2010年12月09日「いま日本経済で起きている本当のこと」 増田悦佐著 ビジネス社 1680円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 ご存じ、エコノミスト・アナリストとして定評のある増田さんの最新刊ですね。
 増田さんの凄いところは、経済学だけでなく歴史、とくに西洋中世史をきっちり押さえているところじゃないでしょうか。
 スーパーIVYリーグの一角ジョンズ・ホプキンス大学院で博士号を2つ取得。「平成の小室直樹さん」とも言えると思います。
 つまり、現象という上っ面だけでなく、本質をしっかりと見抜いている。だから複眼思考ができるのではないかしらん。

 それは本書でも遺憾なく発揮されてますんで、ぜひチェックしてみてください。

 ひと言でいえば、マスコミ等々で流布される「主流派」の見解とは正反対の日本経済論ですよ。いままでテレビや新聞で著名なエコノミストたちがいう悲観論を鵜呑みにしてきた人が少なくないと思います。これからは彼らの主張にどれだけデータの裏付けがあるか、そこをしっかり注意しようと考える人が増えてくるでしょう。

 たとえば、円高悲観論者は過去40年間、「日本経済は円高で崩壊する!」と叫びつづけてきました。たしかにニクソンショック以降、円高基調が続いてます。でも日本は破滅も崩壊もしていません。それどころか、貿易収支・経常収支は世界でもまれなほど安定して黒字を続けています。

 円高脅威論より円高歓迎論のほうが説得力があるわけですよ、ホントはね。世界中どこを探してもハイパーインフレを歓迎する人はいません。「デフレより穏やかなインフレのほうがいい」と考える人が圧倒的多数派です。
 しかし、これもデータをしっかり見れば、私たちごくごく普通の庶民にとっては、「どんなに穏やかでもインフレは脅威なんです。デフレのほうがずっと暮らしやすい」ということがわかるでしょう。

 利益率の高い大企業が多い国より、大企業でさえ低収益の国のほうが効率が優れている。これも圧倒的少数意見です。
 しかし、これも正解なんです。

 「長年、株のアナリストをやってきて、心の底から確信していることが1つある。それは・・・」続きはこちらからどうぞ。