2012年09月09日「Good Night, and Good Luck」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

「テレビは人を騙し、笑わせ、事実を隠している。このことに気づかなければ、スポンサーも視聴者も制作者も後悔するだろう」
「テレビは人を教育し、啓発し、心を動かします。だが、それはあくまでも視聴者の自覚次第です。グッナイト&グッラック」

 これ、アメリカを代表する報道番組「See it Now」のエド・マローの言葉です。いつも番組の最後に口にした「Everybody、good night、and good luck」は彼の決めセリフでした。



 エド・マローといえば、以前、「インサイダー」という映画をご紹介しましたね。アル・パチーノとラッセル・クロウ競演の映画です。あの中にひと言、紹介されてるんですよね。

 詳しくは先日のブログをチェックしてもらいたいんですが、舞台は同じくCBS。人気ドキュメンタリー番組『60 Minutes』のプロデューサーのとこにタバコ産業の不正を告発するネタが持ち込まれます。
 残念ながら、テレビ局の幹部は株価とスポンサーに慮って、告発した人物を見捨てます。たかが番組1つで大損したらたまんねっす、ちゅうわけです。

 で、そのとき、プロデューサーがひと言。
「Are you a businessman or are you a newsman?」
 ま、多勢に無勢。権力者にはかないません。で、番組を降ろされちまうわけね。

「視聴者なんて15分だ。名声も15分しか続かないよ」
「名声はそうだ。しかし汚名は永遠に続くんだ」

 このキャスターは後日、「エド・マローの伝統を踏みにじった」と非難されます。

 そのエド・マローが主役なの。

 全編モノクロ。脚本、監督、プロデューサー、脇役を占めたのはあのジョージ・クルーニー。いつもエスプレッソ・コーヒー飲んでるあの人ですね。

「赤狩り旋風」吹き荒れる1950年代のアメリカ。R・マローとCBSのスタッフが真実の報道のために「マッカーシズム」に立ち向かう姿を描いたノンフィクション。

 アメリカという国に、国益のために市民の自由が規制され、なんとも窮屈な時代になりました。こんな時でも、経営者というものは企業防衛を最優先に考えます。政府や広告主との関係を案じるわけですね。日本の場合は記者クラブの記者1人1人は真実なんつうものより、会社経営をいつも優先してるわけね。たいしたものです。

 で、会社はマローを危険視します。番組枠の変更、スタッフの削減を命じられるわけですが・・・。