2012年11月30日「中島孝志の聴く! 通勤快読」全文ご紹介!
11月も今日で終わり。なんと明日からは師走ですよ。
♪もういくつ寝るとクリスマス〜、♪もういくつ寝ると紅白〜♪もういくつ寝ると大晦日〜なんてね。
早いモンですなあ。
さて、本日は「中島孝志の 聴く!通勤快読」で取り上げる『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』(金子哲雄著・小学館)という本をご紹介しちゃいましょう。リスナー以外にも今回だけご紹介しましょう。もちろん会員の方はダウンロードしてケータイやPC、iPodで聴けますよ。こちらからどうぞ。
著者は、紳助さんに似てて、舌足らずのしゃべり方で、「ホンマでっか!?TV」などのテレビでブレイクした流通ジャーナリスト。
享年41歳。
たいてい「若くして」という接頭辞がつきます。69歳で亡くなられた尾崎紀世彦さんも「若い死」と書かれてました。
森光子さんとなるとさすがに大往生。だれも「若い」なんて言いません。せいぜい「若く見える」くらいでしょ。何歳で死んだら「若い」と言われ、何歳で死んだら「若い」という言葉が使われなくなるんでしょうね。いちど、アンケート調査してもらうよう、「探偵!ナイトスクープ」に投稿しようと思います。
さて本書は「死後に出版してほしい」と準備された本ですね。そういう意味では、ほんとうの「遺書」というか「遺作」というか、ま、エンディングブックですわな。
いま、ある意味で流行してますが、それは生きるための遺書という意味合いが強いように思えてなりません・・・。
「単刀直入に言うと、末期の肺がんです。がん研有明病院に紹介状も書いておきました」
医師は表情も変えずに告げる。慣れているからか、それとも、表情を変えないことが患者への礼儀と心得ているからか。
「俺、死んじゃうんだ。体調が悪いとは思っていたけど、死と直結しているなんて思いもしなかった・・・」
肺カルチノイド。通常のタイプで10万人に1人。組織型は数千万人に1人。治療法は? ありません。肺だけでなく、すでに肝臓、骨にも転移してた。
専門医曰く「なにもできない」。つまり、死を待つだけ。
著者は久米宏さんが所属してるオフィス・トウー・ワンの所属タレント。日テレ系の「NEWS ZERO」にVTR出演したのがテレビ初登場。そのときのテーマは「伊藤園はどうしてタリーズを買収したのか」ということ。「お〜いお茶」のお客さんは男性がほとんど。だから女性客が多いタリーズを買収したのでは、という話をしたそうな。
みのもんたさん司会の、これまた日テレ系「おもいッきりイイ!!テレビ」からオファーが来たときは嬉しかった。よし、戦略は「女性視線」でいこう。ま、荻原博子さんのようにスタンスの男性版になろう、ということでしょう。
黙って死を待ってなどいられません。新婚だもん。仕事もしたい。で、病院クルーズが始まります。
けど、どこも同じ。とくに大学病院は「治癒率」を気にかけます。業績や評判に直結するからですね。著者の病気は治らない。死にゆく病ですから。
「医師からはやる気のない答えばかり返ってきました。論文の書けない案件は患者じゃない。治療しようなんてつもりはさらさらないようです」
これ、わかりますよ。とっても。大学病院は研究機関で治療機関ではありません。有名ながん専門病院、実績ある大学病院でセカンドオピニオンにすがろうとしても、結論は同じ。「治療方法はなし。ホスピスで緩和ケアを」でした。 門前払いの大病院もありました。
そうでしょうね。病院は助かる見込みのある患者のためにあるんですから。
そんななか。。。
「大阪関空そばのゲートタワーIGクリニック。堀信一院長は血管内治療を行っている。そこに行ってはどうか?」と先輩からアドバイス。
ここ、私もよく知ってます。医師がとても親切。ほかの病院の患者でも丁寧に対応してくれます。
血管内治療というのは、ハーバード大学で活躍され、昭和天皇の主治医をされてた三浦健先生(半蔵門病院・元院長)が日本に紹介した「肝動脈内注入(肝動注)化学療法」をベースにしたものですね。すなわち、太ももからカテーテルを入れ、肺の腫瘍につながっている血管に塞栓剤を入れて、栄養分を腫瘍に流さない。つまり、腫瘍を兵糧攻めで壊死させる、という治療法です。
「咳、おつらかったでしょう」
思わず号泣したそうです。そうだと思いますよ。ようやくわかってくれる医師に出逢えたんですから。涙が噴き出したでしょうね。
