2010年12月10日「オーケストラ!」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 早いもんですなあ。これ、先々週、2本立てで観た映画なんですよ。「瞳の奥の秘密」という映画をご紹介しましたよね。あれと一緒に観た映画です。

 いまどき、ホントに2本立てなんて珍しいですわなあ。

 さすがに往年の映画青年、映画少女たちがわんさか来てましたよ、場末の映画館に(周囲はストリップ劇場とかあんの)。

 この映画、10年くらい前に香港に新聞に載った1行のニュースがきっかけなのよ。

「偽ボリショイ・オーケストラ 香港でコンサート開催!」
 だから、ホントのタイトルは「コンサート(コルチェルト)」なんだもん。



 あれれ、あれ、これ、コメディ? ドタバタ? つまんねえ笑いとるなって!

 すっかり油断しちゃいました。後半、すごいじゃないですか? ラスト15分。チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」じゃないすっか。
 名曲の名曲ですよね。チャイコフスキー生存中は「これは弾けない」とだれも演奏してくれなかった曰く付きの曲ですよ。

 昔、ボリショイ交響楽団の伝説の指揮者。いまや、ブレジネフ政権に楯突いたせいで左遷。劇場の清掃員としてなんとか糊口をしのぐユダヤ系ロシア人。で、元アル中。

 マネジャーの部屋を掃除してたら、フランスから演奏依頼が届きます。

「これ、俺たちでやろう!」

 なぜ? いまのボリショイ交響楽団なんて恥ずかしくて外に出せるか! 最高の演奏家を揃えていたあの頃のメンバーで渡仏してやる!

 で、この男、指揮者のふりして、インチキ・オーケストラを引き連れてパリに乗り込みます。
 30年間も干されて、タクシー運転手やら押し売りやらポルノ映画のアフレコやらで生きてきた仲間たちに一発逆転のチャンスが訪れたわけですけど・・・。



 このヴァイオリン協奏曲はソリストが問題なのよ。指名したのはパリ在住のアンヌ=マリー・ジャケ(それにしてもメラニー・ロランは可憐ですな)。
 けど、リハなし。常識外れ。しかも、この中年男の目的を聞いてガックリ。すっかりやる気を無くします。

 どうなることやら・・・。

 さて今回「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は、『愛すべきあつかましさ』(島地勝彦著・小学館)です。詳細はこちらからどうぞ。