2013年09月03日昨日の続き。増税論議。。。

カテゴリー中島孝志の不良オヤジ日記」

 昨日の続きです。

 消費税だけでなくて、相続税とか所得税の税率もどんどん上がってるわけ。上がらないのは給料だけ。これで消費税率を上げたら元の木阿弥。完全にデフレの森で迷子になります。

 所得税率を上げて勤労意欲が湧くんでしょうかねえ。あまりにも税率が大きくなると、働くことよりどう節税するかのほうに熱心になりまんな。で、世界で通用する人材ほど日本を棄てて海外に出て行きます。

実際、わたしの身内でも高校を卒業すると渡米してしまい、アメリカの大学を卒業してそのまま就職してしまいました。
 あれからすでに20年。帰日するたびに「日本で暮らそうかな」というけど、「税金を考えるとね」で話はストップ。

 国税収入に占める個人所得課税収入はどんどん減ってましてね。
 30年前には国税収入の40パーセント近くを占めてたけど、いまでは30パーセントまで落ちてきました。アメリカでは67.1パーセントもあるんですけどお。

 税率を上げても税収が増えるとはかぎりません。税率を下げたら景気が回復して税収が増えるかどうかもわかりません。税収は税率と関連するかどうか、ホントのとこはわからない。

 で、財務省はなんだかんだと理由をつけて税率を上げたいわけ。税収が増えるまで上げるつもりなんじゃないかなあ。それで財政が破綻したらしたでいい、とさえ思ってるかも。

 1974年、ワシントンのレストランでアーサー・ラッファー(南カリフォルニア大学教授)が新聞記者たちと会食中、テーブルにあったナプキンに税率と税収の関係を示すカーブを描きました。のちにレーガン大統領が騙された「ラッファーカーブ」ね。


縦軸に税率、横軸に税収。

 税率が0パーセントなら税収は0、税率が100パーセントならば、いくら働いても所得が得られないからだれも働かなくなって、これも税収は0になります。その間のどこかに税収が最大になる税率があるはずだよね、と説明したわけ。

 なるほどそうだと同感する人は多いと思いますよ。でね、問題は彼のそのあとの結論。

「わが国の税率は税収が最大化する税率よりも高い」

 つまり減税しろというわけ。減税すれば税収は増える。増税すれば税収は減る。財政赤字は減税による増収で解決できる、つうわけよ。

 困ったことに、この理論が大統領選候補のロナルド・レーガン(当時カリフォルニア州知事)に伝えられちゃった。で、早速採り入れて「減税による財政再建を!」と訴えた。なんと当選しちゃった。当然、大減税を実施するわけよね。

 トホホ。。。結果はご存じの通り、経済は成長しない。財政赤字は急拡大するわ、財政赤字をカバーするために外国から資本が流入してドル高になるわ。貿易赤字も急増するわ。財政赤字と貿易赤字の「双子の赤字」になっちゃうわ。

 わやでっせ。。。で、「双子の赤字」は解消されることなく、1987年のブラックマンデーに突入するわけ。

税率を下げても税収は減るし、税率を上げても税収が増えることがあります。どうしてそうなるのか? 税収を決めるのは税率ではないからです。

 景気です。景気がすべてを解決するんです。この原理原則を忘れたらあかんねん。

 92年に大統領に就任したビル・クリントンは財政赤字解消のために所得税率を引き上げました。つまり大増税。同時にレーガン時代にソ連を潰してくれてたから軍事費を大幅削減。FRBのグリーンスパン議長は金融緩和でこの政策をサポートします。そしてついに財政黒字への転換を果たすわけね。

 こんなこた、日銀の人には常識。けど「空気」が支配する日本ではデフレ経済下の増税を法律で通しちゃった。バカな政治家が決め、賢明な国民は反対しなかった。復興税制まで賛成しました。

 「責任払い(「半沢直樹」で使ってくんないかな)」「倍返し」は国民がされる番。それを覚悟しなければならない。政治家も官僚も悪くない。国民のご機嫌をとっただけ。政治を換える、経済を換えたいなら、投票行動で換える。これが民主主義のルールです。

 昨日今日となぜか税金について触れましたので、今週は税金について、あまり知られていないお話をしましょうかね。詳しくは原原で突っ込んでお話します。


 さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『「長生き」が地球を滅ぼす』(本川達雄著・文芸社)です。詳細はこちらからどうぞ。