2009年07月15日「楽して勝ちたい」と考える横着者の集まり

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 学生時代、たしか「護憲代議士」(調べたら「新憲法代議士」でした)というタイトルの本だったと思うけど、これを読んだことがあります。サイマル出版会から出版された本だったと思うな。
 著者は白川勝彦さん。自民党でかつて自治大臣を経験したことがある人です。いまは新党・自由と希望の代表ということになっています。
 選挙区は新潟。いま、弁護士をしてますね。

 残念ながら、ずっと落選中。たぶん創価学会批判の急先鋒なんで選挙協力が得られない。そして同じ選挙区にもう1人自民党代議士がいることが落選の理由でしょう。

 学生時代は東大駒場寮の委員長。司法試験を目指してましたけど、一貫して政治家志望。そして31歳の時に無所属で立候補して当選。それから自民党に入るのね。

 地元は新潟県の十日町。米どころですよ。そして雪深い地域です。で、立候補するとき、郷里の大先輩田中角栄さんの元を訪れてアドバイスを乞うわけ(この人、田中派でなく福田派入りすんだけど)。

 さて、角さんがなんと言ったか? 私、この言葉がものすごく印象的だったんでしっかり覚えてます。

「とにかく選挙区を回れ。1回じゃダメだ、何回も回れ。車から声をかけてるだけじゃいかん。降りていって握手しろ。目を見て話しかけろ。笑顔で見つめ返してくれたらその人は君に投票してくれる。下を向いてたら上がるまで話せ。いい加減な握手をするな。豪雪だろうと長靴を履いて一軒一軒訪ねろ(当時は軒先訪問が認められていた)。この町内に年寄りは何人いるのか、この家庭は何人家族なのか、オヤジさんの仕事はなんなのか、嫁はどこから来たか、子供は何人いるのか、出稼ぎに行ってるのか・・・自分の足で調べて覚えろ。1軒も省くな。すべての軒先を回れ。そしてじっと耳を傾けろ。それができるか?」

 選挙の神様からのご託宣。白川さん、気が遠くなると同時に、ここまでやらないと当選できないと納得します。そういえば、本の表紙も豪雪の中、傘を差して辻説法する白川さんの姿だったなあ。

 いま、この期に及んで麻生総裁を換えようという自民党議員の動きがあります。お笑い芸人を総裁に据えてまで選挙で勝ちたいという本音も見え見えでした。
 古賀選対委員長は都議選の責任をとって辞任を申し出ましたが、正確に言えば、東さん引っ張り出しで支持率を下げてしまった責任をとったわけです。

 けどね、選挙でいちばん重要なのは「タマ」なんです。

 都議選で自民党が惨敗した理由は「タマ」が悪かったんです。それだけです。だから「風」に負けたんです。
 そもそも、あなた、都議なんて知ってますか? 知らないでしょ? わたし? 県議なんて1人も知りません。横浜在住ですけど1人の区議も知りません。選挙の時にちゃちゃっと選挙カーで名前を連呼するだけの連中。うるさいだけです。
 もっと知って欲しい? いや、有権者から言わせれば、もっと知ってもらえるように平素から努力したら? 

 民主の「風」に対抗しようと自民も「風」を吹かせたいのでしょう。そんな雰囲気がお笑い芸人を増長させたんです。逆風は有権者を舐めた報い。

 もしかして、選挙の基本の基本を忘れているのでは? 「風」さえ吹けば楽して勝てる。そんな姿勢で政治家になってもらっては困るんです。いつから他人を当てにするようになったのか? 他力本願になったのか?
 麻生さんが表紙じゃ勝てない? 選挙区の表紙は候補者自身ではないですか。
 当選するも落選するもすべては「タマ」で決まります。勝負の前に敗戦の言い訳を用意するのは卑怯です。