直。つまり、愚直さがこの男の魅力だったんだと思うよ(つき合ったことないけど)。
 よくも悪くも正直。でも、政治家は命懸けでウソをつかんとな。ニクソンまではいかないにしてもさ。

 それにしても、オリバー・ストーン監督の映画、観てますねえ。この人、マーティン・スコセッシ監督の弟子なのよ。前に紹介した「ミッドナイト・エキスプレス」の脚本も担当。監督作品としては「JFK」「ニクソン」「プラトーン」「7月4日に生まれて」「ウォール街」「ナチュラル・ボーン・キラーズ」とかね。全部観てますな。
 大好きな「エビータ」の脚本もやってる。マドンナとアントニオ・ヴァンデラスが出たヤツね。♪Don't cry for me Argentina♪ね。