2014年05月22日「ブリキの太鼓」
カテゴリー中島孝志の不良映画日記」
ウクライナの南(クリミア)と東(ドネツク)のトラブル。話題にもなってないけど、本当はいちばんややこしいのは西(ガリツア)なのよ。
ベトナムと中国の古くて新しい問題。そしてアメリカがマッチを擦っては火をつけまくってきた「バラ革命」「オレンジ革命」「チューリップ革命」などの中央アジアの一連の政府転覆問題。ところを換えて北アフリカで引き起こしてきた一連の「アラブの春」。。。
そして日本とロシア、韓国、中国の問題。人種のモザイクアメリカが地球的規模で巻き起こしている「民族問題」ばかり。
これは罪深いですよ。他人の生活範囲に手を突っ込んでかき回し、貪るだけ貪ってややこしくなれば放り出す。あの連中がベトナムやイラク、アフガンなどでやってきたこと。
他人のトラブルは美味しい蜜。
で、『ブリキの太鼓』という映画(1979年)のお話。
原作はギュンター・グラス。ノーベル文学賞受賞。監督はフォルカー・シュレンドルフ。おもしろくないはずがない。ただしドーンと重たいヘビー級。。。
映画も小説も人を選びますな。選ばないのは原理原則研究会くらいのものでね。
舞台はグダニスク。いやいや、この名前はちょっと。ポーランド北部のバルト海沿岸の歴史ある街。当時は自由市ダンツィヒと呼ばれてました(ドイツ語ですけど)。
そこで生まれたのがオスカル。大人になっても3歳児の容姿。30歳の精神病患者によるモノローグで映画も小説も話は進んでいきます。
オスカルはドイツ人の父とカシュバイ人の母アグネスとポーランド人の母の愛人というトリオの下で生まれた。これはギュンター・グラスと同じ。
カシュバイ人の祖母が放火魔を4枚重ねのスカートの中に隠した間に妊娠したのが「可哀想な母親(アグネス)」なわけ。後年、アグネスはポリッシュの子どもを妊娠。夫は許したのに耐えきれずに自殺します。
オスカルは母親のお腹にいるとき、「3歳になったらブリキの太鼓を買ったげる」つう言葉を聞いてた。これは後年、自分の弟にも同じセリフを吐くんだけど。
ブリキの太鼓を買ってもらう頃、彼は大人たちの堕落を見てこう決心します。
「ボクはもう成長しない!」
で、階段落ちによる脳しんとうを演出。以来、姿形は3歳児のまま。おかげで奇妙な特異体質が身についた。
大声をあげるとガラスを割ってしまう。
ダンツィヒにナチスが侵攻すると、オスカルはサーカスの小人集団のリーダーと知り合います。ドイツ人の父親はナチスに入党。不倫相手のポリッシュはナチスに抵抗。どちらも戦死すんだけどさ。
いつも新品の太鼓をプレゼントしてくれたおもちゃ屋のユダヤ人。アグネスがポリッシュと連れ込み宿でお楽しみの間、オスカルを預かってくれたマルクスも自殺(なんと演じているのはシャルル・アズナブール)。
で、家を出たオスカルはあの小人サーカスのリーダーと再会。
「君はパリを見たことがあるか? 君の芸にみな拍手喝采さ。一緒に行かないか」
オスカルは小人の女性ロスヴィータと遭遇し2人は愛し合います。
「連合軍が上陸した。早く着替えて逃げろ」
「コーヒーぐらい飲ませてよ」
それが永遠の別れになりました。
ロシア兵に殺された父親を埋葬するとき、いままで肌身離さず持っていたブリキの太鼓をオスカルは投げ込みます。
「ぼくは行動すべきだ!」
その瞬間、小さな弟が投げた石がオスカルの頭を直撃・・・それがきっかけでいままで止まっていた時計が動き始めます。オスカルは成長し始めるわけ。
「西に行こう!」
いくら誘っても祖母は動かない。どんなにやせた悲惨な土地でも縛り付けられる生き方しか選択できない。それがカシュバイ人。
映画はここまで。
原作は・・・戦後、お定まりの闇商売から石彫刻の職人、美学校のモデル、それからバンドのドラマー。華々しく成功すんだけどね。なぜかガラスを割ってしまう特異体質は消えていた。でも、ブリキの太鼓を叩くと、みなに遠い記憶を思い出させるという特異な能力を発揮します。
そんななか、殺人事件の容疑者として逮捕されます。で、精神病院に入院。自分の過去をプレイバック。その語りで進んでいくわけね。
「黒い料理女」につきまとわれるオスカル。真犯人が見つかります・・・。
カンヌ映画祭でパルムドール(グランプリ)を受賞、アカデミーでも外国語映画賞を受賞。
もち、オスカルと彼をめぐる人間たちは民族そのもののメタファーですな。大国に翻弄される小国。哀しくも健気な生き様以上に、残酷なくらい絶望的な未来は、少数民族の宿命なのかもしれんわな。
放っといてくれ! けどね、そこにマネーの匂いがする限り、がりがり亡者は襲いかかるものなのよ。
アメリカが中国重視にシフトしたら、国益上、「沖縄の分離独立」はありえますよ。尖閣なんかまだ序の口なわけ。いまウクライナとか中央アジアで起きている「アタック25」は原原でお話ししているとおり、明日の日本。明日はわが身なのよ。
さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『考えない論 悩まなければ答えが見つかる!』(杉原白秋著・アルマット)です。詳細はこちらからどうぞ。
ベトナムと中国の古くて新しい問題。そしてアメリカがマッチを擦っては火をつけまくってきた「バラ革命」「オレンジ革命」「チューリップ革命」などの中央アジアの一連の政府転覆問題。ところを換えて北アフリカで引き起こしてきた一連の「アラブの春」。。。
そして日本とロシア、韓国、中国の問題。人種のモザイクアメリカが地球的規模で巻き起こしている「民族問題」ばかり。
これは罪深いですよ。他人の生活範囲に手を突っ込んでかき回し、貪るだけ貪ってややこしくなれば放り出す。あの連中がベトナムやイラク、アフガンなどでやってきたこと。
他人のトラブルは美味しい蜜。
で、『ブリキの太鼓』という映画(1979年)のお話。
原作はギュンター・グラス。ノーベル文学賞受賞。監督はフォルカー・シュレンドルフ。おもしろくないはずがない。ただしドーンと重たいヘビー級。。。
映画も小説も人を選びますな。選ばないのは原理原則研究会くらいのものでね。
舞台はグダニスク。いやいや、この名前はちょっと。ポーランド北部のバルト海沿岸の歴史ある街。当時は自由市ダンツィヒと呼ばれてました(ドイツ語ですけど)。
そこで生まれたのがオスカル。大人になっても3歳児の容姿。30歳の精神病患者によるモノローグで映画も小説も話は進んでいきます。
オスカルはドイツ人の父とカシュバイ人の母アグネスとポーランド人の母の愛人というトリオの下で生まれた。これはギュンター・グラスと同じ。
カシュバイ人の祖母が放火魔を4枚重ねのスカートの中に隠した間に妊娠したのが「可哀想な母親(アグネス)」なわけ。後年、アグネスはポリッシュの子どもを妊娠。夫は許したのに耐えきれずに自殺します。
オスカルは母親のお腹にいるとき、「3歳になったらブリキの太鼓を買ったげる」つう言葉を聞いてた。これは後年、自分の弟にも同じセリフを吐くんだけど。
ブリキの太鼓を買ってもらう頃、彼は大人たちの堕落を見てこう決心します。
「ボクはもう成長しない!」
で、階段落ちによる脳しんとうを演出。以来、姿形は3歳児のまま。おかげで奇妙な特異体質が身についた。
大声をあげるとガラスを割ってしまう。
ダンツィヒにナチスが侵攻すると、オスカルはサーカスの小人集団のリーダーと知り合います。ドイツ人の父親はナチスに入党。不倫相手のポリッシュはナチスに抵抗。どちらも戦死すんだけどさ。
いつも新品の太鼓をプレゼントしてくれたおもちゃ屋のユダヤ人。アグネスがポリッシュと連れ込み宿でお楽しみの間、オスカルを預かってくれたマルクスも自殺(なんと演じているのはシャルル・アズナブール)。
で、家を出たオスカルはあの小人サーカスのリーダーと再会。
「君はパリを見たことがあるか? 君の芸にみな拍手喝采さ。一緒に行かないか」
オスカルは小人の女性ロスヴィータと遭遇し2人は愛し合います。
「連合軍が上陸した。早く着替えて逃げろ」
「コーヒーぐらい飲ませてよ」
それが永遠の別れになりました。
ロシア兵に殺された父親を埋葬するとき、いままで肌身離さず持っていたブリキの太鼓をオスカルは投げ込みます。
「ぼくは行動すべきだ!」
その瞬間、小さな弟が投げた石がオスカルの頭を直撃・・・それがきっかけでいままで止まっていた時計が動き始めます。オスカルは成長し始めるわけ。
「西に行こう!」
いくら誘っても祖母は動かない。どんなにやせた悲惨な土地でも縛り付けられる生き方しか選択できない。それがカシュバイ人。
映画はここまで。
原作は・・・戦後、お定まりの闇商売から石彫刻の職人、美学校のモデル、それからバンドのドラマー。華々しく成功すんだけどね。なぜかガラスを割ってしまう特異体質は消えていた。でも、ブリキの太鼓を叩くと、みなに遠い記憶を思い出させるという特異な能力を発揮します。
そんななか、殺人事件の容疑者として逮捕されます。で、精神病院に入院。自分の過去をプレイバック。その語りで進んでいくわけね。
「黒い料理女」につきまとわれるオスカル。真犯人が見つかります・・・。
カンヌ映画祭でパルムドール(グランプリ)を受賞、アカデミーでも外国語映画賞を受賞。
もち、オスカルと彼をめぐる人間たちは民族そのもののメタファーですな。大国に翻弄される小国。哀しくも健気な生き様以上に、残酷なくらい絶望的な未来は、少数民族の宿命なのかもしれんわな。
放っといてくれ! けどね、そこにマネーの匂いがする限り、がりがり亡者は襲いかかるものなのよ。
アメリカが中国重視にシフトしたら、国益上、「沖縄の分離独立」はありえますよ。尖閣なんかまだ序の口なわけ。いまウクライナとか中央アジアで起きている「アタック25」は原原でお話ししているとおり、明日の日本。明日はわが身なのよ。
さて「中島孝志の 聴く!通勤快読」でご紹介する本は『考えない論 悩まなければ答えが見つかる!』(杉原白秋著・アルマット)です。詳細はこちらからどうぞ。