2009年06月29日「計画破産国家アメリカの罠」 原田武夫著 講談社 1680円
著者は外交官として対北朝鮮外交の最前線に携わった後、退官。現在は独立系シンクタンクの代表として活躍中だとか。
2008年12月。シンガポール。世界屈指の民間情報分析機関「オックスフォード・アナリュティカ」のレセプション会場でのこと(参考までに、この国際機関はG8はもちろんのこと、世界中の主要なコングロマリットがそのレポートに注目するほど権威は高い)。
幸か不幸か、レセプション会場に日本人は見あたらない。著者がドリンクを手にしていると、ジェームス・ボンドで有名な英国MI6の元幹部にして、いま、この機関のアドバイザーをする人物が声をかけてきた。もう1人、世界銀行で競争政策と開発政策を担当するジョルジャ・ペトコフスキー(ペンシルベニア大学ウォートンスクール教授)も話に加わった。
メンツがメンツだけにこんな質問をしてみた。
「ワシントン・コンセンサスはまだ有効ですかね?」
「ああ、そんなものがありましたね。もう終わりですよ」
2人につられて笑いながらも、著者はすぐに顔が凍てついた、という。
「ワシントン・コンセンサス」とはなにか? たとえば、日本の構造改革推進派にとってみれば、水戸黄門の印籠であり、キャッチフレーズであり、不磨の大典であり、早い話が「バカの1つ覚え」といえようか。
すなわち、「自由化、市場化、規制緩和、そして民営化したら上場せよ。それが善なのだ」−−壊れたオルゴールのように語り続ける「経済専門家」たちのご託宣のことである。
2009年正月、夜中に気まぐれでテレビをつけた著書は思わず失笑を禁じ得なかった、という。
なぜなら、「日本はこれからどうすべきか」という討論番組(田原総一朗さん司会の闘鶏番組のこと?)で、「構造改革はまだまだ必要なのです」とあの竹中平蔵さんが孤軍奮闘、熱弁をふるっていたからだ。そして金子勝さん、勝間和代さんあたりが口角泡を飛ばして批判と反論を繰り広げてたわけ。
構造改革=ワシントン・コンセンサスなどもう過去の遺物なのに・・・。
構造改革、構造改革といままで盛んに喧伝してきたけれども、とどのつまり、米国と東アジアを結ぶ、これまでの富と繁栄のサイクルを回すためだけのものではなかったか。
時代は進化している。とっくに賞味期限は切れているというわけだ。
オバマがなにを考え、なにをしようと、そこには先立つもの=カネが必要なのだ。ところが、いまの米国にはそのカネがない。
連邦政府が発表する財政赤字は10兆29998億ドル(08年12月31日)。ところが、公的債務残高はなんと5300兆円(日本は1100兆円)なのである。
米国は「小さな政府」だと錯覚する向きも多いと思うが、日本以上に根拠のない公的法人が跋扈している。コストが高く、ロスの多い国家なのだ。
そもそも、なぜオバマが大統領になれたかを考えてみよう。
たんに英雄を演じさせるための道化師(ピエロ)に過ぎないのではないか。
米国の真の支配者たちが考えていることは・・・オバマに「デフェルト宣言」をさせ、古いビジネスモデルを徹底的に破壊させること。そして、ヒラリー・クリントンに「AMERO(北米統一通貨)」を導入させ、エマージング・マーケットという新たなビジネスモデルを創造させること。この2つである。
オバマ大統領を選出する過程においても、とりわけ民主党の統一候補を決める際、もっとも問題になったのは米国とカナダ、メキシコとの関係。すなわち、ビル・クリントン政権当時に結ばれた「北米自由貿易協定(NAFTA)」の改訂問題だった。
「NAFTAのおかげでオハイオ州だけでも5万人の雇用が失われている」
オバマはそう非難したものの、実は裏で「NAFTA批判は政治的ジェスチャーにほかならない」とオバマ陣営はカナダ政府関係者にメモを渡していたことまで発覚している。日本では報道されなかったが、08年3月には大きなスキャンダルとなってしまい、オバマ自身、火消しに躍起になっていたのである。
さて、北米全域にまたがる共通通貨「AMERO」は米ドルに成り代わる。
ただし、従来のような金(ゴールド)だけではなく、域内でとくに産出される商品(コモディティ)、具体的には金(ゴールド)=カナダ、銀(シルバー)=メキシコ、穀物=米国などを一定の割合で組み合わせたバスケットとなる可能性が高い。
AMEROを機能させるには、米国みずからエマージング・マーケットへと落とし込む必要がある。すなわち、米ドル、米国債、米株への圧倒的な「売り」を誘って暴落させる必要がある、ということだ。
だが、世界最大級の資源国カナダ(原油埋蔵量世界2位、天然ガス3位)、そして銀と安価な労働力の供給源であるメキシコを抱えるだけに、米国はいずれ急騰局面を迎える。ヒラリーは濃縮ウランのセールスウーマンとなって、イラン、ヨーロッパを飛び回ることになるかもしれない。300円高。
どうでもいいんだけど。やっぱり思った通り。この週末、テレビ局は情報番組にそのまんま東さんを引っ張り出して、彼の出馬を揶揄した自民党議員への反論を彼にさせてましたな。
どこかで見たぞ・・・と思ったら、これ、小泉さんが正義の味方に映るように、文句言うヤツを「抵抗勢力」のひと言で片付けたのと同じじゃない?
