2010年04月15日「ガラスの巨塔」 今井彰著 幻冬舎 1680円
昔、サラリーマンから転職・退職・そして独立したとき、こんなことを言われましたよ。
「もったいない」
たしかに、いまと違って当時(20年前)は定年退職・年功序列・終身雇用が当たり前でしたからね。「社畜」として生きようと思えばいくらでも生きられた時代でした。食いっぱぐれないで済んだ時代ですよ。
けどさっさと辞めちゃった。なかなか入社がむずかしいと錯覚されているマスコミでしたから、たぶん、「もったいない」という言葉になったんだと思います。そういえば、朝日新聞を辞めた友人、大蔵省(当時)を辞めた友人にも、「もったいない」と私自身が言ったことがありましたねえ。
「もったいない」ってどういうことなんでしょうね?
独立せずにあのままでいたほうがよっぽど「もったいない」わけですよ、私にとっては。それが周囲にはわからないんでしょうね。
さて、今日の「中島孝志の 聴く!通勤快読」は『ガラスの巨塔』(今井彰著・幻冬舎)です。
これは小説の形をとったノンフィクションだな。告発の書だな・・・と言わざるをえませんな。
で、著者は? あの今井彰さんですよ。『プロジェクトX』のチーフ・プロデューサーだった人。というよりも、NHK始まって以来、最高の「番組屋」です。
彼がいったいどんな番組を作ってきたか・・・。
「タイス少佐の証言 湾岸戦争45日間の記録」(1991年。文化庁芸術作品賞)
「埋もれたエイズ報告」(日本ジャーナリスト会議本賞)
「史上最大の不良債権回収」
「アジアの従軍慰安婦」
「オウムが来た町」
「シリーズ弁護士・中坊公平」(ギャラクシー賞)
・・・その他たくさん。
どれ1つとっても半端な気持ちじゃ作れないものばかり。じゃ、「よっぽど恵まれたエリート・クリエイターなんだな」と思っちゃうけど、それがぜんぜん違う。
彼が所属した組織は、圧倒的多数の「ひらめ人間」と、世にも稀な「仕事人間・プロフェッショナル」に二分されるところ。
たとえば、「タイス少佐の証言」なんて、湾岸戦争時にイラク軍の捕虜になり拷問された軍人を、米軍もインタビューさせたくない中、説得し、さらに砂漠の灼熱地獄にあえぎながら、彼が乗った粉々に砕けたF16戦闘機を探して撮ってきた作品。
そんなジャーナリストがいたか? NHKの国際部記者など、イラクどころか、弾が飛んでこないレバノンの高級ホテルでスイートルームを3部屋ぶち抜いて、連日、ワインとビール。
「なにしに来たんだよ。バグダッド? 困るな、それは。ここは命を張った記者の現場なんだ。うろうろするなよな、とにかく迷惑をかけないでくれ」
視聴者からの聴取料を湯水のように使ってエンジョイしてる連中の戯言。こんな連中が派閥と巧みな組織遊泳術でどんどん出世する。
たまんないね。昇進が遅れに遅れ、まともな番組など作らせてもらえなかった男が「虚仮の一念」で番組作りをしてきた私小説ですよ、これは・・・詳細はこちらからどうぞ。
「もったいない」
たしかに、いまと違って当時(20年前)は定年退職・年功序列・終身雇用が当たり前でしたからね。「社畜」として生きようと思えばいくらでも生きられた時代でした。食いっぱぐれないで済んだ時代ですよ。
けどさっさと辞めちゃった。なかなか入社がむずかしいと錯覚されているマスコミでしたから、たぶん、「もったいない」という言葉になったんだと思います。そういえば、朝日新聞を辞めた友人、大蔵省(当時)を辞めた友人にも、「もったいない」と私自身が言ったことがありましたねえ。
「もったいない」ってどういうことなんでしょうね?
独立せずにあのままでいたほうがよっぽど「もったいない」わけですよ、私にとっては。それが周囲にはわからないんでしょうね。
さて、今日の「中島孝志の 聴く!通勤快読」は『ガラスの巨塔』(今井彰著・幻冬舎)です。
これは小説の形をとったノンフィクションだな。告発の書だな・・・と言わざるをえませんな。
で、著者は? あの今井彰さんですよ。『プロジェクトX』のチーフ・プロデューサーだった人。というよりも、NHK始まって以来、最高の「番組屋」です。
彼がいったいどんな番組を作ってきたか・・・。
「タイス少佐の証言 湾岸戦争45日間の記録」(1991年。文化庁芸術作品賞)
「埋もれたエイズ報告」(日本ジャーナリスト会議本賞)
「史上最大の不良債権回収」
「アジアの従軍慰安婦」
「オウムが来た町」
「シリーズ弁護士・中坊公平」(ギャラクシー賞)
・・・その他たくさん。
どれ1つとっても半端な気持ちじゃ作れないものばかり。じゃ、「よっぽど恵まれたエリート・クリエイターなんだな」と思っちゃうけど、それがぜんぜん違う。
彼が所属した組織は、圧倒的多数の「ひらめ人間」と、世にも稀な「仕事人間・プロフェッショナル」に二分されるところ。
たとえば、「タイス少佐の証言」なんて、湾岸戦争時にイラク軍の捕虜になり拷問された軍人を、米軍もインタビューさせたくない中、説得し、さらに砂漠の灼熱地獄にあえぎながら、彼が乗った粉々に砕けたF16戦闘機を探して撮ってきた作品。
そんなジャーナリストがいたか? NHKの国際部記者など、イラクどころか、弾が飛んでこないレバノンの高級ホテルでスイートルームを3部屋ぶち抜いて、連日、ワインとビール。
「なにしに来たんだよ。バグダッド? 困るな、それは。ここは命を張った記者の現場なんだ。うろうろするなよな、とにかく迷惑をかけないでくれ」
視聴者からの聴取料を湯水のように使ってエンジョイしてる連中の戯言。こんな連中が派閥と巧みな組織遊泳術でどんどん出世する。
たまんないね。昇進が遅れに遅れ、まともな番組など作らせてもらえなかった男が「虚仮の一念」で番組作りをしてきた私小説ですよ、これは・・・詳細はこちらからどうぞ。