「やってみなければわかりませんが、血管内治療、やってみましょか!」
羨ましいですね。手術ができるんですから。
けど、転移がありました。そこで今度は紹介された都内の病院で「IMRT(強度変調放射線治療)」を受けることになります。これはがんの部位に1ミリ単位で放射線を照射して遺伝子レベルからがんを破壊するものです。
最先端医療ですから健康保険は適用されません。1クール180万円。1回の治療は40分。5〜6回のピンポイント照射。痛みが完全にとれる可能性があります。
「いま、金子さんの肺はナーバスです。肺気胸のオペのあと、飛行機に乗ると気圧の変化を受けてしまうので乗らないでください」
沖縄ロケは諦めました。
大病を患って気づいたことがたくさんありました。
「患者が医師に求めているのは信頼。人柄だ」
「もしみなさんのまわりにがん患者がいたら、『好きにしたらいいよ』と温かく声をかけて欲しい。想像以上に体力を奪う。それががんとの闘病です。もう十分がんばってるんですね。これ以上、がんばれないんです」
「寿命が3カ月延びる治療で苦しませるのは本人のためになるのだろうか? 家族が精一杯やったと思えるためだけに、奇跡のために、国の医療費を無駄遣いするのは自分の本意じゃない」
「正直、自殺したい。それほどつらい。それほど苦しい。でも、それもできない。体がまったく動かない。もう動けない」
「あれ、最近、金子哲雄、見かけないけどどうしたの」「噂では死んじゃったらしいよ、こう巷でいわれることが理想だ」
人生は時間の長さではありませんね。でも1分でも長く生きたい、少しでも苦しまずに死にたい。けど、そういう「幸福」に恵まれる人がどれだけいるんでしょう。
「残された人もつらい」ですが、死にゆく人はもっとつらいと思いますよ。けど、そういう「未練」をどこかの段階で断ち切る。そうせざるをえないよう、身体も脳もくたくたに疲れ果ててしまいます。最後の最後は「魂」だけでコミュニケーションするんです。
いつかブログに書きました。モリー先生が「すべてを許しなさい」とアドバイスしてましたね。「すべてを許す」という意味は、「すべてを受け容れよ」という意味ではないでしょうか。「許容する」ということですね。
争い、諍い、哀しみ、苦しみ、憎しみ、不幸、不安、病い、そして死。。。すべてを受け容れる。
神になる瞬間ですね。ご冥福をお祈りします。
♪もういくつ寝るとクリスマス〜、♪もういくつ寝ると紅白〜♪もういくつ寝ると大晦日〜なんてね。
早いモンですなあ。
さて、本日は「中島孝志の 聴く!通勤快読」で取り上げる『僕の死に方 エンディングダイアリー500日』(金子哲雄著・小学館)という本をご紹介しちゃいましょう。リスナー以外にも今回だけご紹介しましょう。もちろん会員の方はダウンロードしてケータイやPC、iPodで聴けますよ。こちらからどうぞ。
著者は、紳助さんに似てて、舌足らずのしゃべり方で、「ホンマでっか!?TV」などのテレビでブレイクした流通ジャーナリスト。
享年41歳。
たいてい「若くして」という接頭辞がつきます。69歳で亡くなられた尾崎紀世彦さんも「若い死」と書かれてました。
森光子さんとなるとさすがに大往生。だれも「若い」なんて言いません。せいぜい「若く見える」くらいでしょ。何歳で死んだら「若い」と言われ、何歳で死んだら「若い」という言葉が使われなくなるんでしょうね。いちど、アンケート調査してもらうよう、「探偵!ナイトスクープ」に投稿しようと思います。
さて本書は「死後に出版してほしい」と準備された本ですね。そういう意味では、ほんとうの「遺書」というか「遺作」というか、ま、エンディングブックですわな。
いま、ある意味で流行してますが、それは生きるための遺書という意味合いが強いように思えてなりません・・・。
「単刀直入に言うと、末期の肺がんです。がん研有明病院に紹介状も書いておきました」
医師は表情も変えずに告げる。慣れているからか、それとも、表情を変えないことが患者への礼儀と心得ているからか。
「俺、死んじゃうんだ。体調が悪いとは思っていたけど、死と直結しているなんて思いもしなかった・・・」
肺カルチノイド。通常のタイプで10万人に1人。組織型は数千万人に1人。治療法は? ありません。肺だけでなく、すでに肝臓、骨にも転移してた。
専門医曰く「なにもできない」。つまり、死を待つだけ。
