2014年01月05日「戦争と人間」

カテゴリー中島孝志の不良映画日記」

 もうこの自分ですと正月気分なんてふっとんでいるでしょうねえ。
 流通企業なんて昔から盆も正月もありませんからね。今時、まだおとそ気分は学生さんくらいでしょうか。受験生はもちろん3月までは正月はありませんからね。

 さて正月というと、私らの子どもの頃は深夜映画でしたね。みなが寝静まった頃、1人で「戦争と人間・三部作」(日活映画)を3日連続で観てましたね。

 仕事しながらまたまた観ちゃった。それにしても映画の「レディ・ジョーカー」「白夜行」はあかんなあ。あの複雑に絡み合った長編を2時間程度にまとめるのがそもそも無理なんでしょうな。

 さて、これは五味川純平原作、山本薩夫監督。撮影当時、旧ソ連の赤軍が全面協力した作品。第3部のノモンハン事件なんて、戦車だらけ。ものすごい迫力でした。







 浅丘ルリ子さんが最高! 魂を奪われました。満州に進出する伍代財閥の責任者喬介役の芦田伸介さんが渋い演技。うなりました。

 小学4年生の時でした。翌日いきなり書店に行っちゃいましたからね。全17巻(当時)。発行元は三一書房。2週間後に届きましたけど、3日で読破。学校でもずっと読んでました。

 さて、主人公は戦争商人の五代財閥。軍部。そして戦争。日産コンツェルンの鮎川義介がモデルですね。

 戦争にずっぷりとのめり込んでいく日本。対中対ソ防衛のために満州に覇権を広げる日本。それに付随してのし上がっていく新興企業。家族、肉親、兄弟、恋人などの絆を戦車が次々に踏みにじられていきます。

 テーマは戦争とは何か? 極限状態に置かれた人間に何ができるか? 愛とは何か? 命とは何か? 正義とは何か?
 
 主人公は清廉潔白で純粋な男、五代俊介。これを子役で亡くなった勘三郎さん(昔の勘九郎さ)、青年役で北大路欣也さんが演じます。

 苫という東北の貧しい村娘が売られるんですけどね、それを俊介が何番目かのお手伝いさんに雇ってあげるわけ。夏純子さんが可愛いのよ。
 
 「アカ!」といわれる兄と2人で暮らす友人。苦学生の標木耕平役に山本圭さん。この友人と妹の順子(吉永小百合さん)を3人で結婚させちゃう。

 もっとも忘れられないシーン。明日、出征という日、耕平はたった1人の肉親である兄と過ごします。

 「俊介君のお兄ちゃんは兵役を免除されたんだ。どうして、あんチャンだけ行くの?」
 「金持ちはそんなそうだ。耕平、よく覚えておけ。いったい、奴らがどんな物言いをし、どんなメシを食い、どんな行動をするか。言ってることとやってることに裏表はないか。わからないということは恥ずかしいことじゃない。わからないということは、後悔しないための唯一の方法なんだ」

 学生時代、池袋の文藝座で朝まで観たこともありますし、代々木の公民館で全3作の前後編を一挙上映。朝9時から夜10時くらいまで牛乳とパン付きでも観ました。いま思えば共産党が主催してたんでしようね。

 その後も何度も観ました。英介役は高橋悦史さん。父親であり、喬介の兄でもある総帥役を劇団民藝の滝沢修さん。

 勘三郎さんのイメージは子役の頃から変わってないなあ。争議鎮圧のために放水されるなか、水浸しになりながら、「やめろ〜」と泣き叫ぶ姿が忘れられないですな。

 いよいよ明日から「中島孝志の 聴く!通勤快読」も始まります。2014年の第1弾はなんでしょう。
 ぜひ今年はご視聴ください。スマホやPC、iPod、iPadで聴いて良し、読んでも良しです。