2005年07月04日「ガイアの夜明け 闘う100人」「モテ本」「怪奇俳優の演技手帖」
1 「ガイアの夜明け 闘う100人」
テレビ東京報道部編 日本経済新聞社 750円
タイトルは毎週火曜夜に放送されてるテレビ番組の名前ですね。
その中でインタビューされたりしてる経営者を中心に、いろんな人が登場してます。
で、そのエッセンスを集めた本。
いったい何人いるのかと思ったら、100人。300ページだから、計算すると1人3ページ足らずなわけ。
こりゃ、大変ですね。ちょこっと食べて終わりみたいな。まるで、「どっちの料理ショー」で司会者2人が今週のすごい食材をひとつまみ味見するってなノリです。
まっ、それでも1つか2つくらい、ビビッと閃きゃめっけもんですよね。
本なんて、読んで勉強するもんじゃありません。中味はあくまでもヒントなのよ。自分自身の頭の奥底に沈んでるなにかを引っ張り出すきっかけというか、誘い水なわけ。
天理大学講師してる原田隆史さん。中学教師時代に校内暴力を一掃し、陸上部を13年間、日本一の座に導いた人。
で、ユニクロに研修講師として招かれた時の模様をちょこっと書いてます。
「本当に能力を高めようと思ったら、上司と部下、川のこっち側と向こう側での対立関係を怖れずにやるべき。そのためには評価する時もズバズバ欠点をついていかないと」
川ってさ、一緒に渡っていこうよというのは先輩、後輩の関係でしょ。上司と部下の関係ってのは、もう上司はこっち側にいるわけよ。
で、部下にこっちにおいでと川を渡らせるために厳しく指導してるわけ。急流だと、下手すると流されちゃうからね。
グローバルダイニングの長谷川耕造さん。飲食ビジネスを展開してる人ですよね。
この店、時給ミーティングしてるんだって。
「850円から900円に申告します」ってなわけ。
賛成多数で可決。もちろん、否決されることもあります。非常にわかりやすい実績評価。実力主義ってやつ。
篠崎製作所の専務、井ノ原忠彦さん。この会社、大田区のいわゆる、町工場ね。
技術開発って、ある意味、失敗の連続じゃないですか。で、この会社のホームページには「今日の失敗」というコーナーがあるわけ。
従業員たちの試行錯誤をあっけらかんと公表しちゃうのね。こういう社風からいろんな技術が生みだされてるわけですね。
たとえば、レーザー技術。これが10分の1ミリという髪の毛に、100分の1ミリの文字を刻んじゃう。これってすごいね。
たこつぼ文化にならないように、工場版の異業種交流を仕掛けようともしてます。まっ、その時はキーマンネットワークもぜひ協力させてもらいます。
130円高。購入はこちら
2 「モテ本」
恋愛マニア著 大和書房 1260円
もらった本です。まぁ、ど派手なピンク色の装幀で目立ちますね。
モテ本といっても、男性向けではありません。最後までチェックして、ようやく気づきました。
どうすれば、女性が男の視線を釘付けにするかってなことがテーマみたい。
この手の本って、ものすごく多いね。キャバ嬢にみななりたいのかね・・・。たしかに、「わたし、モテます」って豪語してる人、いますね。
「どこがモテるの?」と聞くと、飲み会でも何でも男が集まるトコには出張っていくまめさがありますね。それと自分のキャラというか、自分の担当範囲がよくわかってらっしゃる。
で、これが最大の理由だと思うんだけど、尻軽なのね。
つまり、本人はモテてると言い張ってるけど、どう見ても「都合の良いオンナ」なのよ。
これって、最悪じゃないかなぁ。
だから、本気で相手にされたことってないんだろうね。いつも遊ばれてる。でも、気づかない。
「わたしっていつもチヤホヤされてるの。男が近寄ってくるのよ」
それはさかりのついた猫だからだよ。だから、さかりのついた牡が近づいてくるわけ。
