2005年06月13日「社長失格の幸福論」「妻の浮気」「みんないい人」
1 「社長失格の幸福論」
板倉雄一郎著 英治出版 1500円
著者はネットビジネスの草分け。ハイパーネットというインターネットと広告を組み合わせてビジネスモデルで一時代を築いた経営者。
このビジネスモデルはたった十五分で閃いてまとめたとか。発想のほうがどんどん湧いてくるから、ワープロに叩き込むほうの速度がついてこない。
テレビの広告とホームページにアクセスした時の広告とでは効果、効率の面でぜんぜん違うわけ。
テレビはこのドラマだったら、主演男優から考えて若い女性に人気があるはず。ならば、こんな商品を宣伝してはどうだろう、という仮説で広告するわけよ。でも、それが当たるかどうかはわからないし、ピンポイントでターゲットを狙えるわけではありません。
けど、ホームページにアクセスするケースだと、まず、ユーザーはどこかの接続業者(プロバイダー)と契約するでしょ。その時、きっちりプロファイリングをきちんととっておけば、たとえば、音楽、それもソウルミュージックが好きだとか、スポーツではアイスホッケーが大好きだとか、アルコールは飲まないとかね。
具体的で詳細に渡る情報をあらかじめインプットできれば、ターゲットはかなり明確にできるでしょ。ということは、広告宣伝も明確にできるというわけです。
広告効果の歩留まり率が革命的に増えていきますね。
著者はこのビジネスモデルを考えついたわけ。
この時、このアイデアだけでは事業化できません。だって、事業がふまくいけばいくほど、真似っこがでてきちゃうものね。
しかも、それがマイクロソフトのような有名で資金力が豊富な企業がドーンと取り組んだら、あっという間にはじき出されてしまう。
では、どうするか?
サービスをもう一ひねりしなくちゃダメ。
それと、スピード。あっという間に展開してしまうこと。
けど、折からの銀行の貸し剥がし。これでパー。37億円もの負債を背負って自己破産。
ついてないね。
日経から「社長失格」という本を上梓しました。講演料と印税で生活する日々が続いたそうです。
この本、いいです。たしかこのサイトでもご紹介したと思います。
「こんな僕でも幸せです」と帯コピーにあります。
最近、テレビで拝見することも多くなりました。頭がシャープな論客で、説得力もありますね。
起業家になるにはなにが必要で、なにが不必要か。どんなことが足りなくて失敗したのか、成功したのか。
実際にやってきた当事者だからこそ、説得力があります。しかも、過去の女性関係とかも赤裸々に語ってます。
あらいざらい語ってる姿勢に好感を覚えるのでは・・・。すべてを失うとかえって強くなりますね。
守るものがあるうちは弱いし、悟れないのかもね。
出家とはいいて妙です。
そう、一人の出家者の経営論です、これは。
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2 「妻の浮気」
池内ひろ美著 新潮社 680円
「あなた、浮気してますか?」
「とんでもいない!」
「では、夫以外に好きな人がいますか?」
「はい」
いまや、妻の浮気が多いんだと。
著者は97年に東京家族ラボを設立。延べ9000人近くの男女の相談にあずかってきた人です。
多いのは、やっぱり浮気、暴力、親子関係。多少の変動はあるものの、浮気はいつもトップ。
ま、そりゃそうでしょうね。
で、ここ数年、明確に変わってきたのは、かつての主役は夫。それがいまや、妻。
妻の浮気に嘆く夫。妻からの暴力におびえる夫。妻の借金で苦しむ夫・・・。
たいへんでございます。
妻の浮気ねえ・・・。ちょっと信じられないよね。
けど、妻がいちばんしたいこと。それは「恋」なわけ。
13のケースを紹介してます。
どれも興味深い内容で、わたしも一緒に聞いてみたいような気がします。
夫が妻をオンナと認識してくれない。だから、オンナの部分を呼び起こしてくれる異性に合うと、ドキドキする。
このトキメキ感がスリルがあってたまんないんでしょうね。
恋する相手は、「いつも同じ顔」という妻。「スパイ」に恋する妻。ホストに貢ぐ妻。
ヨン様に夢中の妻。業界人にぞっこんの妻とかね・・・いろんなタイプが登場して飽きません。
けど、いろんなタイプがいますね。
けっこう、いるらしいですよ。浮気妻って。でも、どうして、私の近くにはいないんだろうね?
まっ、いいか。
妻の浮気を見破るのは、夫の場合もそうだけど、まずはケータイでしょうね。メールを時々、チェックしといたほうがいいんだとか。
それと下着。セクシーな下着を身につけるようになったら怪しいんだと。
たしかにそうだろうな。
やっぱり、「いいオンナ」に見られたいものね。
本書に取り上げられている妻に共通するのは、オトナの恋をするにはちょっと幼いかな、という点でしょうか。
独りよがりで、夢見る乙女で、年甲斐もない(四十代、五十代という高齢者が多い)。
けど、逆に言うと、この年まで忘れていた感覚なのかもしれません。
考えてみれば、二十代、三十代そこそこの妻に浮気されたら、たまりませんよね。
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3 「みんないい人」
小倉一郎著 太陽企画出版 2000円
俳優生活35年だとか。
小倉一郎さんといえば、やぱり、「それぞれの秋」かな。木下恵介アワー、よく見てました。
火野正平さんが弾けてたなぁ。桃井かおりさんも、テレビ初登場でしょ。
火野さんにそそのかされて電車の中で痴漢するわけ。その相手がスケ番の桃井かおりさん。妹の高沢順子さんが桃井さんの後輩。
で、つかまっちゃう。逆に、スケ番に惚れられちゃってつき合うことになっちゃうわけ。
家族みんな一つ屋根の下で暮らしてるわけだけど、みんなバラバラ。だから、それぞれの秋ってなわけ。
この人、東京ローカルのテレビ番組でレストラン紹介なんかやってるのね。
ところが、がりがりに痩せてるから、なにを紹介しても美味しそうに見えないわけ。やっぱり、こういう食べ物関係はデブタレじゃないとね。
芸能生活もひれだけ長くやってると、いろんな人との出会いがあります。
美空ひばり、石原裕次郎、梅宮辰夫、水原弘、小林旭、三国連太郎、夏目雅子、松平健、森本レオ、西田敏行、風間杜夫、ダウンタウンなどなどの各氏。
人の人生というのは人に合って教えられる人生なんだ、ということがよくわかります。
俳優活動だけでなく、ガラス工芸、木工芸などの会社も経営してます。得意なギターで童謡の作詞作曲をてがけているとか。
懐かしい人がたくさん出てくるから、あっという間に読んでしまいました。
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