2013年03月30日「中島孝志の聴く!通勤快読」特別全文公開! 『なぜ頑張ってもいつも結果が出せないのか?』 中島孝志著 アーク出版 1365円

カテゴリー中島孝志の通勤快読 年3000冊の毒書王」

 昨日、通勤快読でご紹介しました。会員の方はテキストで読まれたか、あるいは音声でお聴きになったことと思います。
 で、今日は私の最新刊でもありますので、全文、1日遅れでご披露しようと思います。


 この版元とは『どうにも素敵な文具術』という本をむかし、出したことがありましてね。元々、本書のタイトルは『気の毒な人の発想法』のはずでしたが、いつの間にか、サブタイトルがメインになってました。

□頑張っているのに成果があがらない。
□努力してるのにぜんぜん報われない。
□やる気が空まわり。
□実力を100%発揮できない。
□もっと向いてる仕事がある、と感じている。
□手柄をいつもだれかに持っていかれてしまう。
□本番に弱い。
□人から頼まれると「いや」といえない。
□「運が悪い」と感じることが多い。
□学歴と職歴に見合う待遇でない。
□人間関係がどうもしっくりいかない。
□損な性格だ、と思う。

 なんのことはない、かく言うわたしもすべてが当てはまります。いや、正確にいうと、過去形になったものもありますし、いまなお現在形で続いているものもあります。
 いずれにしても、「気の毒な人」であることにかわりありません・・・。

 自分が楽しみを発見する能力は素晴らしい、と思います。もし自分だけでなく、周囲の人たちをも楽しませることができれば、その人は偉大な人でしょうね。

 宇宙飛行士を採用するとき、どんな能力を最重要視するかご存じでしょうか? 面白いことに、エベレスト登山などのクライマー募集の条件でもまったく同じ要素が最重要視されています。

 それは肉体の強靱さでもなく、タフな精神力でもなく、シャープでクレバーな頭脳の持ち主でもありません。いちばん重要な資質は・・・協調精神の強い人です。平たくいえば、性格のよさですね。

 わかるでしょ。何週間も何か月も一緒に生活する。共同生活でいちばん大切なことは協調性ですよ。どんなに強靱だろうと、どんなにタフだろうと、どんなに頭脳明晰だろうと、チームワークのできない人は不適格です。

 宇宙船や雪の高山キャンプで険悪になったら空中分解です。日常生活ではありません。過度のストレスに苛まれる極限的な異常空間ですから、生半可な協調性ではたちゆかないんです。

 理性と明るさ、そして優しさ。この3要素はチームワークで大切な資質です。

 黒澤明監督の名作に『七人の侍』という映画がありますね。この中で平八(俳優の千秋実さん)という武士を雇うとき、五郎兵衛(同じく稲葉義男さん)が報告に来ます。

「いいやつを見つけた」
 
 いいやつだから仲間に入れよう、というわけです。次に言ったのが「腕はまず中の下」といいます。もちろん腕がたたなければ話にならないんですが、その前に、「いいやつ」かどうか。このほうが大切なんですね。腕は二の次三の次。

「でも、話してると愉快な奴で、気持ちがはればれとする。ああいう人間は長い戦の時には重宝だ」

 宇宙飛行士、チョモランマ登山のクライマーに求めている資質とまったく同じです。

 で、これはビジネス生活でも当てはまります。なぜなら人の組織だからです。たとえ仕事ができなくても、ムードメーカーという資質は武器になるんです。

 日本企業が超円高でリストラ旋風が吹きました。家電業界は不況からいまなお抜け出られません。その理由は、こういうムードメーカーをリストラしてしまったために職場が殺伐となったことにあります。
 苦しくても経営者、役員、管理職が減給しても従業員の首切りを押さえてきた企業は相変わらず元気です。組織というのはそういうものです。儲かるから元気になるのではありません。人が元気だから業績が上がるのです。

「気の毒な人」は人を楽しませることを心がけてください。相手を不快な思いにさせないこと。たとえば、相手が留守なら「折り返し電話をください」ではなく、「こちらからかけなおします」と伝える。「だけど」「ですが」は禁句。「おっしゃる通りです」「ご指摘はごもっともです」「ところで」と話を切り替える。
 相手に気持ちを伝えるとき、重要なことは気持ちではなく目に見える形です。お客さんを訪問したとき、自分の鞄は膝に置くか、用意したタオルの上に置く。

 こういう「おもてなしの心」が愛されるコツです。いつの間にか、あなたの信用を築いてくれるはずです。