けど、この本はいい勉強になりました。この手の女性って、いろんな知恵を磨いてるのね。
たとえば、「男が自分に惹かれるようにする」より、「自分が男に興味を持ってると思わせる」ほうが手っ取り早いだって。
たしかにそうです。早い話が、スキのある女性になれってわけね。けど、これ、同性の目はしっかり見てますよ。
♪可愛いフリして、あのこ、なかなかやるもんだねと♪
「どんなに嫌いなタイプでも、恋が絶えない女性がまわりにいるなら、よく観察してみよう。自分にも使える定石が見えてくる」
たしかに・・・。ライバルから勝利の方程式を学ぶんですね。
「緊張状態の女性ってのは、心がガチガチになってしまってて、近寄りがたいオーラを自分から出してる人」
「たくさんの人の中で、あなたを注目してますよ、と伝えられたら、仕事の話題でもちょっと心が動いちゃう」
「相談をするのが恋の近道」
たしかに。多いよね、こういうタイプ。相談という名の新手の告白ってやつね。
「どうして、あなたにだけ話しちゃったんだろう」なんてね。このパターンはものすごく多いですよ。おそらく、女性誌でみな勉強したんだろうね。
男性諸君は気をつけてください。あなたに相談してるんじゃなくて、ほかにもいっぱいいるの、相談相手が。
これじゃ、落語の「三枚起請」だよ。
「こんな感じる身体になったのはあなたのせいよ」と、あたかも被害者を装う。
これも多い、とっても多い。といっても、わたしは経験したことありませんけどね。そんな話をよく聞いたことがあるからさ(このホームページ、時々、嫁さんがチェックしてるんだよね)。
あるある、そうそう、よくあるよ、そういうこと。男を引っかけるノウハウがいろいろ書かれてるけど、この程度の技術だとほとんど見え透いてるんじゃない。
けど、だからといって、惹きつけられないとは限りません。だって、学習効果のない男って多いもんね。わたしなんか、その典型。
理由? 自惚れが強いからですよ。
技術? ノウハウ? ほら、モテ本に書いてたでしょ?
違う、違う。あの子は本気だよ。ねっ、こういう自惚れというか、自分を知らないおめでたいヤツがいる限り、何度でも使い回せます。
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3 「怪奇俳優の演技手帖」
佐野史郎著 岩波書店 820円
冬彦さんブームの張本人ですね。「ずっとあなたが好きだった」というテレビドラマでブレイク。
賀来千賀子さんや布施博さんより、いちばん美味しい役でしたね。この冬彦さん。
けど、あまりに強烈だと、視聴者はいつも佐野さんを見ると冬彦さんを連想しちゃうわけ。
こうなると、ダメ。子役が大成しないのはここですよ。
幸い、この人の場合、そこらへんはうまくテイクオフしましたね。
演技をする時、またさせる時、「気持ち優先」の演出家と、「身体優先」の演出家がいますね。
「感情を込めて・・・」というタイプだと、見えないからわからないでしょ。ほとんど禅問答のようになっちゃう。
けど、「右45度で上を向いて歩いて」という指示だと、的確です。まっ、アナログとデジタルの違いくらい差がありますけどね。
感情って、身体の状態の結果として感じられるものなのよ。身体とは別にあるもの、と認識してしまう。それをむりやり、身体に当てはめようとする。
だから、「気持ちをこめて」「心を込めて」というふうになっちゃうわけさ。
「ギャグとシリアスは同時進行します」
残酷だけれども、「他人の不幸は密の味」っていいますもんね。
たとえば、佐野さんはドラマで刺された演技をする時、普通なら苦痛の表情を浮かべて「うっ!」とかいうけれども、そこを「アブナイ」とわざと下手に棒読みでしゃべったりする。
ギャグと紙一重のニュアンス。これが真実味を伝えるわけよ。
200円高。購入はこちら