振り付け師は前回の成功モデルをそのままなぞればいいと考えてるんだろうね。
こうなると、「自民党守旧派VSそんまんま東さん」という図式のみが報道され、結果として、「西川問題」「民営化問題」「年金問題」などが吹っ飛び、結果として民主党の存在感は薄くなる=得票率が下がる=自民党が救われる、ということになりますわな。
これ、忍者ハットリ君は「煙幕の術」と呼んでます(呼んでないか)。
民主党もとんだ飛び入り参加で、それこそ、鳩(山)が豆鉄砲食らったようだと思うけど。
麻生さんの「追い込まれ解散=ええかっこしい解散」となったら、そのまんま東さんは自民党から出馬するかどうかわかんないよ。もしかすると小泉チルドレンを引き連れて新党結成するかもしれません(その確率は高いと思います)。
本籍=自民党、現住所=新党という立場。選挙が終わってから、自民党に協力すれば、古賀さんとしては御の字なわけじゃん? つまり、これ、不人気の自民党を救う別働隊なわけ。
「総裁選に出馬させろ!」
こんなもの法律じゃないからいくらでもできますよ。そのまんま東さんを総裁選に出馬させ小泉チルドレンに応援させてから、新党結成・・・という流れがいちばんブームに乗りやすいかな。
さて、民主党はどうする? いい対抗策があんだけど。ま、これも近々披露しましょう。
2008年12月。シンガポール。世界屈指の民間情報分析機関「オックスフォード・アナリュティカ」のレセプション会場でのこと(参考までに、この国際機関はG8はもちろんのこと、世界中の主要なコングロマリットがそのレポートに注目するほど権威は高い)。
幸か不幸か、レセプション会場に日本人は見あたらない。著者がドリンクを手にしていると、ジェームス・ボンドで有名な英国MI6の元幹部にして、いま、この機関のアドバイザーをする人物が声をかけてきた。もう1人、世界銀行で競争政策と開発政策を担当するジョルジャ・ペトコフスキー(ペンシルベニア大学ウォートンスクール教授)も話に加わった。
メンツがメンツだけにこんな質問をしてみた。
「ワシントン・コンセンサスはまだ有効ですかね?」
「ああ、そんなものがありましたね。もう終わりですよ」
2人につられて笑いながらも、著者はすぐに顔が凍てついた、という。
「ワシントン・コンセンサス」とはなにか? たとえば、日本の構造改革推進派にとってみれば、水戸黄門の印籠であり、キャッチフレーズであり、不磨の大典であり、早い話が「バカの1つ覚え」といえようか。
すなわち、「自由化、市場化、規制緩和、そして民営化したら上場せよ。それが善なのだ」−−壊れたオルゴールのように語り続ける「経済専門家」たちのご託宣のことである。
2009年正月、夜中に気まぐれでテレビをつけた著書は思わず失笑を禁じ得なかった、という。
なぜなら、「日本はこれからどうすべきか」という討論番組(田原総一朗さん司会の闘鶏番組のこと?)で、「構造改革はまだまだ必要なのです」とあの竹中平蔵さんが孤軍奮闘、熱弁をふるっていたからだ。そして金子勝さん、勝間和代さんあたりが口角泡を飛ばして批判と反論を繰り広げてたわけ。
構造改革=ワシントン・コンセンサスなどもう過去の遺物なのに・・・。
構造改革、構造改革といままで盛んに喧伝してきたけれども、とどのつまり、米国と東アジアを結ぶ、これまでの富と繁栄のサイクルを回すためだけのものではなかったか。
時代は進化している。とっくに賞味期限は切れているというわけだ。
オバマがなにを考え、なにをしようと、そこには先立つもの=カネが必要なのだ。ところが、いまの米国にはそのカネがない。
連邦政府が発表する財政赤字は10兆29998億ドル(08年12月31日)。ところが、公的債務残高はなんと5300兆円(日本は1100兆円)なのである。
