2010年10月11日「永遠のマリア・カラス」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 マリア・カラス3連発でございます。やっぱオペラは舞台、ライブ、生で聴くものですな。
 けど、映像でしかアプローチできないとしたら、それはそれでしかたないわけでね。

 もし、この人がここにいたら、どんな反応を示し、どう動いただろう? ふと、そんな気持ちに誘われることが少なくありません。

 まして、それが「カスタ・ディーバ(清らかな歌姫)」カラスだったとしたら・・・。


ファニー・アルダン。ちょっとバタ臭いけど、存在感たっぷりの女優。

 この人が出た映画でいちばん印象に残ってるのは『8人の女』。このフランス名女優総動員の作品で、ドヌーヴと絨毯の上を抱き合ってキスしたり、ちょいレズっぽいことしてましたよね。肉感的なドヌーヴを向こうに回して、セクシーさでは引けをとらないどころか、妖艶さにクラクラきましたよ。

 まったくもって、毎度、そんなとこしか観てないことがわかりますな。

 カラスの永遠の恋人はやっぱオナシスなんでしょう。一途な女だからとことんのめり込んじゃう。女が真心を示すとき、「この人を幸せにしよう」と考える男もいれば、「次の獲物を手に入れよう」と考える男もいる。オナシスは常に後者。だから、女のほうでもそれなりに対応しなくちゃいけないんだけど、オナシスの前妻が持っていた「処世術」がカラスにはない。持とうともしなかったんだけど。

 いい意味でも悪い意味でも世間知らずなんでしょう。ま、世間ずれしてもらっても困るわけでね。芸術家はさ。

 結局、せっかくギリシャ国籍をとり、正式に結婚できる資格を準備したのに、ジャクリーンにかすめ取られてしまう。失恋のショックで歌までやめちゃった。
 だって、だれのために歌えばいいかわからいないもの。 

 ま、そうはいっても、「歌こそ命」ですから、傷心が癒されるにつれ、もう1度、カムバックするわけでね。

 けど、かつての声は戻らない。日本公演が失敗すると、本格的に歌わなくなります。52歳のカラスは、以降、かつての美声をレコードで聴く毎日。1日中、狂ったように聴いていた。

 そんなカラスに奇妙な提案が舞い込んできます・・・。