著者は久米宏さんが所属してるオフィス・トウー・ワンの所属タレント。日テレ系の「NEWS ZERO」にVTR出演したのがテレビ初登場。そのときのテーマは「伊藤園はどうしてタリーズを買収したのか」ということ。「お〜いお茶」のお客さんは男性がほとんど。だから女性客が多いタリーズを買収したのでは、という話をしたそうな。
みのもんたさん司会の、これまた日テレ系「おもいッきりイイ!!テレビ」からオファーが来たときは嬉しかった。よし、戦略は「女性視線」でいこう。ま、荻原博子さんのようにスタンスの男性版になろう、ということでしょう。
黙って死を待ってなどいられません。新婚だもん。仕事もしたい。で、病院クルーズが始まります。
けど、どこも同じ。とくに大学病院は「治癒率」を気にかけます。業績や評判に直結するからですね。著者の病気は治らない。死にゆく病ですから。
「医師からはやる気のない答えばかり返ってきました。論文の書けない案件は患者じゃない。治療しようなんてつもりはさらさらないようです」
これ、わかりますよ。とっても。大学病院は研究機関で治療機関ではありません。有名ながん専門病院、実績ある大学病院でセカンドオピニオンにすがろうとしても、結論は同じ。「治療方法はなし。ホスピスで緩和ケアを」でした。 門前払いの大病院もありました。
そうでしょうね。病院は助かる見込みのある患者のためにあるんですから。
そんななか。。。
「大阪関空そばのゲートタワーIGクリニック。堀信一院長は血管内治療を行っている。そこに行ってはどうか?」と先輩からアドバイス。
ここ、私もよく知ってます。医師がとても親切。ほかの病院の患者でも丁寧に対応してくれます。
血管内治療というのは、ハーバード大学で活躍され、昭和天皇の主治医をされてた三浦健先生(半蔵門病院・元院長)が日本に紹介した「肝動脈内注入(肝動注)化学療法」をベースにしたものですね。すなわち、太ももからカテーテルを入れ、肺の腫瘍につながっている血管に塞栓剤を入れて、栄養分を腫瘍に流さない。つまり、腫瘍を兵糧攻めで壊死させる、という治療法です。
「咳、おつらかったでしょう」
思わず号泣したそうです。そうだと思いますよ。ようやくわかってくれる医師に出逢えたんですから。涙が噴き出したでしょうね。
「やってみなければわかりませんが、血管内治療、やってみましょか!」
羨ましいですね。手術ができるんですから。
けど、転移がありました。そこで今度は紹介された都内の病院で「IMRT(強度変調放射線治療)」を受けることになります。これはがんの部位に1ミリ単位で放射線を照射して遺伝子レベルからがんを破壊するものです。
最先端医療ですから健康保険は適用されません。1クール180万円。1回の治療は40分。5〜6回のピンポイント照射。痛みが完全にとれる可能性があります。
「いま、金子さんの肺はナーバスです。肺気胸のオペのあと、飛行機に乗ると気圧の変化を受けてしまうので乗らないでください」
沖縄ロケは諦めました。
大病を患って気づいたことがたくさんありました。
「患者が医師に求めているのは信頼。人柄だ」
「もしみなさんのまわりにがん患者がいたら、『好きにしたらいいよ』と温かく声をかけて欲しい。想像以上に体力を奪う。それががんとの闘病です。もう十分がんばってるんですね。これ以上、がんばれないんです」
「寿命が3カ月延びる治療で苦しませるのは本人のためになるのだろうか? 家族が精一杯やったと思えるためだけに、奇跡のために、国の医療費を無駄遣いするのは自分の本意じゃない」
「正直、自殺したい。それほどつらい。それほど苦しい。でも、それもできない。体がまったく動かない。もう動けない」
「あれ、最近、金子哲雄、見かけないけどどうしたの」「噂では死んじゃったらしいよ、こう巷でいわれることが理想だ」
人生は時間の長さではありませんね。でも1分でも長く生きたい、少しでも苦しまずに死にたい。けど、そういう「幸福」に恵まれる人がどれだけいるんでしょう。
「残された人もつらい」ですが、死にゆく人はもっとつらいと思いますよ。けど、そういう「未練」をどこかの段階で断ち切る。そうせざるをえないよう、身体も脳もくたくたに疲れ果ててしまいます。最後の最後は「魂」だけでコミュニケーションするんです。
いつかブログに書きました。モリー先生が「すべてを許しなさい」とアドバイスしてましたね。「すべてを許す」という意味は、「すべてを受け容れよ」という意味ではないでしょうか。「許容する」ということですね。
争い、諍い、哀しみ、苦しみ、憎しみ、不幸、不安、病い、そして死。。。すべてを受け容れる。
神になる瞬間ですね。ご冥福をお祈りします。