2011年11月23日「武士の家計簿」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

「一匁八百足らんな。いかがする? 猪山家の借金は放っておいても減らぬぞ。手を打たねばならぬ」
「どこからかもってきます」
「それも手段の一つだ」
「借りてまいります」
「だれに?」
「母上のおじいさまに」
「その手は何度も使えんぞ」
「あ、来月のお金からもってまいります」
「なるほど。しかし来月が厳しくなるぞ」
「再来月のお金をもってまいります」
「それが借金だ。借金はどんどん増える。どうする?」
「倹約します」
「ま、そんなところだ」


5歳の息子との対話。算用方(下級武士)の本分を全うする猪山家の歴史。

 ま、このタイトルでええかな。原作というか、本のタイトルの通りですからね。「そろばん侍」という手もありですな。

 2010年の作品ですね。観たかったけど観られなかった。映画どころではありませんでしたからね、あの頃は。

 さて、原作は以前「通勤快読」でご紹介してます。『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』(新潮社・磯田道史著)ですね。03年に発刊されました。加賀藩猪山家に残された家計簿をそのまま掲載し、少し解説を加えただけの本。

 幕末という乱世に淡々と職務を忠実にこなした男。葬式の日もそろばんを弾いていた父親に反発する息子。しかしその息子のそろばんの力量に注目した維新の英雄。。。
 無味乾燥なレポートをシナリオを膨らませて、人間ドラマにしたスタッフに感服いたします。