米国は「小さな政府」だと錯覚する向きも多いと思うが、日本以上に根拠のない公的法人が跋扈している。コストが高く、ロスの多い国家なのだ。
そもそも、なぜオバマが大統領になれたかを考えてみよう。
たんに英雄を演じさせるための道化師(ピエロ)に過ぎないのではないか。
米国の真の支配者たちが考えていることは・・・オバマに「デフェルト宣言」をさせ、古いビジネスモデルを徹底的に破壊させること。そして、ヒラリー・クリントンに「AMERO(北米統一通貨)」を導入させ、エマージング・マーケットという新たなビジネスモデルを創造させること。この2つである。
オバマ大統領を選出する過程においても、とりわけ民主党の統一候補を決める際、もっとも問題になったのは米国とカナダ、メキシコとの関係。すなわち、ビル・クリントン政権当時に結ばれた「北米自由貿易協定(NAFTA)」の改訂問題だった。
「NAFTAのおかげでオハイオ州だけでも5万人の雇用が失われている」
オバマはそう非難したものの、実は裏で「NAFTA批判は政治的ジェスチャーにほかならない」とオバマ陣営はカナダ政府関係者にメモを渡していたことまで発覚している。日本では報道されなかったが、08年3月には大きなスキャンダルとなってしまい、オバマ自身、火消しに躍起になっていたのである。
さて、北米全域にまたがる共通通貨「AMERO」は米ドルに成り代わる。
ただし、従来のような金(ゴールド)だけではなく、域内でとくに産出される商品(コモディティ)、具体的には金(ゴールド)=カナダ、銀(シルバー)=メキシコ、穀物=米国などを一定の割合で組み合わせたバスケットとなる可能性が高い。
AMEROを機能させるには、米国みずからエマージング・マーケットへと落とし込む必要がある。すなわち、米ドル、米国債、米株への圧倒的な「売り」を誘って暴落させる必要がある、ということだ。
だが、世界最大級の資源国カナダ(原油埋蔵量世界2位、天然ガス3位)、そして銀と安価な労働力の供給源であるメキシコを抱えるだけに、米国はいずれ急騰局面を迎える。ヒラリーは濃縮ウランのセールスウーマンとなって、イラン、ヨーロッパを飛び回ることになるかもしれない。300円高。
どうでもいいんだけど。やっぱり思った通り。この週末、テレビ局は情報番組にそのまんま東さんを引っ張り出して、彼の出馬を揶揄した自民党議員への反論を彼にさせてましたな。
どこかで見たぞ・・・と思ったら、これ、小泉さんが正義の味方に映るように、文句言うヤツを「抵抗勢力」のひと言で片付けたのと同じじゃない?
振り付け師は前回の成功モデルをそのままなぞればいいと考えてるんだろうね。
こうなると、「自民党守旧派VSそんまんま東さん」という図式のみが報道され、結果として、「西川問題」「民営化問題」「年金問題」などが吹っ飛び、結果として民主党の存在感は薄くなる=得票率が下がる=自民党が救われる、ということになりますわな。
これ、忍者ハットリ君は「煙幕の術」と呼んでます(呼んでないか)。
民主党もとんだ飛び入り参加で、それこそ、鳩(山)が豆鉄砲食らったようだと思うけど。
麻生さんの「追い込まれ解散=ええかっこしい解散」となったら、そのまんま東さんは自民党から出馬するかどうかわかんないよ。もしかすると小泉チルドレンを引き連れて新党結成するかもしれません(その確率は高いと思います)。
本籍=自民党、現住所=新党という立場。選挙が終わってから、自民党に協力すれば、古賀さんとしては御の字なわけじゃん? つまり、これ、不人気の自民党を救う別働隊なわけ。
「総裁選に出馬させろ!」
こんなもの法律じゃないからいくらでもできますよ。そのまんま東さんを総裁選に出馬させ小泉チルドレンに応援させてから、新党結成・・・という流れがいちばんブームに乗りやすいかな。
さて、民主党はどうする? いい対抗策があんだけど。ま、これも近々披露しましょう。